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2012年5月31日

自立型の供給必要 再生可能エネルギー

政府は29日、2012年版「環境・循環型社会・生物多様性白書(環境白書)」を閣議決定した。原子力発電所の停止に伴って節電社会が根付くなか、太陽光や風力など再生可能エネルギーの導入で、災害やエネルギーリスクに強いまちづくりを実現するとした。環境への負荷を抑えながら経済成長する「グリーン成長」の重要性も指摘した。

白書のテーマは「震災復興と安全安心で持続可能な社会づくり」。地域再生や自然災害リスクの軽減、エネルギー需給問題など、深刻で長期的な課題が山積みしていると指摘。震災対応では、がれき処理や放射性物質の除染対策、原子力の利用と規制を分離する原子力規制政策の転換の重要性を記述した。

災害やエネルギーリスクを回避するため、自立分散型のエネルギー供給システムが必要とした。特に東北地方が風力や地熱発電の導入可能量が多いことに着目。被災3県(岩手、宮城、福島)に太陽光と風力を導入した場合、可能な量の1%を達成した場合でも、経済効果は83億円5200万円に上るとの試算を示した。

2012年5月30日

12年版「環境白書」の主なポイント

東日本大震災東京電力福島第1原子力発電所事故を教訓とし、再生可能エネルギーの導入を積極的に進め、災害やエネルギーリスクに強い地域づくりを目指す。

太陽光発電風力発電の導入時の被災3県の経済効果は、導入ポテンシャルの1%を達成しただけでも、岩手県54億円、宮城県6億円、福島県24億円

環境保全と経済成長を両立させる「グリーン成長国家」を実現するため、技術革新や法制度・税制の整備、国際協力などに取り組む。

2012年5月29日

福島原発 内部を視察

細野原発事故担当相は26日、東京電力福島第一原子力発電所4号機原子炉建屋内を視察し「(使用済み核燃料プール)の水平性や底部の補強の状況について健全性を確認した」と述べた。事故を起こした原子炉建屋に閣僚が入ったのは初めて。

原発相は「震度6強の地震でも4号機は健全性が維持されると分析している」と語った。東電が目指す廃炉の工程では、来年から最初に4号機で燃料を取り出す計画。4号機のプールはは第1原発で最も多い1535本の燃料を収めるが、建屋が傾いたり崩落したりする懸念が出ていた。

原発相
は仮設階段を使って2階に上がり、プールを補強するコンクリート壁を確認。最上階の5階では白いシートに覆われたプール脇で、東電社員による水位やゆがみの検査などを見て回った。

視察後に(廃炉作業)30~40年続けていかなければならない。どう人材を確保し、技術を伝承して新たなものを導入していくのかが課題」と話した。

4号機のかれきの半分は撤去され、全てを取り除くのは今秋以降になる見込みだ。

2012年5月28日

再生可能エネルギー 異業種

店舗や住宅を活用して発電事業に参入する動きもある。ローソンは13年2月までに国内のコンビニエンスストアの約1割に当たる1000店に太陽光発電システムを設置する方針だ。

ミサワほーみは施工した戸建て住宅やアパートの屋根を借りて太陽光パネルを設置。電力会社への売電を検討中。

再生可能エネルギーを有望な投資対象とみて定款変更するのは資産運用会社のスパーク・グループだ。

再生可能エネルギー
の全量買い取り制度を巡って、4月下旬に経済産業省の有識者委員会が電力の買い取り価格を決めた。太陽光は1キロワット時当たり42円、風力は同23.1~57.75円となる。

7月に全量買い取り制度が始まれば、太陽光や風力など5種類の再生可能エネルギーで発電した電力は、国が決めた固定価格ですべて買い取ることになる。

2012年5月27日

再生可能エネルギーに異業種参入

発電事業への参入に向け、株主総会で定款を変更する上場企業が相次いでいる。ローソンや近畿日本鉄道など幅広い分野の約40社が定款の事業目的に発電関連の業務を追加する。太陽光など再生可能エネルギーでつくった電気を電力会社が固定価格ですべて買い取る制度が7月に始まるのをにらみ、発電と直接の関係が薄いまったくの異業種にも参入の動きが広がっている。

目立つのが、大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設に向けて定款を変更する企業だ。京セラはIHIなどと組み、鹿児島市内に7万キロワット級の発電能力を持つ間がソーラーを7月にも着工する。総投資額は約250億円で、太陽電池パネル約29万枚を設置する。

近鉄のメガソーラー事業に参入する。

三井化学は風力発電にも意欲を示す。愛知県の所有地に、1基2000キロワットの風力発電施設を3基設置する。

2012年5月26日

世界のCO2排出量最高に

国際エネルギー機関(IEA)は24日、2011年に世界で排出された二酸化炭素が前年比3.2%増の316億トンに増え、過去最高を記録したと発表した。中国やインドなど新興国の排出量が世界全体の排出量を押し上げた。新興国の経済成長を伴う排出増にどう歯止めを掛けるかが課題になりそうだ。

IEAが算出するのは、化石燃料を消費することによって排出されるCO2で、温暖化ガス全体の約9割を占める。世界の06~10年の平均増加量は6億トンで、11年は約10億トンと大きく上回った。燃料別の内訳は石炭が45%、石油が35%、天然ガスが20%だった。

世界最大の排出国である中国は前年比9.3%増で、7億トン以上増加。インドの排出はロシアを抜き、中国、米国、欧州連合(EU)に次ぐ世界4位になった。

先進国の排出は減少傾向。発電部門でCO2排出の多い石炭から、排出の少ない天然ガスへの転換が進んだことや、運輸部門でガソリン消費が減ったことなどが寄与した。米国は1.7%減、EUは1.9%減った。

日本は東日本大震災による原発事故で2.4%伸びた。

気候変動の国際交渉では、先進国に温暖化ガスの排出量削減義務を課した京都議定書に続き、中印など新興国を含めた新枠組みの議論が始まっている。

世界全体で共有する目標としては、産業革命前と比べ地球の気温上昇を2度以内に抑えることがある。ただ11年は中印が大きな伸びを示したことで、IEAは「データは、目標実現がますあす難しくなっていることを示している」と分析する。

2012年5月25日

太陽光発電向け素材 下落

太陽光発電システムに使う素材の価格が下落している。太陽光パネルに使うレアメタルが前年同期より2~3割値下げしたほか、基幹部材である多結晶シリコンのスポット価格も同6割安い。太陽光発電は欧州の需要が鈍る一方、中国メーカーの供給が急増して需給が緩んだためだ。素材の値下がりで製品の太陽電池モジュールの価格も下落している。

レアメタルは、インジウムの国際価格が現在、1キロ530ドルで前年同月比4割安い。ガリウムは6割、セレンは2割弱値下がりしている。

昨夏にドイツで設置促進政策が縮小されるなどして需要の伸びが鈍化する一方、中国メーカーが低価格製品を増産して需給が緩み、レアメタルの値下がりにつながった。


「日本経済新聞より」

2012年5月24日

石炭火力、省エネで協力

経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、石炭火力発電所の効率を上げて環境負荷を抑える「クリーンコール技術」で中央アジア諸国と協力する。このほどカザフスタン、キルギスとそれぞれ協力文書を締結。省エネルギー技術を通じて関係を強化し、両国が産出するレアメタルなどの資源の安定調達につなげたいとの思惑もある。

カザフには旧ソ連製の旧式の石炭火力発電所が多くある。日本企業は環境への負荷が少ない石炭火力発電を得意としており、6月に開始する調査を通じて日本製の装置導入の可能性を探る。石炭から水分を抜いて二酸化炭素排出量を削減、燃焼効率を高める「クリーンコール技術」の導入を検討。現地でセミナーを開くほか、技術者約20人を日本に招いて研修させる。

キルギスでは低品位炭「褐炭」の埋蔵量が約20億トンあり、水分が多い褐炭を乾燥して燃焼効率を高める日本の技術のニーズが高い。レアメタル埋蔵量も豊富である。

2012年5月23日

火力発電 安価な新燃料

日揮は火力発電用の新しい低価格燃料を開発し、2015年から生産を始める。これまで使えなかった低品質石炭を加工して液化した燃料で、約300億円を投じてインドネシアに生産設備を建設。日本やアジアで販売し、3~5割安い価格で石油火力向けの重油の代替えを目指す。世界の石炭埋蔵量の約半分を占める低品質炭の活用が進めば火力発電コストの低下につながりそうだ。

福島第1原発
の事故以降、火力発電燃料の需要が急増している。利用しにくかった資源を技術革新によって有効活用し、エネルギー資源の安定確保に生かす。世界の火力発電設備能力は30年に08年比6割増の約50億キロワットに拡大する見通し。低品質炭は水分の比率が高く、燃えにくいためそのままでは使えない。

インドネシアは低品質炭の埋蔵量が多いため、生産設備の建設を決めた。15年までに年産100万トン規模の大型プラントを完成させる。

2012年5月22日

関電 夜間の6倍の電力料

電力各社が今夏、節電策の一環として家庭向けの新料金メニューを相次ぎ導入する。関西電力は21日、電力使用量のピーク時間である午後1時~4時の電力料金を夜間(午後11時~翌午前7時)の約6倍に設定するメニューを発表。東京電力も導入を決めたほか、九州電力は実証試験を始める。時間帯で電力料金が大きく異なれば、家庭の電気の使い方も変わることになりそうだ。

関電大飯原子力発電所の再稼働いかんにかかわらず新メニューを7月1日に導入する。これまで一般家庭の基本的な電力料金は時間帯に関係なく1キロワット時あたり19.05~25.55円だった。新制度ではピーク時間、オフピーク時間(午後4~11時)、夜間の3つに分類。ピーク時間の電力料金を52.82円とする一方、夜間は8.19円と安くする。

2012年5月21日

中部電力 CO2排出最大

中部電力の2011年度の二酸化炭素排出量が10年度に比べ8%増の約6700万トンと、過去最高に達したことが分かった。昨年5月の浜岡原子力発電所の全面停止を補うため、原発よりもCO2の排出量が多い火力発電所の稼働をふやしたことが響いた。

中部電力は当初、11年度の排出量は約5400万トンと見込んでいた。その後に政府要請で浜岡原発を停止したため、実際の排出量は想定を24%上回った。顧客の使用電力量1キロワット時当たりのCO2排出量は約0.52キログラムと、10年度実績よりも約10%増えた。

2012年5月20日

再生可能エネルギー 参入促進

通産省の有識者委員会は25日、7月に始まる再生可能エネルギーの全量買い取り制度で、電力会社が電気を購入する価格の原案を示した。太陽光発電を手掛ける会社などの要望を大筋で受け入れ、高めの価格を設定した。企業の参入を促し、再生可能エネルギーの普及につなげる狙いだ。家庭の負担は当初月100円未満の見通しだが、買い取りが増えれば増額となる可能性がある。

「全量買い取り」は太陽光風力などで起こした電気を電力会社が固定価格ですべて買い取る制度。買い取り費用は家庭や企業の電気料金に上乗せして回収する。買い取り価格が高いほど再生可能エネルギー発電会社の利益は安定する。

太陽光で1キロワット時あたり42円、風力は同23.1円などの価格を決めた。

資源エネルギー庁は「家庭の電気料金の上乗せ幅は月100円未満になる」との見通しを示した。

2012年5月19日

太陽光発電 マンション導入曇り

電気料金値上げが控える中、太陽光発電への関心が集まっているものの、既存マンションへの導入は進んでいない。住民の合意形成が必要なうえ、各戸に電気を供給しにくいなどハードルが高く、専門家は「補助金制度などの改善が必要」と指摘している。

「共有部分の電気料金が6割安くなり、住民はみな大満足」。昨年6月、7階建ての屋上に太陽光発電パネルを設置した。年約100万円かかっていた共用部の電気料金は30万円台に。約700万円の設置費用は十数年で回収できる。

このマンションの積立金が潤沢だった上、太陽光発電に詳しい住民がいたことが決め手となった。

ただ、マンション管理の相談を受けるNPOの担当者は同マンションのような「先進的な取り組は限られる」と指摘。昨年度補助金を受けて全国で太陽光発電を導入した戸建は約23万5千件に達する一方、既存のマンションで導入に至った例はほとんどない。

JX日鉱日石エネルギーによると既存物件マンションでの商談はゼロ。日当たりが良い屋上やベランダは共用部なので、設置には住民の合意が必要。発電した電気を各家庭で使うには、パネルと各戸を直結する送電線が必要だが、コストがかかり、構造的に施工が難しいケースも多い。

2012年5月18日

レアアースを半減

信越化学工業はモーター用の高性能磁石に使うレアアースのうちジスプロシウムを大幅に減らす。新製法の導入で、来春までにエアコン向け磁石をすべて使用量を半減した製品に切り替える。ほぼ全量を中国に依存し供給に不安があるジスプロシウムの使用抑制が進めば、エアコンなど最終製品価格の安定にもつながる。

同社は高性能磁石で2~3割の世界シェアを持つ。ジスプロシウムは高温下で使うエアコンやハイブリット車のモーター用などの磁石に耐熱性を持たせるため添加する主要材料。エアコン向け磁石では重量の約5%、HV向けでは同約10%を占める。通常は鉄は鉄やネオジムなどにジスプロシウムを混ぜて焼き固める。新製法では他の材料でかで焼き固めた後、表面にジスプロシウムを塗るため使用量を減らせる。福井県の工場に十数億円をかけ専用の塗布設備を導入したもようだ。

HV向け磁石も使用量半減を視野に入れ自動車メーカーと仕様などの検討を進める。使用量が重量の1%程度と少ないハードディスク駆動装置用モーター向けの磁石は来年中に、ジスプロシウムの使用をゼロにする。

国内電機・部品大手はレアアースを使わない高効率モーターや磁石の開発を進めている。ただし嘉発途上のケースが多く、信越化学が使用量を抑えた磁石の実用化で先行する形だ。

2012年5月17日

ユーラス 豪で風力発電 参入

豊田通商と東京電力が出資する風力発電最大手、ユーラスエナジーホールディングスはオーストラリアで風力発電に参入する。豪電力ガス小売り最大手のAGLエナジーが豪州南部で開発した風力発電事業を自己資金などを使って約150億円で買収することで合意した。豪州の風力発電市場を開拓する足掛かりにする。

買収するのは豪州南部の南オーストラリア州に建設された風力発電所風力発電機25基を設置し、3月に完成した。総出力は5万2500キロワット。つくった電力はAGLの子会社に24年間の長期にわたって売電する契約だ。約2万7000世帯分の電力を賄える。

ユーラスは世界7ヶ国で風力を中心に発電事業を手掛ける。運転中の発電所の総出力は210万キロワットで、欧州が82万kw、米国が63万kw、日本が53万kw。

日本では7月からの再生可能エネルギーの全量買い取り制度を受けて開発を積極化する方針だが、同時に一部地域に事業が集中するリスクを分散するため北半球以外の市場参入を探っていた。買収で豪州の電力会社への売電実績をつくり、今後は風力発電所を新たに設けて市場を開拓する。

2012年5月16日

再生可能エネルギー

太陽光風力など自然の力を利用するエネルギーのこと。資源の枯渇を招かず、半永久的に使うことができる。石油や天然ガスなどと異なり、二酸化炭素をほどんと排出しない。全量買い取り制度は地熱、中小水力、バイオマスを加えた5種類が対象となる。

日本の発電量全体に占める再生可能エネルギーの比率は約9%(2009年度)。このうち8%を水力発電が占める。太陽光風力などは発電コストが比較的高く、普及の足かせとなってきた。国内の原発の新設が難しくなるなk、日本でも普及を目指す機運が高まっている。

2012年5月15日

富士電機 米で地熱発電

富士電機は米国で地熱発電所の開発運営事業に参入する。カリフォルニア州で建設予定の地熱発電所の開発運営会社に約1割を出資し、経営に参加する。富士電機は蒸気タービンや発電機など地熱発電設備の世界シェア最大手。地熱発電事業への参加で最先端の開発技術やニーズを蓄積し、米国や新興国での今後の設備受注拡大につなげる。

米国の独立系発電事業者(IPP)であるエナジーソースLLDに資本参加する。エネルギー社は総事業費300億円を投じてカリフォルニア州のインペリアル・バレーに「ハドソンランチⅡ地熱発電所」を建設する計画。富士電機は運営会社の資本金のうち、1千万ドル(約8億円)を出資する。

米国は環境負荷が小さい再生可能エネルギーに対する税制優遇措置を背景に地熱発電所の新設や設備の入れ替えが進む。
資源エネルギー庁が11年11月にまとめた統計によると、米国の地熱発電設備容量は2015年に10年比7割増の540万キロワットに拡大する見通し。

富士電機は世界10ヶ国で地熱発電設備を納入しており、世界シェア約4割を占める最大手。資本参加を機に今後、地熱発電設備の世界シェアを5割まで高める方針だ。

2012年5月14日

自家発電力 通年で外販

キリンビールは横浜工場で使用する自家発電余剰電力売却を通年に拡大する。昨年は東日本大震災後の電力不足に対応して、夏場などに限定して東京電力に売電した。今年も電力供給の懸念が続いており、大口需要家に電気を小売りする特定規模電気事業者(PPS)に継続的に売電する。同工場の約1万8000キロワットの発電能力のうち最大1万キロワットを売電する。

同工場は2007年から都市ガスを使う自家発電装置を3基設置。うち2基で工場の使用電力を賄えるが、3基とも動かし余剰分を売電する。消費財メーカーが自家発電装置を使い継続的に売電する例は珍しい。

2012年5月13日

レアアース使わぬモーター

中国によるレアアースの輸出制限を受け、日本は官民を挙げてレアアース使用の代替・削減技術やリサイクルなどの研究開発を進めている。中国の輸出制限をめぐる世界貿易機関(WTO)への提訴は結論が下るまでに1~2年かかる可能性がある。また輸出制限が撤廃されても資源枯渇の懸念は残るため、技術開発は喫緊の課題だ。

レアアースをできるだけ使わない技術開発に対し、国としてバックアップをさらに進めないといけない」。

経産省は来年度予算案で20億円を投じ、10年間の予定でレアアースを使わない自動車向けモーターを開発するための官民共同のプロジェクトを立ち上げる。

民間の動きも加速している。三菱電機は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同で、レアアースを使わない電磁石の原理を応用した車載用モーターを開発。TDKはジスプロシウムの使用をゼロにできる永久磁石を開発した。日本電産もレアアースを使わない次世代モーターを量産し、2013年にも国内外の自動車メーカーに供給する計画を明らかにしている。

2012年5月12日

レアアース

日本は米国、欧州連合(EU)とともに、ハイテク製品に使うレアアース(希土類)の輸出規制を続ける中国を3月13日にWTOに提訴した。日本が中国の交易を巡りWTOに訴えるのは初めて。仮に主張が認められもても中国が規制を解除するには時間がかかるとみられる。それでも提訴に踏み切った背景には、新興国に広がる資源囲い込みの動きをけん制する狙いもある。

レアアースはハイブリット車向けのモーターに不可欠なネオジムやジスプロシウムなど17種類の元素の総称。今回の提訴ではほかにタングステンとモリブデンもも対象に含まれる。世界シェアの9割を占める中国は2010年の尖閣諸島沖での漁船衝突事件をきっかけにレアアースを外交カードとして使い始め、輸出枠の削減に踏み切った。その後の交渉でも解決の糸口が見えず、消費国側の日米欧は不満を強めている。

2012年5月11日

サウジ・中国の太陽熱発電

東京工業大学はサウジアラビアと中国で、現地の太陽熱発電プロジェクトに参画する。従来より2~5割効率のよい中核技術を提供、2013年にも実証プラントを稼働させ、14~15年の商業運転を目指す。日照量の豊富な南欧や中東では太陽熱発電の事業化が相次ぐ。国産技術の優位性を検証、産業界と協力し新たなインフラ輸出につなげる。

東工大の玉浦教授らは、太陽熱を効率よく集める技術を開発した。鏡の設置方法や動かし方を工夫し、従来に比べて同じ面積で夏は約20%、冬は約50%多く電気を作れるようにした。

サウジアラビアでは太陽熱発電で作ったエネルギーの活用法を探るプロジェクトに参画する。海水から1日60トンの淡水を作る実証プラントを建設する。投資額は約20億円。

中国では日中の中小企業約100社や、天津市など9都市と連携、太陽熱発電で石炭を液化する事業に取り組む。まず、発電能力換算で約5千キロワットの実証プラントを建設し、15年から稼働させる。20年までには中国政府が数千億円を投じ、原子力発電所30基分を代替えできる太陽熱発電所を作る計画だ。

太陽熱発電の中核技術は欧米勢が主導している。

2012年5月10日

火力で代替えできる?

原子力に代わる電源として火力発電の存在感が増している。東京電力の火力発電の比率は、東日本大震災前の2010年夏の65%から、今夏は80%にまで上昇する見込みだ。ただ、燃料費の増加が家計や企業の負担増につながる負の側面も見逃せない。

政府の需給検証委員会が原発の停止に伴う影響を試算したところ、燃料価格が横ばいで推移しても、12年度の燃料費は前年度実績より0.8兆円増えることがわかった。原油価格が2割上昇すると、増加額は1.5兆円に膨らむ。これは日本全体の電気料金の約1割に達する。

燃料費の増加は電力会社各社の経営を圧迫する。政府の試算では、電力9社合計の最終赤字は13年3月期で約2.6兆円に上がる見込み。電気料金の引き上げを示唆する声が出る。

火力発電には別の弱点もある。設備の故障などのリスクがつきまとうことだ。
東電も深刻な電力不足に直面していた昨年7月末、予定外の運転停止により約400万頃ワット分の供給力が落ちた。ボイラー設備から燃焼ガスが漏れた鹿島火力発電所4号機が急きょ点検に入るなどしたためだ。

主力のガス火力は通常に稼働しても、夏場は10~20%の出力が下がってしまう。気温の上昇で空気の密度が下がると発電するタービンの出力が落ち、発電量が細る。原発の不足を補える機動性は火力の魅力だが、安定性を欠く面もある。

2012年5月 9日

予知より減災重視

想定の科学的根拠について、海洋研究開発機構の小平秀一上席研究員は「モデルの確かさの議論はこれから」と指摘。想定外の大地震に見舞われた地震学者らのたじろぎが厳しい予測につながった面を否まない。

それでも一連の新想定により、「東海地震だけは予知可能」との前提に立つ現行の地震対策の見直しは不可避になった。

国は、78年成立の大規模地震対策特別措置法(大震法)に基づき、予知研究などに資金をつぎ込んできた。最近10年間の気象庁の地震調査研究関係費の大半は東海地震向け。強化地域に指定された静岡、山梨両県などの施設整備費は、同法で国が手厚く補助している。

他の地域でも大きな被害の可能性が明らかになったことを受け、中川正春防災担当相は「東海と東南海、南海に関する法律を一本化する」と大震法の見直しに言及した。

地震予知に批判的なロバート・ゲラー東大教授は「津波でも命だけは守るソフト面の減災対策が重要だ」と強調する

国民に広がる不安を払拭するには、新想定にどう対処するかという明確なメッセージが不可欠だが、国の動きは遅い。大災害で都内が壊滅した場合、代替え拠点をどこに置くかは「実際に起こったら決めるしかない」のが実情だ。

2012年5月 8日

福島 ホットスポット26ヵ所

福島県郡山市の市民団体「安全・安心・アクションin郡山」などは7日までに、郡山市教育委員会への情報開示請求などの結果、市内の少なくても14小学校と7中学校、5保育所で、年間被曝線量で20ミリシーベルトに相当する毎時3.8マイクロシーベルトを超える「ホットスポット」があったと発表した。

開示資料によると、市教委は1月、市内の小中学校に対し、定期的に測定している校庭や教室を除く、側溝や生け垣、雨水の排水口など敷地内8ヵ所の空間放射線量の測定を依頼した。

4月に市教委に提出された測定結果では、地上1㎝の高さで、中学校では側溝で毎時20.4マイクロシーベルト、小学校では体育館裏で5マイクロシーベルト、排水口で8.1マイクロシーベルトなどを計測した。保育所では側溝7.7マイクロシーベルト排水口で8.1マイクロシーベルトなどだった。

市教委は原発事故以降、校庭での活動を3時間以内に制限してきたが、新学期からは「校庭の線量の平均が0.2マイクロシーベルト以下になった」として解除。同団体の代表は「校内に線量が高い所がたくさんある。保護者に説明もなく実施された3時間ルールを撤廃を、撤回してほしい」と話した。

文部科学省は原発事故後、中学校は高さ1メートル、そのほかは高さ50㌢で、毎時3.8マイクロシーベルトを基準に学校での屋外活動を制限したが、昨年8月に基準を廃止した。

2012年5月 7日

2020年の温暖化ガス排出量

2020年時点の温暖化ガス排出量に関する政府の試算が明らかになった。原子力発電所の運転期間を政府が想定する40年とした場合、家庭や企業、官庁の自助努力で減らす「国内削減分」は1990年比で最大10%にとどまる。森林吸収や海外からの排出枠購入による削減分も含めて「20年までに90年比で25%減らす」という目標を達成するのは難しく、温暖化対策の抜本的な見直しを迫られそうだ。

総合資源エネルギー調査会と中央環境審議会は、発電量に占める原発の依存度と温暖化ガス排出量に関する試算をまとめようとしている。

再生可能エネルギーの普及度や省エネの度合いによって3ケース、原発依存度によって4ケースを用意し、合計12通りのシナリオを示した。

原子力発電所の寿命を原則40年と想定すると、20年時点の温暖化ガス排出量は省エネなどの投資額に応じて90年比で1~10%減る。
原発の発電量が東日本大震災の発生前と同じレベルになると仮定しても、2~11%の減少にとどまる。一方、全ての原発が停止すれば、最大9%増えるという。

2012年5月 6日

巨大地震どう備えるか

太平洋沖の「南海トラフ」や首都直下の巨大地震で津波や震度の想定が相次いで見直され、波紋が広がっている。東日本大震災の惨事を二度と起こさないために備えは欠かせないが、財源や時間には限りがある。従来の政策の延長ではない新たな発想による防災力向上が不可欠だ。

見直しでは2003年と2006年の前回推計が大幅に引き上げられた。自治体の衝撃は大きい。最も高い34.4メートルの津波が予想される高知県黒潮町は役場を海抜22メートルの場所に移転する計画だったが、見直しを始めた。住民の多くは海岸近くで暮らしており、「町がなくなる」との声が上がる。

企業は対応を急ぐ。JX日鉱日石エネルギーは高知県や和歌山県など太平洋岸12ヵ所のガソリンスタンドを新型に置き換える。供給が当初混乱した東日本の経験を踏まえ、非常用電源などを設置。第1号は3月、宮城県石巻市に完成した。
「絶対こけない建物をつくる」。エステーは、1952年から使用する東京・新宿の本社を新たに想定された震度7に耐えられるビルに建て替える。完成は来春。会長は「安全と安心は金で買える」と事業継続に意欲を注ぐ。一方で戸惑いの声も。マルエツは全店と全店が首都圏に集中。専務は「本社の代替え機能を関西などに置くことはできない。対策には限界があり、頭が痛い」。

2012年5月 5日

小学校で太陽光発電

国土交通、文部科学両省は、太陽光発電・蓄電のできる新たな小中学校施設の建設に乗り出す。電力需給への懸念を受け、学校の周辺地域にも電力を供給できる拠点とする。今年度中に東日本大震災の被害を受けた岩手、宮城、福島の3県の学校から対象を選び、改修に着手。今後5年で全都道府県に広げる。災害時の避難拠点ともなる学校の耐震化と省エネ化を同時に進める。

震災では、小中高校各校で6千校以上が地震と津波の被害を受け、大規模な改修と復旧工事が必要な学校が200弱あることが文科省の調査で確認されている。

小中学校の校舎や体育館の屋根に太陽光パネルを大規模に設置する。既存の小中学校施設の改修費は1校あたり1億円前後。発電設備を置くため現在よりも割高になるが、政府は学校の耐震化と合わせて国費で優先的に支援する。

2012年5月 4日

温暖化予測、精度課題に

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は今秋にも、第5次報告書に盛り込む温暖化予測の概要をまとめる。ここ10年ほど地球の平均気温は上昇しておらず、温暖化を疑問視する声もある。大気や海洋で起きる現象を正しく理解し、予測の「不確かさ」をいかに減らすか専門家は知恵を絞っている。

日本気象学会はつくば市で公開講演会を開く。不確かさの原因がどこにあるのか、情報の伝え方に問題がないかなどを話し合う。

2013に完成予定の第5次報告書へ向けた予測研究では、温暖化ガスの増加に伴う気温変化予測が不確かな原因として、①雲や大気中の浮遊粉じん(エーロゾル)影響がよくわかっていない②温暖化とは無関係に10~数十年間隔で起きる気温や海水温の変動が正しく反映されていないなどを重視する。

不確実さを減らすため日米欧などの20を超える計算モデルを比較し、改善を目指す国際プロジェクトが進行中だ。

一方、温暖化ガスの量と無関係に存在する「自然変動」は「太平洋10年規模振動」などの解析が進む。地球平均気温が最近、上昇していないのは自然変動の影響とされる。

2012年5月 3日

放射線遮る樹脂シート

レンゴーは安価な樹脂製の放射線遮蔽シートを開発した。放射性物質で汚染された廃棄物の仮置き場を覆う用途などを見込んでおり、重ねて使うことで自在に遮蔽性能を調整できる。
弾性や柔軟性の高い樹脂に安価な金属系化合物の粉末を混ぜ、シート状にした。厚さ1~2ミリで、2ミリの製品なら1枚で放射線を約6%、10枚重ねれば約50%遮蔽できる。

放射線の遮蔽材にはコンクリートや鉛の板など固く重い素材を使うことが多い。シート状の製品でも従来はレアメタルを使うため価格が高かった。新製品の価格は厚さ1mmのタイプで1㎡当たり1,800~2000円と、従来製品の20分の1以下という。

子会社の日本マタイと共同で開発、同社の滋賀工場で生産する。2013年度に約14億円の売り上げを目指す。レントゲン検査用など医療分野でも用途を開拓する考えだ。

2012年5月 2日

復興需要 その2

インフラ工事の本格化を受け、3月の国内セメント販売量は前年同期比8.7%増と、4か月連続で前年を上回った。東北地方ではほぼ倍増した。

一部の被災者が住宅再建に動き出し、木材需要も高まっている。宮城県石巻市の製材会社、山大は今春から生産量を震災前の2倍にした。同市では通常、新設住宅の着工戸数は年間600戸程度だが、震災による全壊戸数は約2万2000戸にのぼる。山大社長は「当面は高水準の受注が続く」とみる。

震災で下水処理場が停止した宮城県気仙沼市では、水道事業最大手のメタウォーターが再建に向けた新たな提案を始めた。下水と水産廃棄物を一括処理し、発生させたバイオガスを発電などに使うバイオガスで、実証事業に着手した。

原発事故で電源の見直しが進むなか、再生可能エネルギーの基地となる可能性も膨らんでいる。東芝は南相馬市で出力2万キロワット規模のメガソーラー(大規模太陽光発電所)の事業化可能性調査を始めた。

2012年5月 1日

復興需要その1

震災前は「水深世界一」で知られた釜石港の巨大防波堤。津波で受けた甚大な被害の復旧工事が2月下旬から始まった。道路などに比べて遅れ気味だった港湾の再建が本格化してきた。

放射線量低減に向けた除染対策などでゼネコンが存在感を示しているが、港湾工事は海洋土木を得意とする「マリコン」の出番。五洋建設は相馬港などの防波堤の築造工事を受注。東洋建設も小名浜港や釜石港などで岸壁の復旧や倒壊した防波堤の撤去作業などを進めている。

防波堤は単に元の状態に戻すだけではなく、損傷しても倒壊しない「粘り強い」構造にする計画だ。津波の力で倒壊しにくくするため、防波堤の足元を守るように基礎部分を盛り上げることなどを想定している。