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2010年1月31日

再生可エネルギー アジア、金融投資増加

アジア・太平洋地域で再生可能エネルギーに対する金融投資が急増し、2009年に北米・中南米地域を初めて上回った。景気低迷で米国などの環境関連投資が鈍る一方、アジアでは中国が温暖化ガス排出を減らす風力発電などの投資を急拡大しているため。世界全体の投資規模は過去最高だった08年水準を下回った。

風力太陽エネルギー発電など再生可能エネルギーへの投資額は09年にアジア・太平洋地域で373億ドルと前年比25%増えた。

アジアの再生可能エネルギー投資を牽引したのは前年と比べ39%拡大した中国。風力発電向けは約3割増に、太陽熱発電は約2倍に膨らんだ。

2010年1月30日

地球温暖化ガス削減 各国が数値目標

米国や中国などの主要国は今月末までに国連に示す中期計画で、温暖化ガス削減の数値目標の上積みを見送る。日本や欧州が2020年までに1990年比で20~30%削減の目標を示すなか、米国は05年比17%(90年比3~4%)の削減にとどめており、今後の国際交渉が難航するのは必至。新興国も量的な排出抑制には消極的で、今年中のポスト京都議定書での合意は困難な情勢だ。

主要国は削減12月に開催された国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)での合意に沿って、31日までに温暖化ガス削減の自主目標を国連に提出する。各国・地域では米国に削減上積みを求める意見が多かったが、オバマ政権は当初計画を修正せずに国連に送った。医療保険制度改革や新金融規制などの案件を抱え、地球温暖化対策法案の処理が停滞。今月の乗員補欠選挙で民主党候補が破れ、国民に負担を求める削減上積みに動きにくいとの事情もある。

削減目標をめぐる国際交渉を控え、中国やインド、ブラジル、南アフリカの4ヶ国は結束して先進国jへの圧力をかける方針を決めた。4ヶ国は今年の交渉日程の受け入れをも拒んでおり、国連事務局はどう調整を進めるかの戦略わえ描けていない。

2010年1月29日

ユーラス、発電能力5割増し

国内最大の風力発電事業者、ユーラスエナジーホールディングスは28日、5年間で総計100万キロワット分の自然エネルギー発電所を新設する方針を発表した。大型原子力発電所1基分に相当、同社の発電能力は約5割増える。財務基盤強化のため、株主の東京電力と豊田通商が計250億円を追加出資する。各国で自然エネルギーの普及策が相次いでおり、欧米を中心に事業拡大を急ぐ。

東電と豊田通商はユーラスが2月15日に予定している株主割当増資をそれぞれ150億円、100億円引き受ける。

ユーラスは5年間で新設する発電所の5~6割りを米国で、4分の1を欧州で、残りを日本や他のアジアに設置する方針だ。現在ユーラスは風力を中心に国内外で計184万キロワットの発電所を保有、運営しているが、新規増設は海外が中心になる見込みだ。

欧米での太陽光発電所の建設も始め、5年間で新設する発電所のうち9割を風力、1割程度を太陽光にしたい考えだ。新設のための投資額は明らかにしていない。

2010年1月28日

温暖化ガス 25%削減 国連に提出

政府は26日、国内の温暖化ガスの排出量について2020年までに1990年比で25%削減する目標を、国連気候変動枠組み条約事務局に提出した。目標の実現に取り組む前提として「全ての主要国による意欲的で公平な目標での合意が必要」と明記した。

排出量取引環境税 課題なお山積み

数値目標の提出は昨年末の国際会議で各国首脳がまとめた「コペンハーゲン合意」に基づく措置。提出に先立ち、政府は26日夕に地球温暖化問題に関する閣僚委員会を開き、25%の削減目標を堅持する方針を認識した。

政府は25%削減や長期目標、(50年までに90年比80%削減)の達成に向けた対策を盛り込んだ。

検討チームを設置

政府は関係省庁の副大臣級の検討チームを設ける。①温暖化対策基本法案の作成②目標達成のための工程表つくり③国内排出量取引の制度設計

だが実現むけた課題は山積みだ。

産業界では25%削減の前提となる「主要国の意欲的で公平な目標での合意」が満たされない段階で、国内対策を進めることへの慎重論が根強い。日本だけが突出した目標に向けて温暖化対策を強化すると、企業の国際競争力が低下しかねないとの不安がくすぶる。

具体化は難航も

それぞれの政策の具体化も難航しそうだ。排出量取引は企業ごとに排出上限(キャップ)を割り当てて、上限を超える企業が余裕のある企業から排出枠を買う仕組み。企業ごとに排出上限を設定するときにm、公平性が確保されなかれば不満が出るのは確実だ。

2010年1月27日

温暖化ガス削減 日本、突出の可能性も

温暖化対策の国際交渉をまとめる国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)事務局は今月末までに各国・地域から提出された削減目標をまとめたうえで、ポスト京都議定書のたたき台とする考えだ。ただ欧米や新興国の足並みはそろっておらず、焦点となる米国が踏み込んだ削減目標を提示する可能性は小さいとみられている。中国やインドも排出量を減らすことには慎重で、日本だけが突出した削減目標を掲げる状況になりかねない。

UNFCCCのデブア事務局長は今月中旬、先進国については「きちんとした数値目標を提出してもらいたい」と述べ、米国などに削減幅の上積みを求めた。欧州連合の加盟27ヶ国は今月16日の環境相会合で、2020年までに1990年比で温暖化ガスを独自に20%削減する数値目標を国連に示すことを確認。さらに「他の先進国の同等の努力」を条件に削減幅を30%に引き上げる方針を明記し、米国に上積みを迫った。

だが米オバマ政権は05年比で17%、90年比では3~4%程度という削減目標を修正せずに国連に提出する構え。米議会は医療保険制度改革や雇用対策で手一杯で、国民に負担を強いる削減幅の上積みは困難とみられている。

中国やインドなど新興国は24日に環境相会議を開き、今月末までに国連に自主的な削減目標を示すことを確認した。中国は05年比で40%~45%、インドは同20~25%の削減目標を提出するが、いずれも国内総生産当たりが基準。排出量の削減につながるかは不透明。

基準年をめぐる調整も進んでいない。日本とEUの目標は90年比だが、米国や新興国は見た目の削減幅が大きくなる05年比を採用している。

2010年1月26日

主な地球温暖化対策と課題

国内排出量取引制度

各企業の排出削減上限(キャップ)を公平に割り当てることができるか。

太陽光発電などの固定価格での買い取り

電気料金を大幅に押し上げないか

地球温暖化対策税

課税対象や税収の使途をどう設定するか

原子力発電

稼働率はこのところ低迷傾向

家庭部門での排出削減

住宅の断熱や省エネルギー機器の普及策

商業・業務部門での排出削減

ビルの断熱や空調・証明の省エネ化の推進策

2010年1月25日

COP16へ結束確認

中国、インド、ブラジル、南アフリカの新興4ヶ国は24日、インドの首都ニューデリーで環境相会議を開いた。2013年以降の地球温暖化対策(ポスト京都議定書)を巡り新興国への温暖化ガスの削減義務付け反対で一致する4ヶ国は、11月の第16回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP16)に向けて結束を確認。今後も3ヶ月ごとに閣僚レベルの会議を開き、COP16への対応をすり合わせることを決めた。

経済発展に伴い温暖化ガス排出量の急増が予想される4ヶ国が結束する背景には、新興国も義務を負うポスト京都の枠組みづくりを狙う先進国をけん制する意味合いがある。4ヶ国は会議後に発表した共同声明で、温暖化の影響を緩和するための技術協力に取り組む方針を明にした。

昨年12月にコペンハーゲンで開いたCOP15の政治合意は、すべての締約国に対し20年までの目標を今月31日までに条約事務局に申告するよう求めている。中国やインドは温暖化ガスの排出抑制目標を公表しているが、これをあくまでも「自主的な行動」として期限内に事務局に申告するこも明らかにしている。

地球温暖化研究の信頼性揺らぐ

ヒマラヤの氷河が地球温暖化のために2035年にもなくなるとした、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書の内容が誤りだったことが判明、温暖化に懐疑的な科学者から批判の声が強まっている。09年11月に発覚した英国での電子メール流出事件で、IPCCに参加する科学者による気温データの改ざん疑惑が浮上したばかり。温暖化対策の科学的根拠を提供してきたIPCCの信頼性が揺らいだ格好だ。

ヒマラヤ氷河についての問題の記述があるのは、IPCCが07年に発表した第4次統合報告書。英紙の報道で疑惑に火が付、IPCCは20日、「科学的根拠の確認が不十分だった」と誤りを認めた。

記述は化学論文を根拠にしたものでなく、環境保護団体の資料からの引用だった。さらにその情報源は英科学雑誌に1999年に載った、インドの科学者へのインタビューをもとにした記事。報告書の作成過程がずさんだったことが関係者を驚かせている。

氷河の専門家の間では「ヒマラヤ氷河が後退しているのは事実だが、2035年なくなるほど消失スピードは速くない」というのが共通した見解だ。

IPCCのパチャウリ議長は「報告書の作成は厳格な科学的手続きを踏んでいる」と強調するが、懐疑的な科学者には「IPCC報告に温暖化の脅威を強調するバイアスがある」との意見が強い。

2010年1月23日

COP15の結果巡りさや当て

ブラウン英首相は21日、国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)をめぐり「未来への歩みが数カ国によって人質に取られた」などと述べ、政治合意を採択できなかったことについて、名指しを避けながらも中国を批判した。同会議担当のミリバンド・エネルギー・気候変動相は同日、ガーディアン紙への寄稿で、温暖化ガスの削減目標で合意できないなど会議が混乱したのは「中国が拒否権を使ったためだ」と主張した。

中国外務省は22日、COP15を巡るミリバンド・エネルギー・気候変動相の対中批判を受け「政治的なたくらみがはっきりした発言で、その目的は途上国に対して履行すべき義務を回避することだ。過ちを正すよう促す」と反論した副報道局長の談話を発表した。「中国のCOP15での努力は疑いのない事実だ」とも強調した。

中国はインターネット上では、ミリバンド氏への批判が噴出している。

2010年1月22日

振動発電実用化へ

小さな揺れを電気に変える「振動発電」を利用した機器の実用化に国内企業が相次いで乗り出す。オムロンは車の走行による振動で発電する装置を来年度に高速道路に導入するほか、慶応大発ベンチャー企業の音力発電は上を歩くと発電する床材を今春から量産。NTTも歩くだけで電気がたまる靴の商品化を目指す。二酸化炭素を全く排出しない小型電源として普及を狙う。

振動発電は床などに加わる小さな力を電気に変える。力をとらえる圧電素子や絶縁材料を使う。

オムロンの装置は百円玉大で、特殊な絶縁材料を使い揺れると発電する。ネクスコ東日本エンジニアリングの協力を得て、普通車の走行で出力20マイクロワットの電気が得られることを確認した。

価格は1個数百円程度。来年度に東日本高速道路の路面に設置し、道路の劣化などを検出するセンサーの電源として使う。

音力発電は床に置いて歩行の振動を電気に変える「発電床」を開発、非常段階の足元証明に使う発光ダイオード用の電源としてオフィスや商業施設向けに今春発売する。床を歩くと5~10ミリワットの電気が得られる10万回繰り返し使える。月約5千枚生産する。

NTTは歩くだけで発電する電気靴を試作した。靴の底に水の入ったチューブを取り付け、歩くと水が動いてタービンが回り発電する。得られた電気は無線で飛ばす。携帯電話などの電源として商品化を目指す。

2010年1月21日

温暖化対策交渉 新たな場模索

第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)から一ヶ月。温暖化対策での国際協調への道筋はなお見えない。新興国・途上国の反対で合意形成が頓挫したのは、全会一致が原則の国連交渉の仕組みが一因となった。日米欧や中国、インドの有力国中心の新たな意思決定の場が必要との声も出ている。

COP15では日米欧と中印など新興国の20数カ国の首脳級が交渉し、政治合意「コペンハーゲン合意」をひとまず、まとめた。だが、194カ国・地域が参加する全体会合ではベネズエラやスーダンなど数カ国が反対。同合意に「留意する」としたものの、最終合意に至らなかった。

国際機関筋は「主要国がやっとまとめたのに排出がほとんどない国が交渉を壊した」と振り返る。

加盟194ヶ国・地域が一堂に会しても実質的な議論はできないとの声が多い。このため、各国閣僚は交渉体制の改革を要求。国連に各国の利害を調整する主要国中心の機関を設置する案が出てきた。

加盟国の約8割を占める新興・途上国はこれまで数の力で交渉での存在感を示してきた。主要国主導の合意形成には反対すると見られている。

先進工に加え、中印などの新興国が参加しなければ、温暖化防止の実はあがらない。「参加しない国には関税を引き上げる、といった議論になるかもしれない」。ポスト京都議定書の最終的な姿は当面見えそうにない。

2010年1月20日

温暖化時代に記録的寒波  その2

気になるのは、地球温暖化が今後進むとされる中で、今回のような局地的にせよ極端に寒い現象が起こりやすくなるかどうかということだ。

自然の変動である北極振動と、温暖化の間には密接な関係がかねて指摘されている。北極振動の指数は1970年代以降上昇してきたが、この間、地球の平均気温も上昇。90年代以降は同指数が下降に転じるなかで、平均気温はこれを追うようにここ10年ほどは横ばいで推移している。

北極振動を研究している田中筑波大学教授は、「今後温暖化が進めば北極振動の指数はプラスになり、寒波は起こりにくくなるというのが気候の将来予測の一般的な見方」という。これに従えば、今回のような地球温暖化の傾向を疑わせるような事態は将来はあまり起こらないことになる。

一方で、地球が温暖化したからこそ、今回のような北半球の寒波が起こりやすくなっているという見方もある。

今回の寒波を分析した国内の専門家の集まりで注目されたのは、寒波到来の時期に、インド洋や太平洋の熱帯の海水温が高くなっていたこと。

 

2010年1月19日

温暖化時代に記録的寒波

12月中旬から1月始めにかけて欧州や米国東部、東アジアなどに記録的な寒波が到来、国内も日本海側を中心に久々の大雪に見舞われた。北極上空の冷たい空気が予想を超える勢いで北半球の各地に流れ込んだのが直接の原因。地球温暖化の時代と一見矛盾するような気象現象が今後頻繁に起こるのか、専門家は注目している。

欧米の寒波はまさに記録破りだった。米国では普段温暖なフロリダ半島の野菜畑が凍りつき、英国は国土全体が雪化粧した様子が衛星写真で確認された。中国では11月から北京市などに寒波が到来し、各地で燃料不足が起こって経済にも影響が出ている。

北半球の冬の寒波は、北極周辺の上空の寒気が大規模に南下することで起こることが多い。

日本など中緯度の上空には偏西風が吹いている。この通り道に何らかの理由で高気圧が発生すると、偏西風の流れが遮られ、そこを迂回するように蛇行する。その結果、欧州や日本、北米の東側に寒気が流れ込みやすくなる。こうした上空の大気の状態の変動は「北極振動」と呼ばれ、その強弱を表す指数がプラスであれば寒気は南下しにくく、逆に指数がマイナスになると南下しやすい。北極振動指数は12月中旬と年始のころに、観測史上最大級のマイナスを記録。これが寒波の直接の原因となった。

2010年1月18日

CO2をつかまえろ  その2

実用化のめどは2030年で、50年までに国内の全高炉に取り付ける。鉄鉱石から鉄を取り出すのに水素を使う新手法と併せ、業界のCO2排出量を30%減らす計画だ。一方、鳩山政権が掲げる温暖化ガス排出量25%削減の目標年は20年。でも「気の長い話」と笑ってはいけない。「我々は日本で鉄を作りたいんだ」。し(新日鉄会長)たとえ先であっても、新たなCO2削減技術のめどをつける。そうしなければ、温暖化対策のため国内の製鉄所が縮小などに追い込まれかねない、という強い危機感が背景にあるからだ。

技術的には吸収率の向上といった課題が残り、地下貯留の実証もまだこれから。プロジェクトリーダーの役員は「高炉を使う製鉄法での、温暖化ガス削減の技術的限界に挑戦しなくてはならない」と語気を引き締める。今春始まる実験は、日本で「環境」と「産業」の共存させるための試金石の一つになる。

 

2010年1月17日

CO2をつかまえろ  その1

二酸化炭素をつかまえ--

東京湾沿いの新日鉄君津製鉄所。2本は「吸収塔」と「再生塔」で、鉄をつくる「高炉」から出る大量のガスからCO2だけを取り出し、外に逃がさないようにすうのが役割。国内CO2排出量の約15%を占める鉄鋼業界が手を組み、国の支援を受けて共同で開発・実験しようとしている設備だ。

高炉から出たガスを吸収塔に送り、特殊なアルカリ性水溶液に触れさせる。すると液がガスに約2割含まれるCO2を吸着。液を再生塔に送って加熱すると、今度はCO2を手放すため、回収ができる。将来的にはこれを地下で貯留することを目指している。

 

2010年1月16日

地球温暖化対策交渉

昨年12月の第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)の成果について、オバマ米大統領はこう総括した。「人々の失望はもっともだが、交渉が完全に壊れるよりはよかった」。温暖化交渉の次の節目は11月にメキシコで開くCOP16。この場で2013年以降の次期枠組み(ポスト京都議定書)をまとめることができるかどうか。各国の利害を解きほぐすのは容易ではない。

ポスト京都は本来の交渉期限だった昨年12月から先送りされ、COP16に結論を持越しした。COP15で各国首脳がまとめた「コペンハーゲン合意」は、次期枠組みの骨格さえ示せなかった。

「(11年の)COP17まで伸びても問題はない」。コペンハーゲンで開いたCOP15会場では、各国の交渉担当者から、早々とこんな声が漏れた。京都議定書の期限は12年まで。ポスト京都をCOP17が開かれる11年末にまとめても、各国が批准する期間が1年ある、という読みだ。

交渉の成否のカギを握るのは世界の排出量の4割強を占める米中の2大国だ。米国を次期枠組みへ参加させるには中国をどう取り組みかにかかっている。先進国が資金や技術協力などを駆使し、目標義務化に反対する中国から譲歩を引き出すことが「交渉のすべてといっても過言ではない」(日本の交渉担当者)。新興国の取り組みに失敗するれば「交渉決裂」という最悪のケースも現実味を帯びる。実際、昨年のCOP15は「決裂直前だった」といい、先進国と新興国の対立は深刻だ。

 

日本に重い課題

COP15で、先進国は1月末までに条約事務局に削減目標を提示すると合意した。これを受け、鳩山首相は先月24日、「前提条件をつけたままで(20年までに1990年比)25%削減をはっきり書き入れるべきだ」と明言した。

だが、新たな枠組みづくりがCOP17に先送りとなれば、25%削減の目標を掲げる日本は難しい判断を迫られる。目標の前提に「主要国の公平で意欲的な目標での合意」をおいているためだ。新興国も含めた各国の数値目標が決まらなければ、日本の目標も宙に浮く。

2010年1月15日

温暖化対策基本法案

政府が通常国会に提出する地球温暖化対策基本法案の概要が明らかになった。国内の温暖化ガス排出量を2020年に1990年比で25%、50年に80%減らす目標を盛り込む。再生可能エネルギーのエネルギー供給に占める比率を20年に10%まで引き上げる。

法案には「主要国の公平で意欲的な目標での合意が必要」との前提を付けて25%削減目標を盛り込むほか、50年までに80%減らす長期目標も打ち出す。20年までにエネルギー供給に占める再生可能エネルギーの比率を現在の1%強から10%に引き上げる方針も盛り込む。

削減に向けて対策として環境税の11年度実施に向けた検討を明記。排出量取引制度の創設も打ち出す。家庭などの自然エネルギーによる電力全量を電力会社が高値で買い取る制度も導入する。

政府は第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)でまとめた「コペンハーゲン合意」に基づき、月内に25%削減目標を条約事務局に提出する方針だ。海外に25%削減目標の堅持を示し、他国・地域の目標の一段の引き上げを促す。産業界は25%削減目標や排出量取引の導入に反対している。政府が産業界をどう説得し、協力姿勢を引き出すかは課題として残ったままだ。

2010年1月14日

バイオエタノール 発電にも応用

ブラジルでバイオエタノールを発電に利用する取り組みが広がっている。すでに普及している自動車用燃料以外に使い道を広げ、国内の温暖化ガス排出削減や、国外需要の開拓につなげる。資源大手のヴァーレがスウェーデンのアウカニアと提携して発電機の開発を進めるほか、ペトロブラスは発電所での実証実験に着手した。

ヴァーレが開発するのは鉱山や農業分野で、各種装置やポンプの駆動に使われる産業用発電機。スカニアは商用車のほかに産業用発電機を手掛けている。計画ではスカニアの既存の発電機をもとに、エタノールと天然ガスを併用できる新型の発電機を開発する。

ヴァーレは2007年に再生可能エネルギーによる発電を研究する子会社を設立。ヴァーレによると、同種の発電機はブラジル国内で年間3000台の需要があり、スカニアと共同で将来の商用化を目指す。

ペトロブラスは12月、自社で保有する火力発電所でバイオエタノールを燃料として利用する実験を始めた。米ゼネラル・エレクトリックと共同で既存の天然ガス発電設備を改修。3ヶ月間試験を続け、結果をもとに海外に発電用途にバイオエタノールを売り込む。

ブラジルでは自動車用燃料としてはサトウキビを原料とするバイオエタノールの消費量がガソリンを上回っている。豊富な農地や生産ノウハウをもとに輸出拡大を図っているが、輸出量は全生産量の3割程度にとどまっている。

2010年1月13日

日本風力開発 基幹技術供与 海外を開拓

スマートグリッドを構築するのは、英北部のオークニー諸島。同地域には風力発電所が約2万5000キロワット、波力発電所が7000キロワットある。さらに、出力2万キロワット程度の風力発電所を建設する計画だ。

自然エネルギーを使った発電所の発電量は不安定なため、発電量と需要量との過不足の調節に蓄電池を使う。

蓄電池には日本ガイシが製造するナトリウム硫黄(NAS)電池を使う。来冬までに諸島内の2地点に合わせて4000キロワット分の蓄電池能力があるNAS電池を設置する。電池とは別の場所に発電量と需要量のデータを把握し、蓄電能力を使って両者のバランスを調節する拠点も設ける。総工費は約15億円。

蓄電池能力は今後、最大1万キロワットまで引き上げる可能性がある。蓄電池や送電網の管理をする組織を現地の電力会社などと立ち上げる。日本風力開発も一部出資し、運転管理や機器のメンテナンスにあたる。

スマートグリッド:

発電した電気の量と使う電気の量をITを使って把握し、両者のバランスをとる仕組みを持つ送電網のこと。蓄電池を使ったり、使う量を自動的に減らしたりすることで、過不足のバランスをとる。発電量が天候次第で変化する風力や太陽光などの再生可能エネルギーをより多く導入するには不可欠な技術とされている。

2010年1月12日

日本風力開発 英に次世代送電網

日本風力開発は英国で次世代送電網を構築する。現地の電力会社と協力し、蓄電池を使って送電網を安定させる基幹技術を提供する。島内の風力や波力発電所で作った電気を需要に合わせて調節する。欧米ではスマートグリッドの本格的な建設が始まっており、技術の国際標準作りも進んでいる。高度な電力制御技術を持つ日本企業による海外進出が本格化する。

2010年1月11日

EU、炭素税義務づけ検討 その2   

EUでは温暖化対策の柱として、企業に排出枠を定め、その過不足分を市場で売り買いする排出量取引制度が05年から始まった。ただ、排出量取引は電力・ガス会社、メーカーなどが主な対象で、EU域内の温暖化ガス排出量の約45%しか課がーしていない。

炭素税は家計、運輸、農業、中小企業などを含む広範囲で課税対象になる見通しだ。温暖化対策が不十分な部門にも薄く広く課税することで、企業や家計のCO2削減努力を後押しする。

コバーチ欧州委員は炭素税収入の使途は域内の温暖化対策や途上国支援に当てるほか「(対策で)おおきな影響を受ける部門への支援にも充てる」と説明している。具体的な業種は示していないが、温暖化ガスの排出量が多い電力や鉄鋼などの部門に排出削減を促すため活用するとみられる。

えU加盟国に導入を義務づけ、最低税率を定めるのは付加価値税(VAT)と同じ方式。ただ、法案は加盟国の全会一致の商人が必要だ。課税自主権を主張する英国、石炭火力発電の比率の高いポーランドなど中・東欧の対応が焦点となる。

欧州委の動きとは別に、EU加盟国内では、炭素税を新規導入する国が相次いでいる。フランスは7月1日の炭素税導入をめざす。発電所や製油所などを課税対象から除外した当初案は憲法評議会で違憲と判断されたため、課税ベースを広げたうえでCO2 1トンあたり17ユーロを課税する案に修正する見通しだ。

アイルランドは10年予算で1トンあたり15ユーロを課税する炭素税導入を盛り込んだ。ベルギーも早ければ12年からの導入に向けた検討に着手しており、「所得課税からエネルギー課税への流れをつくりたい」としている。

EUはCO2などの温暖化ガス排出量を20年までに1990年比で20~30%削減するとともに、風力太陽光などの再生可能エネルギーの割合を20%まで引き上げる方針だ。EU全域で炭素税を導入できれば、排出量取引と合わせて経済的手法を活用して温暖化ガスを減らす対策がでそろう。

2010年1月10日

EU、炭素税義務づけ検討 その1   

欧州連合の欧州委員会は地球温暖化対策を強化するため、加盟国27ヶ国に炭素税(環境税)の導入を義務づける検討に入った。ガソリン、軽油、石炭などに課税し、化石燃料の消費を減らすねらい。EU域内の最低税率を定める案が有力。北欧を中心に導入済みだが、フランス、アイルランドなど新規導入国が相次ぎ、課税対象をEU全域に広げる環境が整いつつある。日本の環境税導入論議にも影響を与えそうだ。

中・東欧など対応焦点

EUはコペンハーゲンで開いた第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)では主導権がとれなかった。ただ低炭素経済への早期移行は、技術革新を通じて域内の居ス力底上げにつながると判断。2013年以降の温暖化ガス削減の国際枠組み(ポスト京都議定書)を視野に温暖化対策で先手を打つ。

欧州委が検討しているのはエネルギー税指令の改正案。例えば、化石燃料が排出する二酸化炭素(CO2)排出量1トンあたり10ユーロ(約1300円)程度の最低税率を定め、それ以上の範囲で具体的な税率を加盟国が自由に決める構想だ。早ければ13年からの導入を目指す。

2010年1月 9日

太陽電池事業に1000億円を投資

パナソニックは8日、昨年末に子会社会した三洋電機の太陽電池事業に2015年度までに1000億円を投資することなどを柱とした経営方針を発表した。太陽電池やリチウムイオン電池など環境エネルギー分野の売上高を、創業100周年となる18年度までに3兆円以上に拡大することを目指す。家電製品の強化も続けるが、電池事業の競争力が高い三洋を傘下に収めるのを機に経営資源をスフと。韓国・サムスン電子などを超える「世界ナンバーワン電機メーカー」を目指すとした。

太陽電池は三洋が10年度までの3年間で700億円程度を投資する方針を示したが、パナソニックが負担する形で1000億円の投資を上乗せする。三洋単独で08年に11位だった世界シェアを、15年度に3位以内に引き上げる。パナソニック、三洋が別々に進めてきたリチウムイオン電池事業も生産拡大、15年度にグループ売り上げ高1兆円、世界シェアは首位の40%以上に引き上げることを目標とする。

2010年1月 8日

電気自動車向け 充電設備

神奈川県茅ヶ崎市は3月までに、JR茅ヶ崎駅近くの市営駐車場に電気自動車(EV)用の充電設備を設置する。同時に新設する太陽電池パネルで発電する電力をEV向けに供給するのが特徴。利用料は無料とする予定だ。

設置するのは約25分間で容量の80%分を充電することができる急速充電器を1基と、充電に8~14時間かかる通常の充電器3基。急速充電器は立体駐車場の屋外、通常の充電器は屋内に設置し、屋上に発電量20キロワットの太陽光発電装置を設ける。市が急速発電器を設置するのは今回が初めて。

夜間など太陽光では十分な発電量が確保できない場合は電力会社の電力を使用する。反対にEVに充電しない場合は電力を買い取ってもらう。急速充電器は茅ヶ崎市の太陽電池製造装置メーカー、アルバックに市が開発と製造を依頼した。

2010年1月 7日

風力発電トラブル防げ

環境省は低周波音と呼ばれる特殊な音波による健康被害や鳥類の衝突死(バードストライク)など、風力発電を巡るトラブルの対策に乗り出す。2010年度から低周波音の実態を明らかにする調査をはじめるほか、施設を建てる前に周辺環境への影響を検証する環境影響評価(アセスメント)の対象事業に風力発電を加える方針。トラブルを防ぐ体制を整え、自然エネルギーの一つである風力発電の普及を目指す。

低周波音の実態調査は来年度から4年間かけて実施する。低周波音の発生と健康被害の関連性を明らかにする。専門機関を通じ、苦情が多い施設を明らかにする。専門機関を通じ、苦情の多い施設を中心に住民へのアンケートのほか、地形や風の状況、騒音や低周波音のレベルなどを調べる。

環境アセスメントの対象に風力発電を追加する方針を固めた。施設を造る前に住民や自治体、環境相の意見を取り入れる仕組みを設ける。低周波音だけでなく、鳥類が飛行中に風車の羽根に衝突するバードストライクの防止も狙う。

通常国会に環境影響評価法の改正案を提出する方向だ。

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によると、風力発電の国内導入量は08年度時点で約185万キロワットと10年前のほぼ50倍と急増。施設数も1517基と10倍以上になった。地球温暖化防止対策として普及が進む一方、各地でトラブルも目立つようになっている。

ドイツなど風力発電の利用で先行する欧米諸国でも騒音などに一定の環境基準を設けている事例は多い。政府は20年までに温暖化ガスを1990年比で25%削減する目標を掲げており、今後も風力発電の導入を積極的に進める考えだ。ただ、環境省は一層の普及を目指すには、トラブルを防ぐ体制の整備が必要と判断した。

低周波音

一般に1~100ヘルツの音を指す。工場の機械や船、トラックのエンジンなどから発せられる。周波数が低いため耳では聞き取りにくいが、不快感を与えるなどの影響が知れれる。近年、風力発電施設の近隣住民から「頭痛や耳鳴りがする」といった声が上がっており、低周波音との関連が指摘されている。

2010年1月 6日

温暖化防止交渉 仕切り直し

地球温暖化防止の新しい国際枠組み「ポスト京都議定書」をつくる交渉は、昨年12月の第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)で決着せず、今年に持ち越されました。

11月にメキシコで開催する次回交渉の「COP16」が、新たに設定された交渉期限となります。準備のための作業部会が繰り返し開かれるほか、6月前後をメドに、メキシコへのつなぎとして、大規模な会議が開催される可能性もあります。

日米欧など先進国は、中国やインドなど新興経済国も温暖化ガスの排出削減義務を負う新議定書の採択を目指している。これに対して、新興国は自主的な削減は約束しましたが、義務化はのんでいません。特に中国が強硬に反対論を展開し、交渉は仕切り直しになりました。

先進国側はCOP15の「コペンハーゲン合意」を新議定書のたたき台にする考えですが、中国はこれにも反対する可能性があり、前途は多難です。

現行の京都議定書を2013年以降延長することも、COP15では決めませんでした。京都議定書で義務を負う日欧は途上国に網がかからない単純延長には反対の立場だからです。

しかし、欧州連合は、EU域内の排出量取引市場を維持するため、切れ目ない国際枠組みを望んでいます。COP16で、新議定書ができない場合、京都議定書の延長論が再び台頭する可能性もあります。

交渉の進展には、世界第1、2位の温暖化ガス排出国である中国と米国の歩み寄りが不可欠だしょう。両国とも国内に石炭産業を抱え、脱化石燃料への抵抗が大きいですが、他方、輸入原油への依存を引き下げたい欲求もあります。 

2010年1月 5日

太陽光発電電力など全量買取   

民主党は2020年までに太陽光風力水力など自然由来の再生可能エネルギーで日本が使うエネルギーの10%程度をまかなう目標を掲げています。現状は6%程度。達成に向け、政府が導入を検討しているのが、自然エネルギーでおこした電気を事業者や家庭から買い上げる「全量買取制度」です。

同制度は電力会社に一定価格での買い取りや一般家庭は投資回収が早まり、太陽光発電パネルや風力発電機などを設置する動機づけになります。こうして石油、天然ガスなどの化石燃料に頼らない低炭素社会の実現に一歩でも近づけるというのが同党のシナリオです。

電力会社は買い取った費用を電気代に上乗せします。日本では手始めに太陽光発電について、住宅などで余った分を固定価格(1キロワット時48円)で買い取る仕組みが導入されました。10年度以降に料金に反映されます。経済産業省の試算では、標準的な4人家族で、当初は年360円程度の負担になります。

政府は現在、学識経験者などで構成するプロジェクトチームで、買取対象となる電気の種類や価格、期間を話し合っています。

ただ電気代があがると産業界の競争力を弱めかねないため、電気事業連合会からは「税金での負担なども検討すべきだ」との声も出ています。

2010年1月 4日

途上国の排出量削減

ポスト京都議定書」を巡る交渉は各国の排出削減目標の割り当てばかりが注目されるが、地球温暖化対策や省エネに関する技術移転も主要なテーマのひとつだ。昨年末に開かれたCOP15では、先進国が途上国に対し積極的に技術移転が途上国に対し積極的に技術移転を進めることで原則合意した。ただ日本をはじめ先進国にとって省エネ技術は産業競争力の源。ライバルの中国など新興国に虎の子の技術が流出することを心配する声もある。

二酸化炭素の地中貯留や太陽熱発電は仕組みは単純なものの、高度な技術が駆使されている。例えば排気からCO2を取り除きく吸収液は各メーカーの企業秘密。日本とフランス、ドイツの企業が高い技術を保有しているとされるが、権利は特許で押さえられ、途上国はなかなかまねができない。

COP15の交渉では、中国などは先進国に対し省エネ技術などの開放を迫った。途上国や新興国は、京都議定書ポスト京都は先進国から先進技術や支援資金を獲得する好機ととらえる。一方では先進国政府は技術流出を心配しており、政府が私企業が保有する知的財産権まで関与できないと慎重。技術移転を巡る交渉ははかどっていない。

一方で排出量取引などの措置を活用して途上国で先進技術を普及させる試みも始まった。先進国の企業が途上国で排出削減に関する事業を実施した場合、その企業に排出枠を与えるという「クリーン開発メカニズム」がその代表だ。例えば日本企業が中国でCO2の地中貯留を実施すれば、その企業に排出枠が与えられ、市場で売却できるという仕組みだ。

2010年1月 3日

太陽光より太陽熱

地球に降り注ぐ太陽熱を使って地球を冷やす試みも進む。太陽の熱を集めて電気に変えるシンプルな発電方法だ。

欧州のフライパンとも呼ばれるスペイン南部のグラナダ郊外。太陽が照り続ける乾いた荒野に、2平方キロにわたりびっしりと鏡が敷き詰められた奇妙な施設が出現した。昨年7月に完成した世界最大の太陽熱発電施設アンダソル1号だ。

施設にずらりと並ぶ幅5㍍の湾曲した鏡は、太陽光を反射し中央のパイプに光と熱を集める。パイプの内部を流れる油はセ氏約390度まで熱せられ、この熱を使って蒸気をつくり発電する仕組みだ。鏡は常に太陽の方向を向き、熱を効率よく集めるようになっている。

施設の発電容量は5万キロワット。試算では年間15万トンのCO2排出を減らせる。冬でも曇りの日が少ないスペインでは強い日差しが安定して電気を作りだす。11年には同型施設アンダソル2号と3号が稼動する予定。

他にもさまざまなタイプの太陽熱発電所が建設され、スペインは世界の太陽熱発電大国となる勢いだ。太陽電池パネルを使った発電より効率が良いという。

ドイツの企業グループは昨年、北アフリカのサハラ砂漠に太陽熱発電施設を並べてネットワークで結び、欧州向けの発電基地とする壮大な計画も打ち出した。全欧州で消費する電力の約15%をまかなう計画だ。日照時間の短い日本では採算は合わないが、太陽熱発電は南欧やアフリカ、米国などでは再生可能エネルギーの主力と期待を集めている。

2010年1月 2日

地中を使って地球を冷やす その2

年間100万トンを回収

塔の中は特殊な溶液で満たされている。石炭を燃やした排気はパイプで導かれてこの塔を通る。溶液はアンモニア化合物で、サイダーのようにCO2を吸収する性質がある。塔を通過した後の排気はCO2ゼロ。溶液がCO2を一杯まで吸収したら、サイダーが泡を吹くようにCO2を吐き出せてタンクに回収する。

施設は2015年に本格稼動し、年間100万トンのCO2を回収できる見通しだ。日本家庭で換算すると200万世帯の1ヶ月分のCO2排出量に相当する。カナダ政府やアルバータ州政府はこのプロジェクトに対し約5億ユーロの補助金を交付する。

回収したCO2は地下に送り込んで封入する予定だ。仏南部のラックでは、仏重電アルストムと仏エネルギーのトタルが協力し、発電所で回収したCO2を地下1キロ以上の地層に吹き込んで固定する実証実験を進めている。CO2は地下深くの岩石などと反応して吸収されるため、地上に噴出してくる恐れはまずないという。

国際エネルギー機関(IEA)によると、50年にはCO2の地中貯留が世界的に普及し、現在の世界の年間CO2排出量の約3分の1にあたる約100億トンのCO2を地下に封じ込めることになるとみる。地球を利用して地球を冷やす技術は温暖化対策の切り札とされる。

2010年1月 1日

地中を使って地球を冷やす その1

昨年12月19日までデンマークのコペンハーゲンで開かれた第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)は世界の大半の国の首脳が参加したにもかかわらず、京都議定書に続く次期枠組み(京都議定書)の採択には至らなかった。国際社会の足並みの乱れをよそに、地球の温暖化はひたひたと進む。見切り発車を余儀なくされたエネルギー企業などは京都議定書に続く次の排出規制を見据え、新技術の導入を急いでいる。

温暖化の原因が二酸化炭素にあるなら、排出したCO2をどこかに閉じ込めてしまえばよい。強引な方法ではあるが、排出削減が進まない現状では次善の策として有効だ。今のところ封じ込めに最適なのは地下空間とされる。

カナダのエドモンド近くにあるキープヒル石炭火力発電所では、電力会社トロンスアルタ社の発電施設の脇で、近く巨大な塔の建設が始まる。ここは世界最大級の「CO2排出ゼロ」の発電所となる。