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2010年7月31日

Jパワー 石炭火力2基立て替え

Jパワー(電源開発)は2日、竹原火力発電所の1号機(25万キロワット)と2号機を立て替えると発表した。投資額は1000億円強。最新技術で二酸化炭素排出量を15%削減する。石炭火力は温暖化ガス排出量が多い半面、発電コストが安く、燃料が安定調達できる。Jパワーは技術革新でCO2排出量を減らし、石炭火力の設備能力を維持する考えだ。

超超臨界圧と呼ばれる高効率発電技術を採用するほか、バイオマス発電と組み合わせることで、石炭ガス化複合発電並みに温暖化ガス排出量を抑えることを目指す。

2010年7月30日

電気自動車で排出枠

三菱UFJリース、三菱オートリースなどは、リースで電気自動車を使う企業の二酸化炭素削減量をとりまとめて排出枠にし、電気自動車充電設備の整備などに投資する事業を始める。電気自動車1台あたりの排出削減量は小さいが、電気自動車のリース先企業をグループ化してまとまった量の排出枠として売却する。2010年度中に約150トンの排出枠を創出うし、12年度までに累計3千トンをめざす。

2010年7月29日

再生可能エネルギー全量買い取り

太陽光、風力、地熱などで家庭や企業が発電した電力を電力会社に全量買い取らせる制度の具体案がまとまった。これまでは家庭でおこす太陽光発電だけを定額で買い取らせていたが、全ての再生可能エネルギーに広げ、事業者が発電した電力も対象に加えた。

化石燃料由来の電力の利用を抑えるとともに国内の環境ビジネスを育てることが目的だ。2010年度にも導入され、風力や地熱など太陽光以外のエネルギーは、一律で1キロワット時あたり15~20円程度の買い取り価格になる見通し。

太陽光は現行の買い取り制度が同48円に設定しており、新制度でも他方式より高くなる見通しだ。ただ段階的に引き下げられる。再生可能エネルギーの主軸と期待される太陽光の発電コストを下げるよう産業界に促すためだ。発電容量1キロワットあたり50万~60万円程度もする設備価格が安くなれば家庭への導入も広がる。

標準的な家庭の場合で上乗せ額は月額150~200円程度になる見通し。

2010年7月28日

ポスト京都議定書を巡る日程

2009年12月 コペンハーゲンでCO15。途上国支援の拡大や気温上昇の抑制など政治合意を了承。ポスト京都の枠組み作りは先送り
2010年7月 米上院、民主党が温暖化ガス削減目標先送り。雇用対策などを含むエネルギー法案の成立を優先
2010年8月 ドイツのボンでCOP16の作業部会
2010年9月 ニューヨークで国連総会。首脳級外交で論議も
2010年10月 中国の天津でCOP16の作業部会
2010年11月 米で中間選挙。議会の勢力図が大きく変わる可能性。
2010年11月~12月 メキシコでCOP16。閣僚級の協議に加えて首脳級の参加が焦点に
2010年11月末 南アフリカでCOP17
2010年12月末 京都議定書の期限切れ。新たな枠組みで合意できなければ、空白期間が生じる恐れも

2010年7月27日

風力発電など買取

経済産業省は21日、企業や家庭が再生可能エネルギーで起こした電気を電力会社が全量買い取る制度について、太陽光を除いた風力発電などの買取価格を1キロワット時15~20円程度とする方針を固めた。太陽光の余剰電力の買取価格は現在は同48円。この水準では採算がとれないため、徐々に引き下げる。制度導入から10年目の標準家庭の負担額は月150~200円、二酸化炭素排出量は2%前後抑制するとの試算も示した。

経済省案によると、対象とする再生可能エネルギー太陽光などのほか、中小水力、地熱、バイオマス(生物資源)など。買取の価格と期間で太陽光とそれ以外のエネルギーとで区分し、期間は太陽光以外が15~20年程度、太陽光は10年程度とした。太陽光は制度導入当初、高めの買取価格を設定し、設備の普及を促す。

2010年7月26日

再生可能エネルギー 制度の仕組み

再生可能エネルギー 全量買取制度の仕組み

太陽光

太陽光以外

買取期間 10年 15~20年程度
買取価格(1キロワット時) 現在は48円。段階的に引き下げ 15~20円程度

制度導入後10年目の見通し

標準家庭の負担額 月150~200円程度 月150~200円程度
CO2の削減量 2400万~2900万トン 2400万~2900万トン

 

(注)太陽光以外は風力、中小水力、地熱、バイオマス

2010年7月25日

中国 10年かけて環境と成長両立

電力以外の分野ではEVなど環境対応車(電気自動車)の普及も推進する。中国政府は一部都市で補助金を支給して電気自動車などの販売を推進し、11~12年に50万台の販売を見込む。石油の消費を抑える対策として、将来は補助政策を全国に広げ20年には新車販売台数の約半分を環境対応車にしたい考えだ。

5兆元の投資で、毎年の名目GDPを1兆5000億元程度押し上げる効果があり、雇用を1500万人創出する。

同局幹部は「現在は鉄鋼などのエネルギー消費型産業が経済をけん引しているが、次の10年はグリーン産業が経済をけん引するようにしたい」と話す。

中国では経済発展に伴いエネルギーの消費量が増大中で、07年二酸化炭素排出量は世界1位で全体の2割強を占める約60億トン。エネルギー局幹部は新エネルギー産業の振興計画を通じ、CO2排出量が、計画を実施しない場合に比べ約12億トン削減できると見込んでいる。

2010年7月24日

中国 スマートグリッド

中国は新エネルギーとは別に、温暖化ガスの排出抑制につながる原子力発電にも力を入れる。09年末で約900万キロワットの発電能力を20年末には8000万キロワット以上に高める。

新エネルギーの大半を担う風力や太陽光発電は天候の影響を受け出力が不安定という弱点がある。現在は風力発電設備の3割程度が送電網に接続していない。このため通信機能を使い送電網内の電力の過不足を調整するスマートグリッドを全国規模で導入する。

2010年7月23日

風力・次世代送電網

中国の国家エネルギー局がまとめた。「新エネルギー産業振興計画案」で5兆元の投資が盛り込まれた。近く国務院(政府)に提出し、来年までに決定する見通し。政府補助金などを通じ企業が手掛ける新エネルギー事業に資金を提供する。

計画では温暖化ガスの排出抑制へ再生可能エネルギーの発電能力を大幅に高める。風力、太陽光、バイオマス発電の新規設置に力を入れ、09年末で約1800万キロワットの発電能力を20年末に約11倍の約2億キロワットに増やす。

2010年7月22日

中国の新エネルギー

中国の新エネルギー産業振興計画案の骨子
投資総額
政府が新エネルギー分野(風力発電、太陽光発電、バイオマス、次世代送電網など)に5兆元(約65兆円)を投資
達成目標
新車販売台数の約半分を電気自動車など環境対応車に
風力太陽光など再生エネルギーの発電能力を11倍の2億キロワットに
原子力発電所の発電能力を約9倍の8000万キロワット以上に
スマートグリッドを活用した電力供給体制を全国整備
経済効果
新規雇用を1500万人創出

中国新エネルギーに65兆円

中国政府は2011~20年の10年間に、環境負荷が小さいエネルギーの産業振興に5兆元(約65兆円)規模を投じる方向で検討に入った。風力発電、太陽光発電、バイオマス発電、電気自動車(EV)、IT(情報技術)で電力を効率的に供給する次世代送電網「スマートグリッド」を5本柱とする。

温暖化ガスの排出増加を抑制するほか、一連の投資で名目国内総生産(GDP)を4%分拡大、環境対応と経済成長の両立を目指す。日本や欧米の企業にも商機が広がりそうだ。

2010年7月21日

中国 エネルギー消費 世界一に

国際エネルギー機関(IRA)は20日、中国の2009年のエネルギー消費量が石油換算で22億ドル超に達し、米国を抜いて世界首位になったことを明らかにした。今後、気候変動問題などで中国の発言力が増すとともに、取り組みへの責任が重くなるのは不可避だ。

中国国営の新華社電によれば、中国の国家エネルギー局の幹部は20日、「IEAのデータは信頼できない」と反論。中国のエネルギー消費量は21億3200万トンで米国を下回ると主張した。ただ、算出根拠については「中国とIEAではソースが異なる」として、詳しい言及は避けた。

IEAによると、中国の二酸化炭素排出量は既に07年に米国を抜いて世界最大となっている。

もっとも中国は自国は途上国だとして国連での排出量削減割り当てを拒否する態度をとり続けている。

IEAは先進国を中心に世界のエネルギー需給を安定させる役割を担っているが、中国は加盟していない。世界一の消費国がIEAに参加せず、独自の資源開発や資源外交を進める構図は、エネルギーを巡る構図や資源外交を進める構図は、エネルギーを巡る国際秩序を混乱させる恐れもある。

2010年7月20日

家庭充電型ハイブリッド車

国内自動車各社の環境車戦略
ホンダ 13年までにPHV、EVを投入。HVは米で海外初の現地生産検討
トヨタ 12年前後に市販向けPHVを投入。12年にEV、15年までに燃料電池車を投入
日産 年内に日米欧でEV「リーフ」発売。小型商用車など順次車種追加
マツダ トヨタの技術供与を受け、13年にHV発売
スズキ 今秋から小型車「スイフト」ベースのPHVの公道実験
富士重工 トヨタの技術供与を受け、12年から日米欧などにHV投入
三菱自 4月にEV「アイ・ミーブ」の市販開始。12年度までに新小型EV発売、13年度までにPHV発売

 

プラグインハイブリット車

家庭用電源で充電できるハイブリッド車。容量の大きい電池を積、発信時から短距離は電動モーターの力だけで走り、電池に蓄えた電力が切れるとガソリンエンジンを使う。電気自動車よりも長い距離を連続して走ることができる。通常のハイブリッド車に比べてモーター走行の比率が高まるため、燃費効率がよく二酸化炭素排出量が少ない。

2010年7月19日

電気自動車1号12年めど商品化 

トヨタ自動車と米電気自動車(EV)ベンチャーのテスラ・モーターズは16日、トヨタの多目的スポーツ車(SUV)「RAV4」をベースにしたEVを共同開発し、2012年に販売することで合意した。

すでに試作車の設計・開発に着手、走行試験も進めており、両社の提携による電気自動車1号車となる見通し。RAV4ベースの試作車は、テスラが持つ電池やモーターといった駆動系部品を搭載する。12年の販売に向け、年内に試作車を法人向けに供給して評価を重ねる。両社は5月に資本提携することで基本合意しており、電気自動車の開発、生産、調達など幅広く提携する方針を掲げている。

今回のRAV4に加えて、トヨタの主力セダン「カローラ」などをベースにした電気自動車の共同開発も協議しているもよう。「スピード感を持ってベンチャー企業との提携する成果を導く」としており、実用をにらんだ試作車を素早く立ち上げて電気自動車での技術を確立する。

2010年7月18日

北アフリカで太陽熱発電

日本の官民が来たアフリカ・チュニジアの太陽熱発電事業に乗り出す。第1弾として建設する実証プラントについて、23日に日本とチュニジア両政府が合意する。太陽熱を使った発電は今後、新興国を中心に普及が見込まれ、政府は日本企業の進出を後押ししたい考え。チュニジアの実績などを踏まえ、他のアフリカ諸国や米国やオーストラリアなどにも展開する方針だ。

太陽熱発電太陽光を反射鏡で集めて発電する仕組みで、日射量が多く未利用地が多い地域に向くとされる。こうした条件にかなう北アル理科諸国は、相次いで同発電事業を計画しており、技術を持つ日本企業の協力に対する要望が強い。

予算は約30億円。チュニジア側の39メガワットのガス複合発電所を設け、一体で運用する。太陽熱発電は夜間は発電できないため、不足分を天然ガスなどの発電でまかなう。

北アフリカでは、ドイツやフランスなど欧州勢が大規模な太陽熱発電を計画中。だがギリシャの財政不安などをきっかけに投資は滞っている。日本はチュニジアに足場を築き、盛り返したい考え。世界の太陽熱発電の設備能力は2020年には08年の30倍以上の20ギガワットになるとの試算もある。

2010年7月17日

洋上風力発電

三菱重工業は16日、英電力大手スコティッシュ・アンド・サザン・エナジー(SSE)と低酸素エネルギーの開発協力で合意したと発表した。SSEは英国が推進する洋上風力発電の大型プロジェクトの事業者に選ばれている。SSEのニーズを反映した洋上風車を開発することで、将来の大型受注につなげる。

英政府は2020年までに原子力発電所約30基分に相当する32ギガワットの風車を洋上に設置する「ラウンド3」プロジェクトを進めている。三菱重工は英政府から補助金を受け、出力5千~7千キロワットの洋上風車を開発する方針をすでに決定している。

ラウンド3の事業主体の1社となったSSEと組むことで、英国での洋上設置に最適な大型風車を開発。完了後はSSEからの受注を目指す。

電気自動車を活用したスマートコミュニティー関連技術などでも協力の可能性を探る。

2010年7月16日

北海道で得た排出枠仲介

三菱商事や三井住友銀行など16社は北海道経済産業局と協力し、北海道内の企業や農業関連団体の二酸化炭素の排出枠を首都圏の大企業などに仲介するネットワークを設立する。北海道は豊かな森林資源などを活用したCO2削減案件が多いが、道内で買い手を探すのは難しい。排出枠ビジネスを手掛ける企業などと連携し「国内クレジット制度」の活用を促す。

まず15日に北海道の排出削減案件を紹介する会員限定のサイトを立ち上げ、売り手と買い手を結びつける。12月には東京で商談会の開催も予定している。排出枠は相対取引が多く、今回のような取り組みは珍しい。

参加するのは日本総合研究所や大成建設、排出枠を小口販売するエコノスなど。北海道で発生した排出枠を買い取り、小口に分けて他社に販売したり、カーボンオフセット商品の開発に協力したりする。

北海道で発生する排出枠は豊かな自然を活用する事例も多い。こうした排出枠は買い手にとっても、企業イメージ向上にもつながるため、今後の需要が増えるとみられる。

2010年7月15日

植物原料のプラスチック

植物由来原料を使ったプラスチックを、ペットボトル入り飲料のラベルに利用する動きが広がっている。サントリー食品が今月下旬から果汁飲料のラベルに採用するほか、サッポロ飲料も今年から一部製品で利用を始めた。植物由来プラの採用で商品の環境イメージを高める狙いだ。一方、ラベル素材を作る三菱樹脂は生産量を今年度、4倍に増やす見通しだ。

植物由来プラの混合ラベルは従来のラベルより2割程度割高だが、ラベルの厚みを現在より3割薄い35マイクロメートルにすることで従来とほぼ同等の価格になるという。

植物は生育時に大気中の二酸化炭素を固定化するため、燃やしてもCO2の発生量は差し引きゼロとななすことができる。国内では三菱樹脂が環境素材として米国メーカーから植物由来プラを輸入し、添加剤を加えてラベル材として販売している。

植物由来プラは、通常のプラより固く整形しにくいため、これまでカードの素材などとして使われており、本格的な用途開発は遅れてきた。ペット飲料は消費者に身近で量も多いため、植物由来の素材が普及するきっかえになる可能性もある。

2010年7月14日

新規電力事業者 CO2の負荷軽減加速

大型店舗や工場向けに電力を販売する新規電力事業者が、二酸化炭素排出の負荷軽減に乗り出している。住友商事系の電力事業者が発電所で使うバイオマス(生物資源)燃料の比率を引き上げるほか、丸紅は海外から購入する排出枠を使い、環境負荷を抑える。

住友商事系のサミットエネジーは子会社が運営する発電所で、バイオマスの利用比率を2010年度に70%に引き上げる。さらにバイオマス比率を95%まで高めるため、設備改造も検討している。

丸紅はバイオマスや廃棄物発電所の電気を入札などで積極的に購入する。

NTTファシリティーズや東京ガスなどが出資するエネットは、電力の供給先にグリーン電力証書の販売を始めた。4月から始まった東京都の排出量取引制度で、証書を示せばCO2を一定割合削減したとみなされるなったため、都内の利用者から引き合いが多いという。

ミツウロコの子会社で風力発電所を運営するエムアンドディーグリーンエネルギーは5月に電力小売事情を始めた。蓄電池を使って風力発電した電気を安定供給できるよにする。

2010年7月13日

環境相、25%削減は堅持

小沢環境相は13日の閣議後の記者会見で、臨時国会への再提出を目指す地球温暖化対策基本法案について、野党との修正協議に応じる考えを示した。ただ、温暖化ガスを2020年に1990年比で25%削減する目標は「堅持する」という。

3本柱の「地球温暖化対策税」「国内排出量取引制度」「再生エネルギーの全量固定価格買取制度」についても維持したい考えを示した。その上で「制度設計の段階で意見を取り入れていくこととした。

2010年7月12日

住宅、エネルギー自給型に

家庭で使う電力を安定的に自給自足できる住宅が2011年以降、実用化される。パナソニックは太陽光発電などでつくった電力をためておく大容量の蓄電システムを投入。日本企業が得意とする蓄電池技術を活用する形で、家庭の二酸化炭素排出削減が進みそうだ。

次世代送電網弾み

蓄電池システムはリチウムイオン電池や電力変換器、制御ソフトなどで構成。太陽光発電による電力を夜間や雨天時に使うなど情報技術を駆使して電力の無駄をなくす。

2010年7月11日

排出量取引 欧州景気低迷が影  

世界に先駆けて独自の排出量取引制度(EU-ETS)を導入した欧州連合(EU)も難題に直面している。気候変動対策の次期枠組みの不確実性や、景気低迷に伴う温暖化ガス排出減少の影響で低迷しているからだ。取引制度の将来像は明確でなく、企業の環境投資意欲を失わせかねないとの懸念も広がる。

欧州気候取引所での先物価格は1トン=15ユーロ(約1670円)前後で推移している。国際交渉進展への期待などから4月には価格はいったん上昇したが、交渉先延ばしがほぼ確実となった5月以降、相場は再び低迷している。年平均価格でみると、2009年は前年比で4割も下落しており、排出量取引への関心が低下する恐れもある。

12年末に京都議定書の期限が切れ、空白期間が発生する可能性も出ているが、EUは13年以降もEU-ETSを存続する構え。ただ「EU内の事業所だけに排出枠を割り当てるのは不公平」との指摘は産業界を中心に根強い。フランスが炭素税導入を断念するなど、交渉の停滞は各国の政策にも影響を及ぼし始めている。

2010年7月10日

排出量取引しぼむ機運

先進各国が温暖化ガスの削減を目指して検討している国内排出量取引制度の導入機運にかげりが生じている。日本では地球温暖化対策基本法案が廃案。議会の調整が頓挫した米国では導入のメドがたたず、豪州やカナダなどは様子見に転じた。年末に開く第16回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP16)での交渉の停滞が予想されるほか、景気後退に伴う排出減も勢いをそぐ要員になっている。

日本では関係各省での制度設計が始った6月、鳩山首相が退陣。排出量取引の制度導入を掲げた地球温暖化対策基本法案が廃棄の憂き目をみた。政府は同法案の成立後、1年程度で具体案をまとめる方針だったが、法案成立を見越して動いていた関係各省ははしごを外される形となった。関係者からは「これでは力が入らない」とため息がもれる。

民主党は再生可能エネルギーを全量買い取る固定価格買取制度や地球温暖化対策税の導入こそ盛ったが「排出量取引」の文言は見当たらない。

政治の後押しが不透明になる中で、国民の関心をどう高めるかが課題。

2010年7月 9日

先進国の国内排出量取引制度の検討状況

日本 関係各省が今後1年程度かけて具体案を作成。裏づけとなる基本法が成立せず迷走
米国 2009年に下院で導入法案を可決したが、上院は超党派の調整がつかず成立の見通したたず
カナダ 米国の整備状況にあわせ段階的に導入する方針
豪州 企業の反発や他国の取り組みの遅れなどを理由に導入を13年まで延期
欧州連合 05年から段階的に実施。域内の事業所に排出枠を割り当てて、事業者間の取引を認める仕組み
英国 02年に開始。産業部門は政府と目標に関する協定を結ぶ
ニューランド 08年に森林部門を対象に導入。7月に産業・エネルギー・交通部門を追加

2010年7月 8日

電気自動車用 急速充電器で提携

丸紅は電気自動車向け急速充電電器事業でスペインの電力最大手と提携した。丸紅が販売代理を務める仏製充電器を組み込んだシステム構築を共同で進める。夜間電力を利用する充電器など新製品も共同開発し、1~2年後に発売する考えだ。電気自動車は日米欧を中心に普及が見込まれており、丸紅は今回の提携を充電器拡販の足がかりとする。

スペインの電力最大手、エンデサ社とすでに提携の覚書を交わした。丸紅は仏エスジーティーイーパワー社(SGTE)と急速充電器の販売で提携済み。

エンデサとはSGTEの充電器の設置のほか、充電器の設置場所を把握する一情報システム、課金システムの開発を進める。安い夜間電力を蓄電池にため、急速充電に使う製品の開発にも着手する。

 

2010年7月 7日

非鉄各社、地熱発電を強化

三菱マテリアルなど非鉄各社が地熱発電事業を本格化する。三菱マテは秋田県で今年度から調査を始め、国内5ヶ所で地熱発電の実用化を目指す。JX日鉱日石金属は今年度中に北海道で調査を始め、参入を検討する。地球温暖化防止の観点から、政府の支援策が進んだ。

地熱発電太陽光風力など他の再生可能エネルギーと比べて稼働率が高く、二酸化炭素をほとんど排出しない。

国内の地熱資源量は約2000万キロワットで、現在稼動している地熱発電所は合計50万キロワットと火力発電所1基分程度の出力にとどまる。政府は地熱発電所に建設費に対する補助金の比率を3分の1に引き上げたり、電力会社に優先的な電力購入を求めるなどで、地熱発電の普及を促進する方針を示している。

政府の温暖化対策追い風

三菱マテリアルなどが地熱発電の事業化調査を始めた背景には、再生可能エネルギーの全量買取制度の導入検討など政府の温暖化対策の加速で、長く停滞していた地熱発電が見直され始めた。

再生可能エネルギーの全量買取制度の価格の設定次第ではコスト問題も緩和される。政府は6月に策定した「新成長戦略」でも再生可能エネルギーの導入促進を掲げており、地熱開発の実質的な規制になっている自然公園法や温泉法の見直しに着手する方針だ。

火山国の日本は地熱資源量ではインドネシア、米国に次いで世界3位。インドネシアが2020年に発電能力を600万キロワットに拡大する(07年は約100万キロワット)計画を打ち出すなど海外では開発が加速している。

2010年7月 6日

太陽電池 韓国攻勢

韓国企業が次世代の成長事業として太陽電池への投資を加速している。韓国首位の現代重工業は2011年初めまでに、生産能力を現在の年間37万キロワットから60万キロワットに拡大。新規参入するサムスン電子とLG電子の大型投資を伴う長期計画を策定した。いずれも後発だが、太陽電池は生産量を増やすほど収益性が高まる典型的な早退産業。集中投資で世界大手の一角を占めたい意向だ。

現代重工は2008年5月に生産を開始。これまでに約3000億ウオンを投じて37万キロワット分の太陽電池と32万キロワット分のモジュールを組み立てる設備を整えた。2011年初めまでに太陽電池の生産能力を現在の62%増の60万キロワットに拡大し、全量をモジュールにする製造装置を導入する。

現代重工の販売の主力は住宅への太陽光発電の導入が進む欧州。

2010年7月 5日

2030年にCO2を30%削減

経済産業省は8日、国のエネルギー政策の指針になる。「エネルギー基本計画」を推進することで2030年の二酸化炭素排出量を1990年比で約30%減らせるとの試算を公表した。家庭部門は新築住宅の省エネなどで34%、産業部門は設備更新時の先端技術導入などで27%をそれぞれ削減。さらに原子力発電所14基の新増設などで達成を見込む。

経産省は30年をメドに策定した「エネルギー基本計画」で①海外権益を含むエネルギー自給率を現行の38%から70%程度に上げる②CO2を出さないゼロエミッション電源の比率を現状のほぼ2倍の約70%にする。――などの目標を掲げており、目標を達成することで減らせるCO2排出量を試算した。

鳩山前政権が打ち出した20年までの25%削減目標に対する試算とは別になる。

日本のCO2排出量は90年時点で10.6億トンだが、基本計画では30年に7.3億トンに減らす。2007年時点で90年よりも増えているため、07年比では約5億トンの削減になる。

家庭やオフィスなどの民生部門ではエネルギー効率が高い照明や空調設備の普及などの省エネ対策を徹底して目標達成を目指す。運輸部門は新車の最大7割を次世代自動車にう切り替えることなどで29%に削減につなげる計画だ。

今回の試算に合わせ、累積投資額見通しも示した。総額131兆円で、このうち住宅・建築物の省エネ対策(削減量約5900万トン)で50.3兆円、再生可能エネルギー導入で26.1長円を見込む。原子力発電は5.6長円をかけて約1億6000万トン削減する。

2010年7月 4日

電気自動車向け 電池、充電性能5倍

東京大学の水野教授らとトヨタ自動車などは、次世代の電気自動車に載せる新型電池の研究開発に乗り出す。現行のリチウムイオン電池の5倍の性能を持つ新材料の開発を目指す。5年間で実用化につながる基盤技術を確立する方針だ。

研究開発には日本触媒と東北大学、産業技術総合研究所も参加する。次世代電池として有望視されている①多価カチオン型電池②全固体型電池③金属空気電池――の3種類に取り組む。東大などが次世代電池に使える新材料を開発し、トヨタが電池の評価や安全性の検証などを担当する。

リチウムイオン電池はノート型パソコンなどに搭載されている充電池で、ハイブリッド車のニッケル水素電池に代わり電気自動車でも利用が始っている。充電性能を示すエネルギー密度あたり約100ワット時で、今後の性能向上の限界は同250ワット時ほど。ただ、電気自動車がガソリン車並みの走行距離を達成するには、同500ワット時前後が必要とされ、リチウムを上回る新材料の開発が求められている。

2010年7月 3日

水力発電機事業を統合

日立製作所と三菱重工業、三菱電機は水力発電機器事業を統合する。2011年に新会社を設立、3社の事業を集約する。技術や営業ノウハウなど3社の経営資源を組み合わせて大型案件の入札で提案力を高め、海外市場を共同開拓する。水力発電は国内で大型案件が出尽くす一方、海外では二酸化炭素を排出しない発電として、新興国を中心に新設計画が相次ぐ。3社連合は高い技術力により、受注で先行する海外勢を追撃する。

日立は水車や発電機など、水力発電システムの主要機器を一貫して生産する。一方、三菱グループ2社は三菱重工が水車を、三菱電機が発電機を担当する分業体制を敷く。3社とも高出力、高効率で、出力調整もできる大型設備を得意とする。

統合新会社の売り上げは海外事業も含め300億円規模となり、国内最大手の東芝と並ぶ規模となる。国内の水力発電事業の売上高はそれぞれ100億円前後とみられる。

一方、海外では地球温暖化防止に役立つ発電手段として水力発電が再評価されている。水資源が豊富なアジアや北米、中南米で安定した成長が見込める。水力エネルギー需要の伸びは年2~3%と、総エネルギー需要の伸び(1.5%)を上回る。

現在、年5000億円規模の世界市場は独フォイト・ハイドロ、仏アルストム、オーストリアのアンドリッツの欧州3強が過半を押さえ、中国企業が続く。日本勢は総じて出遅れている。

 

2010年7月 2日

世界最大級の太陽光発電所

三菱商事は1日、タイで世界最大級の太陽光発電所を建設すると発表した。総事業費は220億円で、2011年末までに稼動する予定。太陽電池についてはシャープが納める。欧米に続き、電力需要の見込めるアジアで太陽光発電に取り込む動きが広がってきた。

三菱商事子会社である香港DGAと、香港の電力会社、タイの独立系発電事業者の3社が均等出資により、ナチュラル・エナジー・デベロップメント(NED)を設立。バンコック北部のロッブリ県に発電容量7万3千キロワットの発電所を建設する。発電した電力はタイ電力公社に売電する。NEDはシャープやタイの建設会社など3社と機器調達や発電所建設で一括契約。シャープは3月に操業を始めた堺工場などで生産する薄膜型の太陽電池を納入する。

2010年7月 1日

電気自動車、出力で区分

普及拡大が見込まれる電気自動車について、国土交通省はモーターの出力性能に応じた新たな分類基準を設ける方針を固めた。現在は2段階しかないモーターによる出力区分をよりきめ細かくする方向。ガソリン車で「軽」に分類されるような小型車体に、強力なモーターを積んだ危険性の高いEVを実質的に排除するのが狙いだ。

現行の道路運送車両法では、従来の乗用車はエンジン排気量や車体の大きさに応じて「普通」「小型」「軽」「原付」に分かれている。EVは搭載する電気モーターの出力によってミニカー(0.6キロワット以下)と、それを超えるものの2段階しかない。ミニカー以外のEVは車体の外寸で普通、小型、軽に分けている。

例えばEVの車体が軽自動車サイズで、ガソリン車の普通車並みの3000ccクラスの強力な電気モーターを積んでも、法的には「軽」。この状態を放置すれば、車体強度に見合わないパワーを持つ電気自動車が増える恐れがある。同時に、軽自動車として税制上の優遇措置は引き続き受けられる事態お想定される。

国交省はこうした事態を是正し、出力に見合ったEVの新たな区分を導入する。今年度中にも具体案を詰める。

乗用車の駆動装置の現行区分

区分 エンジン排気量 モーター出力
普通車 2000cc超 0.6キロワット超(ここに分類基準を新設)
小型車 660cc超2000cc以下

軽自動車 50超660cc以下

ミニカー 50cc以下 0.6キロワット以下