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2010年6月30日

排出量取引

経済産業省は国内排出量取引の制度設計を検討する有識者会議の初会合を開いた。産業界の出席者から負担増や生産活動への影響を懸念する声が多くあがり、導入に慎重な姿勢が目立った。国民への周知不徹底や削減効果の分析不足といった課題も指摘された。会議は7月に欧州の導入例を研究するなど、企業の実情に沿った制度設計を進める構え。

座長を務める寺島日本総合研究所会長は会議後、記者団に「排出量取引を導入すれば済むというのは楽観的。環境税など様々な手法とあわせて検討したい」と話した。

排出量取引は企業などに排出量の上限を設け、過不足を事業主体間の売買で穴埋めする制度。政府は国会審議中の地球温暖化対策基本法案で施行後1年以内に具体案をまとめるとしており、経産省のほか、環境省の制度設計に着手している。

企業側には行き過ぎた省エネ努力は生産の妨げになるとの懸念がある。

2010年6月29日

低温型の地熱発電  

従来は利用されていなかった100度程度の熱水や蒸気を使う発電方式。沸点が水より低いセ氏35度程度の「ペンタン」と呼ばれる化学物質を熱水や蒸気で気化させてタービンを回すことで、電力を生み出す。使用した蒸気や熱水は全量を地中に戻すため、地下水位の低下も抑えられる。従来の高温型の地熱発電はセ氏200度以上の蒸気が必要。使用する蒸気のうち3割は大気中に放散し、地下水位の低下を招く恐れがあった。熱水も使わず地下に戻していた。

2010年6月28日

CO2回収法確立へ実験

Jパワーは18日、独立行政法人の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同で、石炭火力発電所から二酸化炭素を分離・回収する新しい実験を始めると発表した。高温高圧の石炭ガスを使う次世代型石炭ガス化複合発電に対応した回収法を採用する。従来型手法とあわせて様々な次世代型石炭ガス化複合発電の技術で世界最先端を目指す。

若松研究所で実施中の石炭ガス化発電技術開発事業「EAGLE」の実証設備を使い、今年度から4年間実験をする。4年間の予算は約90億円の見通しで、NEDOが最大で3分の2を補助する。若松研究所は世界で初めて石炭火力でCO2分離・回収に成功した実績がある。

2010年6月27日

JFEが「低温地熱」設備    

JFEホールディングスは、これまで有効利用できなかった低音の地熱を使う発電設備事業に参入した。同事業を米国で展開するオーマット・インターナショナル社(ネバダ州9と提携、地中から取り出すセ氏100度程度の熱水や蒸気を使った同社のプラントを国内に導入し、小規模な発電所として電力会社に売り込む。

同方式の発電は温泉地などの自然エネルギーを活用し環境負荷を抑えられるのが特徴で、本格的に国内で展開するのは初めて。

JFEホールディングス子会社のJFEエンジニアリングがオーマット社と提携し、営業を始めた。オーマット社は世界65ヶ所で出力120万キロワット分(原子力発電1基分に相当)低温地熱発電所の建設実績を持つ。JFEエンジは従来の「高温型」の地熱発電で配管などの設計・製造を手掛けている。これらの設備とオーマット社の熱交換器やタービンなどを組み合わせて、出力250キロ~1万5000キロワット程度の小規模なプラントを販売する。

2010年6月26日

エネルギー源別の発電方式の比較

エネルギー源別の発電方式の比較

CO2排出量の単位はキログラム、電力業界の試算で1キロワット時あたり(燃料採掘から設備保守まで含む)

特徴 二酸化炭素の排出量
石炭火力 燃料の埋蔵量が豊富。安定した発電が可能

0.9

石油火力

            〃

0.7

LNG火力             〃

0.6

太陽光 天候に左右されやすい

0.05

風力             〃

0.03

原子力 発電効率は高いが、安全管理コストが高い

0.02

地熱 環境負荷は小さいが、立地は限定

0.02



2010年6月25日

チリ「新エネルギー20%目標」

福井市で開催したアジア太平洋経済協力会議(APEC)エネルギー相会合に出席のため来日中のチリのリカルド・ライネリー・エネルギー相は19日、「2020年までにエネルギー供給の20%を(風力などの)新エネルギーで賄う」との目標を示した。2023年以降には原子力発電を初めて導入する可能性があるとも語り、同国のエネルギー政策を見直す方針を示した。

エネルギー相は、風力太陽光などの再生可能エネルギーの導入を拡大することに加え、エネルギー消費の抑制などで目標達成は可能だと指摘。「2023年には必要な人材や技術が整うとみられ、原子力発電を導入することが可能になる」と語った。

同国初の原子力発電を導入することでエネルギーの需給ギャップを解消したい考えだ。

2010年6月24日

太陽電池 中小が投資拡大

太陽電池関連の中小メーカーが設備投資を拡大している。TKXは18億円を投じてシリコン製部材の生産能力を2割増強。英弘精機は性能評価装置の増産に数億円を投じた。世界で急成長する太陽電池の需要に対応。独自技術を盛り込んだ製品の供給力を高め、国内外の電池メーカーに売り込む。

TKXが増産するのは太陽電池の発電機能を担う部材。

主力の長浜工場の製造設備を10月をメドに増強。生産要員も2割増やし、他の2工場を含めた生産能力を月1800万枚に引き上げる。すでに推定3割強のシェアを握る国内に加え、急拡大する海外需要も取り組み、まずは2010年12月期の売上高を約300億円と前期比4割増す計画だ。

英弘精機は太陽電池の性能を評価するのに使う「日射計」の生産能力を月産200台に倍増。組立要員の増員も検討する。同社の日射計はセンサー部分などの工夫により、波長が1700ナノの光まで正確に測れる。天候や湿度の変化にも影響されにくい利点を訴え、韓国や中国などへの輸出を拡大する。

2010年6月23日

温暖化対策と成長両立

アジア太平洋経済協力会議(APEC)は19日に福井市でエネルギー担当会合を開き、閣僚宣言である「福井宣言」を採択して閉幕した。温暖化ガスの排出削減に向け、原子力発電所の新増設を進める方針を盛り込んだ。議長を務めた直嶋経済産業相は終了後の記者会見で「11月のAPEC首脳会議で議論する成長戦略に、今回の成果を反映させたい」と語った。さらに温暖化対策と経済成長の両立を目指す考えを表明した。

会合では「エネルギー安全保障に向けた低酸素化対策に関する福井宣言」を採択。ゼロミッション分野では、再生可能エネルギー原子力発電所などの導入を促すため、国ごに数値目標と行動計画を策定するよう求めた。国によって原発や太陽光発電など採用しやすい技術を使い、温暖化ガスの排出削減につなげる。

原子力発電所の新増設で温暖化ガスの排出を減らす方向で一致。中国は現状の11基に、さらに28基を上積みする方針を説明した。域内では韓国やベトナムなど原子力発電拡大を計画する国が多い。

直嶋経済産業相は会見で「日本の原子力の安全性、運営ノウハウを提供したい」と述べ、技術移転に意欲を示した。各国の建設競争が日本の商機拡大につながると判断したもうようだ。ただ原子力発電の廃棄物処理などの課題は手付かずのままで残された。

2010年6月22日

バイオ燃料量産

JXホールディングス傘下の新日本石油は2015年度をめどに、製造工程での二酸化炭素排出量を減らすバイオ燃料の商業生産に乗り出す。約200億円を投じ東南アジアに生産設備を建設し、国内で販売する。生産コストを1リットル40円に抑え、輸送費を含めてもガソリン並みとなる販売価格をめざす。

新日本石油が昨年2月、トヨタ自動車や東レ、三菱重工業など5社と設立した技術研究組合で開発中の技術をベースに事業化する。15年度に事業会社を設立、組合参加企業などの出資も募ったうえで、まず年1万キロリットルの生産を始める。

東南アジアで育つ、食用にならない高さ2~3メートルのイネ科の植物を使うのが特徴。日本のバイオ燃料はブラジル産のサトウキビ由来の燃料を輸入するのが主流。新日石は製造工程で廃棄物になる成分も燃料として再利用し、製造・輸送時を含めたCO2排出量を大幅に減らす。

20年度には、燃料用の植物60万トンを栽培し、現地でバイオエタノール20万キロリットルを生産。輸入して国内の給油所で販売する。

経済産業省は今年3月、製造・輸送時含む全工程のCO2をガソリンと比べ50%以上減らすとした基準を打ち出しており、新製法はこの基準を満たせるという。

2010年6月21日

電気自動車実質200万円

三菱自動車は2012年度をめどに電気自動車の価格を3割下げ、200万円程度で販売する。中核部品の新型電池の量産により大幅にコストを低減。販売価格に反映する。日産自動車は7月に発売する小型車「マーチ」の燃費性能を現行モデルより3割以上向上させ、価格は据え置く。二酸化炭素の排出減など、環境性能を大幅に向上したうえで割安感を消費者に訴え、需要を喚起する。

最もコストがかさむリチウムイオン電池の新工場を12年4月に稼動。年産7万台になり、量産効果により1台あたり250万円かかっていた電池調達コストを100万円以下に引き下げる。モーターや充電器も、納入する部品会社と協力し、量産しやすいように部品や部材の点数を絞り込む。

組立ラインの自動化も進め、生産開始時に2%にとどまっていた組立の自動化率を早期に通常のガソリン車並みの1割程度に高める。

2010年6月20日

県別 温暖化ガス 排出量

環境省と経済産業省は18日、2008年度の企業による温暖化ガスの排出状況をまとめた。新日本製鉄君津製鉄所などを抱える千葉県が集計開始以来3年連続で1位だったが、急速な景気後退を受けて生産が減り、排出量は前の年度に比べ7.3%減った。オフィス部門を抱える東京都などは影響をあまり受けず、排出量が逆に増えた。

年間エネルギー使用量が原油換算で1500キロリットル以上など一定以上の規模の工場やオフィスビルの排出量を二酸化炭素に換算して集計した。上位に大きな順位の変動はないが、自動車関連の工場が集積する2位の愛知県や3位の広島県排出量がいずれも2ケタ減となり、輸出産業に依存する地域の排出量の減少が鮮明に表れた。

2010年6月19日

都道府県別 排出量

都道府県別の排出量

2008年度、カッコ内は前年度順位、▲はマイナス

順位 県名 排出量(万トン) 前年度比(増減率%)
1(1) 千葉

5,211

▲7.3

2(2) 愛知

3,985

▲10.6

3(3) 広島

3,603

▲10.4

4(5) 兵庫

3,588

▲4.7

5(4) 岡山

3,530

▲11.8

6(6) 山口

3,467

▲7.4

7(7) 茨城

3,209

▲1.8

8(9) 神奈川

3,061

▲0.9

9(8) 福岡

2,909

▲8.0

10(10) 大分

2,542

▲9.8



2010年6月18日

路線バス、電気でエコ

国土交通省は路線バスを電気バスに切り替えていくための実証実験を、来年1月に青森市と京都市で始める。軽油などのディーゼル燃料を一切搭載せず、温暖化ガスの排出削減などに役立つとみている。運行ダイヤに支障なく充電・走行できるかなどを検証し、早ければ2013年度の実用化を目指す。また奈良市では小型の電気バス、東京都内では電池切れに備えて燃料を積んだタイプの実証実験を予定しており、普及に向けた動きが加速してきた。

青森市や京都市で採用するのはプラグイン式で充電する電気バス。60人程度が乗れる大型バスで、乗客を実際乗せて運行する。バスは現在、国交省と三菱重工業、三菱ふそうトラック・バスが共同開発中。1度のフル充電(約20分)で約30キロ走れるようにする。

それぞれ青森駅、京都市役所を含む市内循環路線を運行する。1回の運行で10~20キロを走る見込み。電池切れなどの問題が起きないか確認するほか、始発地点や乗客がいったん全員降車する折り返し地点などの充電設備を利用して運行ダイヤに支障なく充電できるかを検証する。

2010年6月17日

電気自動車普及で連携

ベネッセホールディングスやローソン、ガリバーインターナショナルなど電気自動車(EV)に関心の高い大手企業と、全国の関連ベンチャーが、電気自動車普及に向けて連携する。ガソリン車を電気自動車に改造するときの安全基準づくりや技術者育成、ベンチャーの資金調達支援などに取り組む。自動車大手に加え、ベンチャーの動きも活発になれば電気自動車市場の拡大に一段と弾みがつきそうだ。

任意団体「電気自動車普及協議会」の会長には、ベネッセ会長の福武氏が就く。ゼロスポーツ、タジマモーターコーポレーション、ナイオプトニクス・エナジーなど関連ベンチャーのほか、電気自動車事業に関心を持つ大企業や大学なども参加する予定だ。

協議会では、電気自動車の開発や製造、販売、保守にかかわる事業者が満たすべき基準を2010年度中に策定。12年度までに電気自動車技術者3千人を教育することもめざす。会員から小口の出資を集めベンチャー資金として活用したり、電気自動車に必要な電池などを共同購入したりすることも検討する。

電気自動車は複雑な技術がいらず、参入障壁が比較的低い。用途限定車などが登場しているが、安全基準の整備などは不十分という。協議会では基準づくりについて政府との連携も視野に入れている。

2010年6月16日

風力発電機 相次ぎ新工場

韓国の造船重機大手が風力発電機の新工場を相次ぎ新設している。現代重工業は韓国西部に発電機の組立工場を設置したのに続き、中国でタービン工場を来年1月に稼動する。大宇造船海洋もカナダに組立工場を新設する。造船市況の落ち込みを受けて昨年着手した新事業だが、生産設備の急拡大により受注体制が整ってきた。

現代重工は韓国・全羅北道の群山に発電機の組立工場を建設した。13万2000平方メートルの敷地に1057億ウォンを投じ、年間60万キロワット分の発電機を生産できる体制を整えた。当初は出力1650キロワットの発電機を手掛け、2000~5000キロワットの大型タイプに順次、製品群を拡充。2013年に年間80万キロワットまで生産能力を増強する。

さらに同社は、中国・山東省の電力業者である大唐山東発電と新会社を設立する投資意向書を交わした。現代重工が80%、大唐山東が20%を出資。出力2000キロワットに対応するタービンで年間300基の生産能力を持つ工場を設置。2011年1月から本格稼動する。

大宇造船海洋はカナダと共同で風力発電機を生産する新会社を設立し、年間250基を生産する新工場を来年初めに稼動する。

サムソン重工業も韓国南東部にある造船所の近隣で風力発電機の新工場を今年1月に着工。

 

2010年6月15日

下水使い冷暖房

国土交通省は下水から熱エネルギーを取り出し冷暖房向けに供給する事業を各地に広げるため、民間企業にも下水の引き込みなど必要な業務への参入を認める方針だ。自治体に限定している事業を民間に開放するため、来年の通常国会に下水道法などの改正案を提出し、早期実現を目指す。現在の熱供給地域は東京都と岩手県の一部にとどまるが、利用が広がれば、二酸化炭素の排出抑制など温暖化対策にもつながるとみている。

下水は夏場は外気よりも5度ほど低く、冬場は逆に5度ほど高いとされる。夏場は外気よりも低音の下水を引き込み、熱供給設備(ヒートポンプ)などを使って、さらに冷たい水をつくれば、オフィスの冷房などに利用できる。また冬場は暖房に活用できる。ヒートポンプなどシステムの稼動には一定のエネルギーが必要になるものの、通常の冷暖房に比べてCO2の排出量を約4割減らす効果があるという。

国交省によると、全国の下水管(約41万キロ)の水を全て熱エネルギーに換えて冷暖房に使えば、電力消費量を年間約36億キロワット減らせる。一般家庭の年間電力消費量の1.9%程度に相当し、CO2排出量を年間約200万トン削減する効果が見込めるという。

2010年6月14日

ポスト京都議論進まず

京都議定書を引き継ぐ温暖化対策の次期枠組み「ポスト京都」を話し合う国連作業部会は11日、ポスト京都の原案となる新たな交渉文書をまとめて閉幕する。ただ交渉は遅れ気味で、最終合意が来年末以降にずれこむことはほぼ確実。京都議定書とポスト京都の間に生じる「空白期間」を埋めるための議論も始まり、京都議定書の暫定延長論が勢いを増す可能性もある。

会議には約180ヶ国の代表が参加した。新たに作成した交渉文書は、ポスト京都に関する各国の主張を列記するとともに、昨年末の第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)で作成した政治文書「コペンハーゲン合意」の内容を盛り込んだ。今後の議論はこの文書がたたき台となる。

もっとも各国に割り当てる排出削減目標や、先進国による途上国支援の枠組みなどポスト京都の中核要素の本格交渉はこれから。先進国グループ内の意見の食い違いも表面化している。金融危機で欧州諸国を中心に先進国の財政は急速に悪化しており、追加的な途上国支援策を示しにくくなっていることも交渉を難しくしている。

法的文書としてポスト京都がまとまるのは、来年末に南アフリカで開かれる第17回締約国会議(COP17)以降となる見込み。京都議定書は2012年末で期限がきれるため、13年からポスト京都に円滑に移行するとは極めて困難な情勢だ。

2010年6月13日

バイオ燃料、日米で共同研究

日米両政府は12日、温暖化ガスの削減へ向け、バイオ燃料の新しい生産法などの共同研究を始めることで合意した。3年間で計10億円程度を投じる。ジョン・ホルドレン大統領補佐官(科学技術担当)と川端文部科学相が同日、都内で日米科学技術高級委員会を開き、研究の実施を盛り込んだ共同声明を出した。

海洋中の藻類の動きを使い、燃料を効率的に作り出す方法などを研究する。日本の科学技術振興機構と全米科学財団(NSF)を通じて今夏にも共同研究の課題を公募し、3件程度を選んで助成する。助成金は日米が折半する。

2010年6月12日

バイオ燃料 木材から精製プラント

新日鉄エンジニアリングと王子製紙は木材からバイオエタノールを精製するプラントを共同開発する。2011年度にも広島県内に試作用のプラントを建設して実証を進め、14年度の商品化を目指す。バイオ燃料の主原料は国内では調達しにくいトウモロコシやサトウキビが中心。廃材や古紙を原料に使える利点を、燃料製造事業者に売り込む。

破砕した木材をプラントに投入し、「糖化」「発酵」といった工程を経てバイオエタノールを精製する。研究レベルではユーカリを使ったバイオエタノールの精製に成功しており、理論上は1トンのユーカリから、濃度99.5%超の無水バイオエタノールを約300リットル精製できるという。

試作用のプラントは広島県呉市の王子製紙の工場内に建設する。投資額は10億~15億円程度で、原料の木材換算で日量1~2トン程度の処理能力を持たせる。パームヤシの殻や古紙などを使ったバイオエタノール精製の技術開発も進める。

プラントの商品化時点でのバイオエタノールの製造コストは、1リットルあたり40円程度の想定で、トウモロコシやさといキビから製造するのと同程度の水準を目指す。プラントの価格は未定だが、処理能力が日量数百トン程度の大型プラントを商品化する。

バイオエタノールは環境負荷の低い燃料として注目を集めているが、原料のサトウキビやトウモロコシは穀物相場の動向などで調達が困難になるケースもある。木材を使うプラントを実用化すれば、原料調達の多様化に加え、建設廃材などの有効利用にもつながる。

2010年6月11日

太陽電池 攻防、100万キロワット台

2位のサンテックは中国の巨大工場でパネルから発電装置までを一貫生産する。フル生産に入ればファーストソーラーと同等の年産100万キロワットを超える。

100万キロワット台の攻防を続ける米中2社に対し、シャープの2009年の生産量は60万キロワット720億円の大投資で3月に立ち上げた堺市の薄膜型太陽電池工場は、ゆくゆくは「100万キロワット規模にする」計画だが、当初の年産は16万キロワットにとどまる。

米中2社が圧倒的な物量と価格で攻める中、3位以下は戦略の見直しを迫られている。

2009年、前年の首位から4位に転落した独Qセルズ。自国の旧式ラインでは価格競争に勝てず、欧州内の大型発電所の商談を米中2社などに奪われた。2009年は5000億円を超える営業損失に沈んだ。

追い込まれたQセルズはドイツ工場の一部ラインを閉鎖。マレーシアに新工場を立ち上げた。

日本勢もシャープが今年度から結晶型大型太陽電池で「外部のファウンドリー(受託生産会社)の利用を考える」。三洋電機も大型の発電所向けに外部の太陽電池を使う。

かつての半導体DRAMや液晶テレビと同様に、太陽電池でもコモディティー化が始った。規模に裏打ちされた価格競争力がなければ、ここから先に進めない。退くタイミングを逸すれば損失を広げることにもなりかねない。

2010年6月10日

太陽電池 性能より規模

2009年に太陽電池の世界生産シェアで上位5社に入った日本勢は3位のシャープのみ。前年5位の京セラは7位、10位の三洋電機は13位、15位の三菱電機は22位に後退した。上位5社に日本の3社が名を連ねた2006年から失地が続いている。

3位のシャープもうかうかしてはいられない。首位の米ファーストソーラーは、生産量を08年の2倍に増やし、世界で初めて年間の生産量が100万キロワットを超えた。2位のサンテックも生産を41%増やしている。これに対しシャープは25%増。上位2社の背中は遠ざかった。

普及期に入った太陽電池の競争力を決めるのは、発電効率などの「性能」より「規模」だ。

100万キロワットの大台を超えたファーストソーラーは、主力工場をマレーシアに置き主原料に割安なカドミウムを使う。同社の生産原価は1キロワット810ドル(約7万5000円)。業界平均とされる3000ドル(約27万円)を大きく下回る。2009年、太陽電池の価格は4割近く落ちたが同社は30%強の利益率を維持した。

2010年6月 9日

太陽電池

「日本のお家芸」とされる太陽電池の世界市場で異変が起きている。2012年の稼動を目指すタイの大型太陽光発電所プロジェクト。79億6000万バーツ(約220億円)を投じ7万3千キロワットと世界最大級の出力規模を予定している。

三菱商事などが出資する現地の太陽光発電会社が事業主体で、資金面はアジア開発銀行の主導。日本にゆかりの深い案件だけに薄膜型太陽電池の供給メーカーはシャープが有力視されていた。

しかし実際にはシャープの「楽勝」ではなかった。中国のサンテックパワーが結晶型太陽電池で破格の条件を提示し、タイ側が一時、サンテックに傾いたのだ。シャープが条件面で応戦し、最後は受注を守ったが、中国勢の価格競争は日本勢の驚異になってきた。

2010年6月 8日

グリーンインダストリー

世界各国で太陽光風力発電次世代送電網(スマートグリッド)の本格導入が始り、グリーンインダストリーの競争軸は「開発」から「量産」に移った。開発で世界に先行した日本企業は量産のステージでも勝てるのか。

2009年の太陽電池の生産量ランキング(単位:万キロワット、%。順位のカッコ内は前年順位)

(注)米PVニュース調べ。▲はマイナス

順位 メーカー 生産量 前年比増減率
1(2) ファーストソーラー(米)

101

100.5
2(3) サンテックパワー(中) 70 41.5
3(4) シャープ 60 25.8
4(1) Qセルズ(独) 54 ▲5.9
5(6) インリー・グリーンエネルギージー(中) 53 86.5
6(7) JAソーラー(中) 51 83.8
7(5) 京セラ 40 37.9
8(10) トリナソーラー(中) 40 90.0

9(8)

サンパワー(米) 40 68.0
10(13) ジンテック(台) 37 104.4
13(10) 三洋電機 26 23.8
22(15) 三菱電機 12 ▲18.9


日本経済新聞社による

2010年6月 7日

高効率 新エネルギー源に

東京都内で開かれた太陽電池の見本市。国内外から集まった多様な太陽電池に交じって、旭硝子が巨大な凹面鏡を出店した。

人の背丈を越える鏡の反射率は95%を超え、通常の鏡より5ポイント以上高い。太陽熱発電の基幹部品だ、旭硝子はこの鏡をベルギーで製造し、欧州の太陽熱発電所向けに供給し始めた。

東芝は太陽熱発電向けの新型タービンを開発した。既に「米国の電力会社から引き合いが来ている」。年内に出力10万~20万キロワット級の大型タービンの受注を見込む。セ氏1000度を超える熱を作り出す火力発電に比べ、太陽熱の温度は低い。東芝は火力より低温の蒸気を利用する地熱発電用タービンの技術を転用する。

今後、電力需要が増える新興国には土地や日射量に不自由しない地域が多い。発電コストが割安な太陽熱発電は、太陽光や風力と並ぶ自然エネルギーの中核となる可能性を秘めている。

2010年6月 6日

米の原油流出事故 その2

英タイムズ社説(29日付け)は「オバマ大統領はBP批判を抑制してはならない。同社は常に流出事故の被害を低く見積もってきた。汚染の程度は同社が認めるよりずっとひどいものだ。一方で、海底での原油掘削を続けなければならないのが現実でもある。リスクがあるのは明らかだが、今後すべての掘削を停止することへのオバマ氏の慎重姿勢は正しい」と指摘した。

英インディペンデント社説(28日付け)は「原油流出事故はオバマ大統領にも打撃を与えた。その憤りは米政府の危機対応への無力感と失望感を映す。事故を起こした外国企業のみが事故対応の設備とノウハウを有していることを認めざるを得ない状況だ。事故の教訓はまず規制の強化が必要ということ、ついで化石燃料、特に原油への依存を小さくするエネルギー政策が米国には必要ということだ」と述べた。

「日本経済新聞」より

2010年6月 5日

米国の原油流出事故 その1

米ルイジアナ州沖の原油流出事故に関し、オバマ米大統領は海底油田掘削解禁措置を半年間延長するなどの対応策を発表した。

米ワシントンポスト社説(28日付け)は「オバマ大統領はメキシコ湾での英BPの原油流出事故に関する過去数週間の責任のなすりつけあいに、歓迎すべき終止符を打った」と評価。「多分最も重要なのは、この原油流出が化石燃料への依存がもたらすコストを米国民に喚起し、理性的かつ包括的な温暖化防止、エネルギー関連の法整備の必要を強調したことだ」と指摘した。

米ニューヨーク・タイムズ社説(27日付け)は「大統領の発表で重要なのは、再発防止のための沖合掘削の一時停止と原油開発産業の監督強化などの約束だった。今回の事故現場よりさらに深く危険な場所での沖合い掘削が行われている以上、これは必要な措置だ」と論評した。

2010年6月 4日

排出量価格 内外で上昇

二酸化炭素など温暖化ガスの削減策である排出量取引の価格が内外で上昇している。国際指標の欧州先物相場は2009年末の底値から25%上がり、スポット(随時契約)価格も約1年ぶりの高値に達した。世界的な景気回復の兆しを受け、温暖化ガスが増えるとの観測が相場を押し上げている。国内価格も上昇基調を強めており、日本企業などの調達コストが今後膨らむ可能性が出てきた。

世界最大の温暖化ガス取引所である欧州気候取引所(ロンドン)では現在、欧州の排出量取引制度(ETS)に基づく10年12月決済の先物相場が1トン15.59ユーロ。約7ヶ月ぶりの高値となり、08年秋のリーマン・ショック前の高値まで、底値から半分ほど戻した。

欧州では南欧諸国の信用不安を抱えながらも、電力需要が増え始めている。ドイツなどでは発電量全体のうち石炭火力の比率が半分を占めることから、域内の排出量の伸びにつながりそうだ。

2010年6月 3日

「浮かぶ風車」で洋上発電

環境省は2012年度末にも、風車を海に浮かべて発電した電気を海底ケーブルで地上に送る「浮体式」洋上風力発電の実証試験を始める。浮体式は深い海域にも設置できるので、風車の土台を海底に固定する「着床式」に比べ導入可能な場所が5倍以上に増える。風力発電は騒音などの問題から地上設置が難しくなっている。洋上に増設して温暖化ガスの削減につなげる。

浮体式は着床式と異なり、水深が50メートルを超える海域に設置できる。発電能力は標準的な出力2000キロワット規模を想定。全長は100メートル以上、風車を海上に浮かせてチェーンで海底に固定する。発電した電気は海底ケーブルで地上の変電所に送る。14年度までに実験し、発電や送電の性能、耐久性、海洋生物への影響などを調べる。環境省は20億円を拠出する。

浮体式の建設や性能を評価する企業・大学を今月末にも募集する。ケーブルで地上に送電する研究は、住友電気工業と日立電線が折半出資する電力ケーブルメーカー、ジェイ・パワーシステムズと海上技術安全研究所が実施する。

2010年6月 2日

電気自動車 中国が購入補助

中国政府は1日、上海市など5都市で電気自動車など新エネルギー車の購入補助制度を試験導入すると発表した。消費者の購入代金の一部を政府が補てんする。補助額は電気自動車で最高6万元(約80万円)、家庭などで充電できるプラグイン型のハイブリット車で最高5万元と定めた。通常のHV車は対象から外れた。

5都市は上海、長春、深3、杭州、合肥、。国有自動車大手の本拠地のほか、新エネルギー車で先行する比亜迪や、高級プランド「ボルボ」の買収で有名となった逝江吉利控股集団のお膝元が選ばれた。

BYDが最近発売したプラグイン型のHVの購入価格は17万元から12万元程度さがるとみられるが、「同レベルのガソリン車に比べまだ高い」との見方もある。地方政府などが一段の購入補助を追加する可能性おありそうだ。

2010年6月 1日

代替エネルギー、一層重要に

オバマ大統領は26日、カリフォルニア州フリーモント市で演説し、メキシコ湾での原油流出事故に触れて「代替エネルギーの必要性が高まっている」と述べた。太陽電池や自動車向け高性能電池の開発を強化する必要があると指摘。現在は自動車向け高性能電池に占める米国製のシェアが2%以下だが「今後5年で40%に引き上げる」と改めて強調した。

米政府の資金支援を受けて増産準備を進めている太陽電池メーカー、米ソリンドラの工場を視察し、従業員らに向けて演説した。大統領は深海における油田開発について「リスクやコストが高まり、いつまでも続けることができない」と指摘。

一方、ソリンドラが建設を進めている新工場については「3000人の労働者が建設に携わっているほか、生産・販売のために1000人が雇われる」と、雇用増への貢献にも触れた。