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2010年3月31日

太陽光発電 20年に35倍

環境省は19日、2020年までに温暖化ガス排出を1990年比25%削減する目標の達成に向け産業・エネルギー分野の対策案を正式に公表した。原子力発電所の稼動率を88%に引き上げるほか、太陽光、風力地熱などの自然エネルギーを大幅に増やす。次世代送電網の実現も急ぐ。

同日午前に開いた有識者検討会で提示した。それによると、発電時に二酸化炭素を出さない原発の導入拡大や稼働率向上を進めると共に自然エネルギーを積極活用する。太陽光発電は現状の35倍、風力発電は10倍に増やす。

河川などに設置する中小水力発電を15倍、地熱発電は3倍に引き上げる。太陽熱を利用した温水器の設置世帯数も3倍にする。また、通信機能を備えた次世代電力計を8割りの世帯に設置し、スマートグリッドを整備して電力需給を最適化する。

2010年3月30日

温暖化対策ちぐはぐ

地球温暖化対策を巡り、政府内で食い違いが出ている。前週末に環境省は国内の温暖化ガスを2020年に1990年比25%減らす目標達成に向け、同省が設置した有識者検討会のロードマップを公表。一方、経済産業省も国のエネルギー制作の指針となるエネルギー基本計画など独自案をまとめた。だが、政府の温暖化対策の中心を担う両省が調整した形跡はなく、ちぐはぐな内容となっている。

両省とも25%減を目指しす点は一致しているが、内容には違いが多い。

例えば20年時点の太陽光発電の発電量について環境省が現在の25~35倍としているのに対し、経済産業省案は20倍にとどめている。風力発電の発電量は10倍対5倍、電気自動車などエコカーの新車販売は250万台対200万台程度といったように経済産業省の方が控えめな目標を示している。

2010年3月29日

原発・排出量取引閣議決定へ調整

温暖化ガスの国内排出量を2020年に1990年比で25%削減する方針を明記する地球温暖化対策基本法を巡り、政府は最終調整に入った。原子力発電の扱いと国内排出量取引制度の2つを法案でどう位置づけるかが焦点。

対立点の一つは原発だ。「脱原発」を掲げる社民党は「原発が温暖化防止に役立つ、というような書きぶりは認められない」と主張。一方民主党や他の閣僚は「(温暖化ガス25%削減のため)必要不可欠」との声が大勢だ。社民党は「温暖化対策として目だった扱いにすべきでない」と主張。

もう一点は企業ごとに温暖化ガスの排出上限を決め、その過不足分を売買する排出量取引制度の設計だ。経済界からは「企業活動の制約につながる」と強い反発がある。

副大臣級検討チームでは、環境省は経済省の意見を反映して①企業に総排出量の上限を課す「総量規制方式」②生産量当たりの排出削減を課す「原単位方式」の2つをセットで導入する案を提示した。

2010年3月28日

企業の環境投資1.5兆円

民間企業が2008年度に環境対策に振り向けた投資額は設備投資全体の3.2%にあたる1兆5232億円だったことが、環境省の初の調査でわかった。このうちのほぼ半分を省エネ対策や太陽光、風力など新エネルギー導入のための投資が占めた。温暖化ガス削減への取り組みなどで、企業が大きな投資を迫られている実態が浮き彫りになった。

環境省の環境投資調査は初めて。従業員300人以上など一定規模を超す企業を対象に昨秋実施、1906社から回答を得た。これをもとに国内全体の投資を推計した。19に午後に発表する。

2010年3月27日

エネルギー自給

国のエネルギー制作の指針になる「エネルギー基本計画」の骨子案が固まった。日本の政府や企業が海外に保有する資源権益も含む広義のエネルギー自給率を2030年に7割に引き上げる。国際間の資源獲得競争が激しくなるなか、原子力発電所の増設や稼働率引き上げなどでエネルギー安全保障を強化する。原発などエネルギー産業の海外進出も支援。金融面の支援拡充のほか、電力やガスなど業界の枠を超えた合従連衡を促す。

日本のエネルギー自給率は原子力発電を含めて18%で、政府や企業が海外に保有する権益を加えると38%になる。この数値を「自主エネルギー比率」として30年までに現在の2倍近い約7割に引き上げる。

目標達成のため、原発の稼働率を現在の約6割から85%に引き上げる。20年までに8基、30年までに少なくとも14基を増設する。海外での権益獲得目標も設定。日本で使う化石燃料の半分を自主開発権益にする。現在は石油15%、天然ガス約2割、石炭約4割にとどまる。

2010年3月26日

ポスト京都 EU「年内採択困難」

欧州連合のヘデゴー欧州委員は9日、温暖化対策の新議定書について「年内採択は困難」との見通しを明らかにした。仏ストラスブールで開かれた欧州議会で表明した。早期採択を強く求めてきたEUが慎重姿勢に転じたことで、新議定書の採択は2011年以降にずれ込む公算が大きくなった。

13年以降の温暖化ガス削減策の国際的な枠組みである新議定書は、今年末にかけてメキシコで開かれる第16回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP16)で協議される予定だ。ヘデゴー委員は欧州議会で「メキシコで法的拘束力のある合意を目指せば、交渉が決裂する恐れがあり、リスクが大きい」と表明した。

ヘデゴー委員はさらに温暖化対策に関する戦略文書で「メキシコで全ての結論を出すというシグナルが主要排出国から出ていない」と指摘。COP16では新議定書の大枠作りを優先し、11年に南アフリカで開く締約国会議で新議定書の採択を目指す考えを示した。

米国と中国は大幅な排出削減には消極的。削減目標などを巡る先進国と途上国の対立も続いており、EUは当初の目標である10年中の決着は困難と判断したもようだ。

2010年3月25日

ヒートアイランド現象

将来、電気自動車が普及すると、都市部の気温が周辺地域よりも高くなるヒートアイランド現象が緩和するとの試算結果を財団法人の電力中央研究所がまとめた。自動車からの排熱が減るためで、東京23区の夏の気温が最大で0.4度さがるという。化石燃料の消費抑制に加え、気温の低下による冷房使用の減少が見込め、温暖化ガス排出の削減を加速できると説明している。

23区内を走行する全車両のうち、83%を占める乗用車や小型貨物車などが全て電気自動車に替わると仮定した。これにより、都市部の全排熱量の3~4割りを占める自動車排熱がなくなる。

無風で好天だった2002年8月29日の気象データをもとに試算した結果、午前8時の気温は28度から27.6度に低下することが分かった。32度に達した日中も0.1~0.2度下がった。

0.1~0.2度の温度低減は、東京ドーム約400個分の敷地を緑化したのと同等の効果という。過去のデータから分かっている気温と消費電力の関係式に当てはめると、一般家庭約1万世帯分の冷房電力を減らせる計算。自動車からの二酸化炭素の年間排出量も75%削減できる。窒素酸化物は45%減るという。

2010年3月24日

エネルギー自給7割 2030年

 2030年、海外権益含む新目標

●基本計画骨子案の主な目標

→2030年に約70%

原発建設

→20年までに8基、30年までに最低14基

●原発稼働率

→85%

●日本で使う化石燃料

→30年までに半分を自主開発権益に

●希少金属の自給率目標

→リサイクル分含めて50%

●石炭火力発電所

→CO2地中貯留技術を設置できる設計に

●次世代送電網

→20年代半ばに国内全域に構築

●エネルギー産業

→業界を超えた合従連衡を推進

2010年3月23日

EU再生エネルギー 日本の倍の水準

欧州委によると、07年時点でのEU全体の再生可能エネルギーの割合は9%程度。EU加盟国は今後、風力太陽熱などへの投資を大幅に増やす計画で、欧州委は「20%目標」の達成で約280万人の雇用創出効果があると試算している。

日本では今月12日に閣議決定した地球温暖化対策基本法案に、1次エネルギー供給に占める再生可能エネルギーの割合を10%に引き上げる目標を盛り込んだ。EUの見通しはこの2倍の水準になる。温暖化ガスをほとんど排出しない再生可能エネルギー温暖化対策の柱の一つで、米国なども含めた各国が拡大を競い合うと見られる。

欧州委は加盟27ヶ国の国別の予測を集計した。EU指令(法律)では加盟国ごとに20年までの再生可能エネルギーの割合に関する数値目標を定めているが、スペインなど10ヶ国が目標値を上回るという。

2010年3月22日

EU再生エネルギー2割

EUの欧州委員会は2020年時点で、風力太陽光、地熱など再生可能エネルギーの占める割合がEU全体で20.3%に達するとの見通しをまとめた。20%というEUの目標値を超えて達成できるメドがたったとしている。再生可能エネルギーの活用を柱とする低炭素経済への移行はEUの雇用・成長戦略にとっても不可欠としている。

2010年3月21日

EUの再生可能エネルギー比率

主なEu加盟国の再生可能エネルギー比率の目標と見通し

(欧州委員会の集計。単位%。空欄は発表なし。☆は目標を超過達成、★は目標未達の見通し)

目標 見通し
ベルギー 13 12.3

ブルガリア 16 18.7
デンマーク 30 28
フランス 23
ドイツ 18 18.7
ギリシャ 18 20

イタリア 17 16
ポーランド 15 15.5
スロバキア 14 15.2
スペイン 20 22.7
スウェーデン 49 50.2
英国 15
EU全体 20 20.3


2010年3月20日

水資源の争奪戦 南アジアで過熱

南アジアで河川の水を巡る政府間の対立が激しさを増している。経済成長に不可欠な電力の確保へインドや中国は水力発電所の建設を競い、これによって干ばつ時などに十分な推量を確保できなくなると懸念する下流の領有権問題や食料増産に向けた農業用水の需要の高まりなども絡み、地域対立の火種となっている。

印インディアン・エクスプレス紙によると、パキスタンのパシール外務次官は2月25日ニューデリーで開いたラオ外務次官との会談で、カシミール地方での水力発電所の建設中止を迫った。

インドは中国の動きに神経を尖らす。印政府筋は、中国がチベット地方を流れるヤルンツァンポ川でダムの基礎工事に着手したと指摘。衛星写真で現場周辺からの住民の移転や重機の動きを確認できたとし、「水力発電所を建設するためでは」との見方を示す。

一方バングラディッシュはインドが北東部のバラク川で計画している水力発電所の建設に抗議している。

2010年3月19日

京都議定書 仏独2008年に目標達成

フランスとドイツが、京都議定書の約束期間の開始年である2008年に温暖化ガスの排出削減目標をともに達成したことがわかった。08年の仏の排出量は基準年となる1990年比で6.4%減(目標値は0%)、独は22.2%減(21%減)だった。

風力太陽光など再生可能エネルギーの導入が進んだのに加え、08年後半からは景気低迷で排出量が減少した。

仏エコロジー・エネルギー・持続的開発省によると、08年の温暖化ガス排出量は二酸化炭素換算で約5億2700万トン。07年より0.6%減った。

原子力発電の利用拡大などから、仏では98年以降は排出量の減少傾向が続いている。08年後半からは経済活動が冷え込んだうえ、産業部門と運輸部門からの温暖化ガスの排出量が減少した。家庭からの排出は微増傾向にある。

一方、独の08年の排出量はCO2換算で9億5880万トンだった。風力発電などが普及したため。09年は産業部門からの排出が大幅に減少したとみられ、90年比で28.7%減になったもようだ。欧州連合主要15ヶ国は全体で8%減の数値目標を義務付けられている。

2010年3月18日

原発 新興国で建設加速

中国など新興国を中心に世界で原子力発電利用への動きが加速し、建設中の施設だけで日本の既存原発(54基、出力合計4682万キロワット)に匹敵する規模に拡大していることがわかった。化石燃料の価格高吐止まりや環境問題対応への機運の高まりを背景に世界で原発需要が高まる中、成長の著しい国が建設を特に急いでいることが浮き彫りになっている。

IAEAの3月時点のデータによると、世界で現在建設中の原発は56基で、合計出力が5185万キロワットに達する。うち中国が21基、2092万キロワットを占める。このほかロシアで9基、689万キロワット、韓国で6基、652万キロワット、インドで5基、270万キロワット。

2010年3月17日

不満残した温暖化対策法案

政府は12日、地球温暖化対策基本法案を閣議決定し国会に提出した。政府内で意見が対立、法案づくりは難航した。仕上がった法案には産業界も環境団体も不満顔だ。

法案は、温暖化ガス排出量を2020年に1990年比で25%、50年に同80%減らす目標を設定した。米中などが温暖化対策の国際枠組みに参加し、思い切った削減に取り組むことに合意する前提条件付だ。

削減を実現するため、①国内排出量取引制度の創設②地球温暖化対策税の11年度実施③1次エネルギーに占める太陽光風力などの割合を20年までに10%に拡大④原子力の推進・・・・・・・などの政策を盛り込んだ。産業や社会の低炭素に向け一歩前進したとはいえそうだ。

最後までもめたのは排出量取引制度。工場などに温暖化ガス排出量の上限を設定するにあたり、総量枠とするか、生産量当たりの排出量を目標する方式も認めるかが焦点だった。

経済団体も環境団体も法案づくりの課程が「不透明」と非難している。審議会など公の場で議論が皆無に近かったからだ。日本経団連は排出量取引制度の導入事体に反対だ。環境団体は原単位を認める取引制度に失望感を表明している。

2010年3月16日

ミドリムシをバイオ燃料に

新日本石油は東京大学発のベンチャーと組み、ミドリムシを原料にしたバイオ燃料の量産に乗り出す。5年以内に量産技術を確立し、まず航空機の燃料として供給する。食物を原料に使う通常のバイオ燃料と異なり、農地がなくても原料を効率的に生産できる点に着目。土地の広さに制約のある日本で、原料からの一貫生産が可能な「国産バイオ燃料」を実現し、将来の安定調達につなげる。

新日本石油は日立プラントテクノロジーととものバイオベンチャーのユーグレナに資本参加し、共同開発に着手した。

プランクトンの一種であるミドリムシを水槽やプールで人工的に培養し、長さ約0.1ミリメートルの体に含まれる油分を抽出して燃料に精製する。ユーグレナの培養技術を確立しており、新日石などと共同で研究用プラントを建設して培養規模を拡大。航空機やバスを実際に動かす実証実験も始める。

ミドリムシは培養用のプールや池があれば大量生産が可能で、単位面積あたりの生産量はサトウキビなど従来型の原料を大幅に上回る。

新日石などは航空機向けの安定した需要を狙い量産技術を確立、1リットル70円前後のコストで生産する。製品の価格は通常のジェット燃料より高くなるが、あまり差のない水準で提供したい考えだ。

2010年3月15日

ポスト京都、採択計画なし

メキシコのエルビラ・ケサダ環境相は15日にブリュッセルで記者会見し、今年11~12月にメキシコで開く第16回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP16)で「最終的な答えを出す計画はない」と述べた。

法的な拘束力のあるポスト京都議定書の採択は2011年以降になるとの見通しを示した。

ケサダ環境相はCOP16の議長を務める。COP16では「森林伐採、途上国への資金援助など実行不能な決定をしたい」と強調。ポスト京都議定書の大枠に関する政治合意を優先する意向を表明した。

現在の国際的な温暖化ガス削減の枠組みである京都議定書は12年末で期限が切れる。新たな議定書の早期採択を持てめてきた欧州連合の欧州委員会もCOP16での議定書採択は困難との見通しを示している。

2010年3月14日

温暖化ガス削減 米さらに努力を     

中国で国際的な温暖化対策の枠組みとなるポスト京都議定書の交渉を担当する国家発展改革委員会の解副主任は10日、全国人民代表大会(全人代)に合わせて記者会見した。米国が2020年までに温暖化ガスを05年比で17%削減する目標などを打ち出したことについて「発展途上国の希望からかけ離れており、さらなる努力を求める」と述べ、目標の上積みが必要との認識を示した。解副主任は「米国がより積極的な措置をとらない責任を他の国に転嫁しないよう希望する」と表明した。

温暖化対策法案を閣議決定

25%削減を明記

政府は12日の閣議で、地球温暖化対策基本法案を決定した。2020年に1990年比で温暖化ガスを25%削減する中期目標を盛ったほか、原子力利用の関連施策を「推進する」と明記。国内排出量取引制度では「1年以内をメドに成案を得る」としたうえで、企業に総排出量の上限を課す「総量規制方式」を基本としつつ、生産量あたりの排出量を削減する「原単位方式」も併記した。

社民党首 福島氏「100%納得ではない」

12日に閣議決定した地球温暖化対策基本法案を巡り、閣議後の記者会見で関係閣僚から反応が相次いだ。原子力施策の「推進」が盛り込まれた点について、「脱原発」を党是とする社民党党首の福島少子化担当相は「100%納得しているわけではない。せめて行うとしたかった」と強調。新たな原子力発電所の建設には「反対だ」と明言した。

2010年3月13日

米、新エネルギー技術へ支援拡大 その2

米ダウ・ジョーンズ・ベンチャーソースによると、エネルギー関連分野へのVC投資は2009年に前年比68%減の12億ドル。14%減の77億ドルだった医療・健康関連、35%減の61億ドルだったITに比べ落ち込みは大きい。

米政府の産業育成支援策では、国防総省の高等研究開発局(DARPA)が軍事技術の民間移転で知られる。インターネットの原型を開発、「ネット大国」の基礎を築いた。チュー米エネルギー長官は「エネルギー分野にもDARPAのようにリスクをとる役割の組織が不可欠だ」と強調。支援先から商用化に結びつく研究成果が出てくれば、米産業界の競争力も幅広く引き上げられる。

代替エネルギー分野はITに続く米国の主要産業として期待されるが、投資回収期間がITよりも長く、規制も複雑なため、多くのVCは大胆な投資に動きづらい。株式公開を果たした企業もまだ少なく、昨年ではEV用電池のA123システムズが目立つ程度だ。

米グーグルなどへの投資の成功で知られる米著名ベンチャーキャピタリストのジョン・ドーア氏は、「(1990年代にネット企業ブームを巻き起こした)ネットスケープ・コミュニケーションズのような成功企業の出現が代替エネルギー分野でも必要だ」と指摘する。

2010年3月12日

米 新エネルギー技術へ支援拡大

米国政府が代替エネルギー技術の研究支援を拡大する。対象は大手企業や大学のほか、ベンチャー企業などの先端技術研究で、支援額は合計約4億ドル(約360億円)に達する見通し。新産業創出の担い手だったベンチャーキャピタル(VC)などの投資意欲の回復の遅れを公的資金で補う。これまでもインターネットなど米政府主導で生まれた生まれた技術は多い。「脱・石油」時代の技術競争でも官民一体で巻き返しを狙う。

支援先の選定は、オバマ政権が昨年、米エネルギー省内に立ち上げたエネルギー高等研究計画局(ARPA-E)が担当。民間が率先して投資しにくい高リスクの研究テーマを資金面などで支援する。政府支援先に選ばれれば、民間の投資マネーを集めやすくなる利点もある。

既に風力発電の新技術やバイオ燃料など37案件、約1億5000万ドル分の支援先を決めた。1件当たりの平均支援額は400万ドル。今後は電気自動車(EV)用の新型電池、配電網で使う大容量蓄電技術などへの補助金を拡大。累積支援額は現時点の倍以上に増える。

ARPA-Eの主な投資先と技術開発内容

企業・組織名 技術開発内容
フローデザイン・ウインド・タービン(ベンチャー) 小型・低コストの新型風力発電機
GM(自動車) 廃熱利用による燃料効率の改善
マサチューセッツ工科大学 高アンペアの蓄電技術
ペンシルベニア州立大学 太陽光・二酸化炭素・水蒸気による燃料生成

サン・キャタリティクス(ベンチャー)

新型の電解槽技術と光電気化学電池
ユナイテッド・テクノロジーズ(複合製造業) 温暖化ガス回収の新型プロセル


2010年3月11日

高効率 新エネルギー源 その2

鏡の焦点に集めた太陽の熱や光でセ氏380~600度程度の熱を作って蒸気タービンを回す。太陽熱発電の仕組みはシンプルだが、エネルギーを電気に変える効率は約20%、15%前後の太陽電池を上回る。

広い設置面積が必要で国土の狭い日本には向かないが、欧州のほか中国やオーストラリアでも新規の開発計画が目白押し。14年の太陽熱発電の出力は太陽光発電の4分の1に当たる1500万キロワット(原子力発電所15基分に相当)に達するとの予測もある。

未来の巨大市場で先頭を走るのは太陽熱発電用タービンで9割のシェアを持つ独シーメンス。昨年10月には太陽の熱や光を集める機器を製造するイスラエルの企業を買収し、着々と足元を固める。

シーメンスを追う米ゼネラル・エレクトリックは太陽の動きにあわせてオンとオフを素早く切り替えるタービンを開発した。すでにスペインの一部の発電所で採用されている。GEは太陽熱発電の関連市場を今後10年で最大800億ドル(約7兆2000億円)と見込んでいる。

2010年3月10日

高効率 新エネルギー源  その1

降り注ぐ太陽の熱で発電する太陽熱発電は、太陽光発電よりも効率が高く、欧州、中東、中国などで新たなエネルギー源として注目されている。関連機器市場は10年間で7兆円を越えるとされ、企業の開発競争も熱を帯び始めた。

政府が太陽熱発電を支援するスペインの南部。2011年に稼動を予定する発電所の建設現場の中心に、礼拝堂のような塔が立つ。

塔の先端に太陽熱を集める「タワー式」と呼ばれる発電所だ。建設する会社にはアブダビ未来エネルギー公社が出資。中東産油国も新たなエネルギーに関心を寄せている。スペインではこの条件を含め、100ヶ所以上の開発計画がある。

欧州では独シーメンスなどを中心に、北アフリカや中東の砂漠地帯に太陽熱発電所を造り、欧州に送電する壮大な計画が進行中で。50年までの総事業費は4000億ユーロ(約53兆円)とされる。ドイツ政府はフランスと連携し、モロッコやチュニジアなど北アフリカで発電所の建設に向けた調査を始めた。

2010年3月 9日

地熱発電

インドネシア政府は電力需要の急増に対応し、約160億ドル(約1兆5千億円)を投じて総容量1015万キロワット分の発電所を増設する計画をまとめた。地熱発電の割合は最大の39%で、石炭33%、ガス16%などを上回る。06年に策定した1千万キロワット分の増設計画ではすべてが石炭だった。

地熱の増設分のうち、約8割は民間資金による独立系発電事業者(IPP)事業に割り当てる。総投資額は72億1200万ドル。現地発電会社スター・エナジーが運営し、住友商事が発電機を納入した西ジャワ州のワヤン・ウィンドゥ発電所の増設には5億2800万ドルを投じ、12年と14年に出力12万キロワットの発電機を1基ずつ導入する。

インドネシアは14年までに全発電容量を5000万キロワット程度に増やす計画で、地熱発電のシェアは今の4%から約10%に高まる見込みだ。

米国に次いで世界2位の地熱発電容量を持つフィリピンは、最大で1億8千万ドルを投じて計6万キロワットの地熱発電所建設する計画だ。国営石油会社が今年後半から3ヶ所で地熱資源の測定に着手する。ニュージーランドでも、民間のコンタクト・エネジーが北島中部タウポ近くで10億NZドル(約620億円)を投じて出力25万キロワットの発電所を新設する。

地熱発電

マグマで熱せられ、地下2000メートル前後の深さからセ氏200度前後の高温高圧となって吹き出す熱水から蒸気を取り出し、蒸気でタービンを回して発電する仕組み。水より沸点の低い媒体を地熱で気化させてタービンを回す方式もある。環境への負荷が小さく、天候の制約も受けない。

事業化までに石炭火力の2倍以上の時間がかかるほか、コストが高いのが難点。日本国内にも豊富な地熱資源があるが、温泉利用が盛んなこともあり、地熱による発電容量は52万キロワットと、全体の0.2%にすぎない、

2010年3月 8日

アジア・大洋州地熱発電増強

東南アジアや大洋州の火山国で地熱発電所の新増設が加速している。インドネシアでは発電所増設計画のうち4割が地熱発電で、発電全体に占める地熱発電のシェアは2014年までに約1割に高まる見通し。フィリピンやニュージーランドでも新設計画が相次いでいる。地熱発電は温暖化ガスの排出がきわめて少ない再生可能エネルギーとして注目を浴びており、事業に参画する住友商事など日本企業も広がりそうだ。

2010年3月 7日

環境車の電池リサイクル     

ハイブリット車や電気自動車の普及をにらみ、基幹部品である電池のリサイクルが動き出す。三井金属は使用済み電池からレアメタルを取り出す専用設備を新設し、2014年にも稼動させる。日鉱業金属や日産自動車もリサイクルの事業化を目指している。日本の自動車メーカーは環境車で高い競争力を持つが、電池材料は多くを輸入に頼っている。国内に回収網をつくることで再利用までの一貫体制を築き、材料の安定確保に道を開く。

環境車の普及策を巡っては、三菱地所や東京電力などが電気自動車向け充電器の設置を進める計画だ。素材や自動車大手が電池のリサイクルを始めることで、循環型の都市インフラ整備で世界に先行、環境車の市場拡大にも弾みを付ける。

ハイブリット車の廃車が増える10年代半ばをにらみ、環境車の電池リサイクルで日本勢が世界に先駆けることになる。ハイブリット車は日本で2月に3万9910台が売れ、新車販売台数の13.5%を占めた。電気自動車も市場が立ち上がり、電池の需要が今後大きく伸びることは確実だ。

一方で電池の生産に必要なレアメタルの確保も大きな課題。一定量の電池を再利用する仕組みが日本国内で整えば、輸入依存度が下がり、原料調達価格の安定にもつながる。電気自動車の製造コストは現状で半分を電池が占めている。リサイクル原料が電池の生産コストを抑え、電気自動車の価格低下に役立つ可能性もありそうだ。

2010年3月 6日

バイオ燃料に原料の壁

経済産業省は5日、環境、農林水産の両者と合同で設けたバイオ燃料に関する検討会の報告書を発表した。バイオエタノールなどの製造や輸送時に排出する二酸化炭素をガソリンと比べて50%以下とする新たな基準を設ける考えを正式に示した。経産省は今夏にも石油会社に義務付ける方針だが、適合する原料は限られており、調達が大きな課題になる。

報告書は欧州連合がガソリンと比べたバイオ燃料のCO2排出量を50%以下する基準を設けることなどを挙げた上で、「日本としても削減基準を50%に設定することが一つの方向性」と指摘した。

この基準を満たす原料はブラジルの既存農地で収穫されたサトウキビと国産のテンサイなど一部にとどまる。報告書では今後の供給可能量について60万キロリットル(原油換算)との見通しを示した。環境省はバイオ燃料を2020年かでに200万キロリットル導入することを検討しているが、報告書の数値とは大きな開きがある。

2010年3月 5日

バイオ燃料基準厳しく

経済産業省は環境配慮型のバイオ燃料に二酸化炭素削減の基準を設ける方針を固めた。ガソリンに混合されるバイオエタノールなどはCO2排出量をゼロとみなしているが、製造や輸送の段階で一定量を排出する燃料と位置づける。ガソリンの半分以下に排出量を抑えることを今夏にも石油会社に省令などで義務付ける。地球温暖化対策を厳格化する狙いだが、原料の調達が難しくなる可能性もある。

バイオ燃料は燃焼しても大気中のCO2を増やさないとして、指針となっている京都議定書では排出量ゼロとみなされている。しかし欧米では、製造や輸送の過程で一定量のCO2が排出されるという見方が主流になりつつある。欧州連合は2017年以降の目標として、同じ熱量当たりの排出量をガソリンと比べて半分以下とする基準を設定している。

経済産業省はEUを参考に、今夏にもバイオ燃料のCO2排出量をガソリンの50%以下とする新たな基準を設ける。バイオ燃料の原料は利用が進んでいるサトウキビのほか、コメや小麦、木材などがある。経産省などの調査によると、基準を満たす原料はブラジルの既存農地で収穫されたサトウキビと国産のテンサイ、建築廃材にとどまった。

経産省はガソリンの販売量に応じて、石油会社が導入しなければならないバイオ燃料の総量を決める新制度も設ける。これに従わなかった場合は罰則も検討する。

環境省はバイオ燃料の利用促進を検討している。新たな削減基準は環境対策としては一定の効果があるとみられるが、石油各社にとっては規制強化につながる。バイオ燃料の利用が進まなくなる恐れもあり、議論を呼びそうだ。

2010年3月 4日

電気自動車の規格争い

これまでの自動車産業では、機械が主役で電気は脇役。だが、急速充電の開発が進めば、そんな風景が一変するかもしれない。ガソリン車やハイブリット車と違って、EVは電力会社にエネルギー供給を依存するからだ。

国内の主導権争いで、今のところ先頭を走っているのが電力業界の巨人、東京電力である。同社は3月半ば、急速充電の規格統一と普及を目指す「チャデモ協議会」を発足する。

大手自動車メーカーは、数多くの部品会社や下請け企業の頂点に立ち、技術的な指示を出す立場。製品を作るために、技術の仕様を他者に「教えてもらう」という企業文化はない。とはいえ技術の体系が変わるとき、産業間の支配力学が変化する場合もある。自社技術を至上としてきたトヨタも、後になって東電のチャデモ協議会への参加を決めた。

日本国内の規格を制しても、世界市場で国際標準を握れるとは限らない。

米国ではスマートグリッド(次世代送電網)の開発の波に乗り、国有企業となったゼネラル・モーターズ(GM)が、自社の仕様を標準化しようと動いている。欧州では国際標準化機構(ISO)などの国際機関を舞台に、独ダイムラーの活動が目立ってきた。

標準化をめぐる技術戦略は、ライバルの動きと、世界市場の隅々までを見回す視野と発想が欠かせない。米国市場の空気を読み誤った自動車メーカーと、国内に軸足を置く電力大手。国際標準の戦いで百戦錬磨の米欧企業から見れば、どちらも新参者にすぎない。

2010年3月 3日

再生可能エネルギー

このほど来日した国際再生可能エネルギー機関(IRENA)のエレン・ぺロス暫定事務局長は日本経済新聞記者と合い、再生可能エネルギーの普及拡大が地球温暖化の抑止やエネルギー安全保障だけでなく、途上国の貧困解消にも貢献すると強調した。日本に対しては太陽光発電の買取制度の拡充など普及促進を急ぐとともに、技術開発などによる国際貢献にも期待を示した。

・・・・・・コストの高い再生可能エネルギーの導入は経済成長を妨げないか。

「石油など化石燃料関連への公的支援は世界で年間4千億ドル(約36兆円)に及ぶ。この一部でも再生可能エネルギーの導入促進に投じれば、温暖化を抑えるだけなく、まだ電力基盤すら整っていない途上国では貧困解消にもつながる。経済的にも倫理的にも、再生可能エネルギーへの投資は理にかなっている」

「あらゆる国は経済を目指すべきであり、それを抑える意図は全くない。あくまで成長と両立した普及拡大のために、技術や金融面での知識を提供する。例えばIRENEが支援する個別の案件を、金融ノウハウを持つ世界銀行やアジア開発銀行と連携して進めることも想定している。インフラ敷設にとどまらず、設備の維持・補修を担う人材も育てていく」

・・・・・・日本は再生可能エネルギーを2020年までに総エネルギー消費の2割に高める目標を掲げている。欧州連合(EU)と同じ水準だ。

「EUはスウェーデンで5割、フランスが2割強など国ごとに目標値を決めている。目標達成を相互に監視する仕組みも備えている。日本も、どんな政策手段でどう実現するのか、実現性の高い工程表を示すのが望ましい」

・・・・・・・政府は電力会社が太陽光発電で生じた電力を家庭などから買い取る制度を、再生可能エネルギー全体に広げる検討を進めていす。

「普及を促す買取価格を適切に設定し、買取のための補助金給付はできるだけ早くやめる仕組み作りが重要だ。ドイツ、スペインなどをみても最初から完璧な買取を実現した国はなく、試行錯誤を繰り返している。日本は炭素税導入や排出量取引なども合わせて議論中と聞くが、政策の整合性はやってみないと分からない部分も多い」

・・・・・・・中国、インドなど温暖化ガス排出を急増させている新興国が、コストの高い設備をどこまで本気で導入するのか。

「中国のような新興国や中東の産油国が(ポスト石油)をにらんで風力発電や太陽光発電を猛烈な勢いで敷設し、再生可能エネルギーが新産業として勃興している事実に、日本はもっと目を向けてほしい。日本はもっと存在感を高められるはずだ。現状はやや出遅れているようにも見える」

2010年3月 2日

CO2からメタノール

工場などで排出される二酸化炭素から有用な工業用原料や材料を作り、CO2を科学的に封じ込める「CO2固定」の技術が実用化間近だ。三井化学は化成品原料のメタノールを作る試験が一段落し、事業化の検討にはいった。帝人や住友化学は新しい樹脂材料の量産を目指す。

試験では140トンのCO2から100トンのメタノールを作れるのを確認。生産に必要なエネルギーを差し引くと、約70トンのCO2排出を減らせる計算だ。メタノールは天然ガスを一酸化炭素と水素に分解して作るのが原料のガスの節約にもなる。

課題は生産コストの高さ。商用規模でも天然ガスから作るのに比べ約3倍かかる。高いコストに見合う付加価値を付けるため、三井化学はCO2由来のメタノールを燃料に使う燃料電池システムの事業化を検討。すでに燃料電池メーカーと話し合いを開始、温暖化ガスを大きく減らせるメリットを訴え、工場などに採用を働き掛ける考えだ。メタノールから付加価値の高い樹脂を作る構想も抱く。

2010年3月 1日

太陽光発電施設

日向灘沿いの農村地帯を一筋の高架が貫く。1996年までリニアモーターカーの実験線として使われていた廃線跡だ。今それが太陽光発電施設に生まれ変わろうとしている。

鉄道総合技術研究所が所有するこの高架を国際航業グループが借り受け、宮崎県、都農町と協力して建設している。2011年の完成時には3.8キロに及ぶ太陽光パネルの道ができあがる。発電能力は1千キロワット、年間で約300世帯分の電力を九州電力に供給する。現在、第1段階となる50キロワットの発電所が姿を見せつつあり、4月から発電する。

96年に山梨県に実験線が移転した後、全長7キロの高架は一部を大学が研究に使用している以外、そのままになっていた。宮崎県が太陽光発電の事業を行う企業を公募、廃線跡を利用するアイデアを採用した。高架を使うメリットは日差しを遮るものがないこと。日照時間全国3位とされる宮崎の地の利を生かせる。