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2009年11月30日

超電導モーター

超電導材料を使った電気自動車(EV)向けのモーターを開発する動きが相次いでいる。アイシン精機は京都大学と共同で、極めて低い温度にすると電気抵抗がゼロになり大電流が流れる超電導の特長を生かし、従来の電気自動車に比べて消費する電力を約3割減らせるモーターの開発を始める。住友電気工業も大型車両向けの実用化を狙う。電気自動車の性能では蓄電池と並びモーターが大きな役割を果たしており、開発競争が激しくなってきた。

方式 永久磁石モーター 誘導モーター 超電導利用のモーター
最大効率(%) 93~95 88~90 96~98
素材の供給安定性 低い 高い 高い
変速機のエネルギー損失 ある ある ない
普及状況 国内メーカーで主流 欧米メーカーで主流 研究開発中


2009年11月29日

住宅「CO2ゼロ」義務付け

欧州連合は2021年以降に新築する住宅やオフィースビルなどについて原則として、二酸化炭素を実質的に排出しない「エコ建築物」とするよう義務付ける規制を導入する。太陽光発電地熱発電の活用、高い断熱性能を備えるよう求める。建築物はEU域内のCO2排出量の約4割を占め、抜本策が不可欠と判断した。

エコ建築物:

二酸化炭素を排出しない形でつくり出すクリーンエネルギーが電気やガス、石油など一般の使用エネルギーを上回る形式の建築物。余剰のクリーンエネルギーを売却すれば差し引きで計算上はCO2の排出がさらに小さくなる。明確な基準はなく、今後、EU加盟国内で基準づくりの議論が本格化する。

2009年11月28日

太陽電池 米市場に照準

独大手のショットソーラーは、米ニューメキシコ州に1億ドル以上を投じて太陽電池工場を新設した。太陽電池のほか、太陽熱発電システムの生産も手掛け「米国内の発電所需要を狙う」。

世界最大手の独Qセルズもカリフォルニア州に営業拠点を新設し、米国内での提携先開拓や販路拡大につなげる。

中国大手の尚徳太陽能電力も米工場建設を計画中である。

日本勢では、三洋電機がオレゴン州セーラム市で太陽電池の材料に使うシリコンウェハー工場をこのほど稼動。

米ガートナーの予測によると、2009年の世界の太陽電池出荷量は前年比14%減の4613メガワット、金額 ベースでは同5割減の77億8300万ドルに落ち込む。公的助成縮小や金融危機の影響で欧州での需要に急ブレーキがかかり、販売価格が急落するのが響く。

一方、カリフォルニア州の電力大手などが

太陽光発電所の新設を次々と打ち出している米国では、09年の太陽光発電需要が同31%増の436メガワットに拡大する見通しだ。

2009年11月27日

太陽電池

世界の太陽電池大手が米国市場の開拓を本格化する。再生可能エネルギー普及を後押しするオバマ政権の「グリン・ニューディール」政策で発電所向け需要が拡大する見込みのためで、各社は工場建設や営業拠点の拡充など投資を加速した太陽電池市場だが、米市場が本格的に立ち上がれば業界勢力図に影響する可能性もある。

2009年11月26日

電気自動車 低速でも「走行音」

日産自動車は2010年から発売する電気自動車に、発信時などにエンジン音に似た音を出す機能を搭載する。エンジンがない電気自動車は走りが静かな半面、歩行者が気付きにくいため「擬似走行音」を出すことで事故防止につなげる。国土交通省は12年ごろに電気自動車などに擬似走行音を出す装置の設置を義務付ける制度を検討中だが、日産はこれに先駆けて標準装備を決めた。

日産は5人乗りの電気自動車「リーフ」を来年後半に日米欧で発売する予定。

電気モーターだけで走行可能な電気自動車などは低速時に音が静かなため、歩行者や視覚障害者が車の接近に気付きにくいとの声が出ている。このため国交省は電気自動車やハイブリット車の新車を対象に擬似走行音を出す装置の設置を義務付ける方針で、基準の検討を始めている。

2009年11月25日

ペトロブラス

ブラジル国営石油会社のペトロブラスは2つの意味で世界的に重要な企業になりつつある。大型の深海油田「プレサル」の開発をすすめることで資源埋蔵量が倍増し、有数の石油供給者になる。同時に、地球温暖化対策で重要な役割を果たすバイオ燃料でも世界をリードしている。

当社の株式時価総額は世界の主要石油会社の中で米エクソンモービルに次ぐ第2位だ。当社の石油・天然ガス生産量は現在の日量270万バーレルから13年に同360万バーレルに拡大する。当社が深海油田という新たな領域を開拓していくことで、石油が枯渇する懸念はなくなり、生産量は増えていくだろう。

当社はバイオエタノールやバイオディーゼルといった石油代替燃料の供給者としても注目される存在になってきた。サトウキビで作る当社のバイオエタノールは価格競争がある。今後5年間で28億ドルを投資し、バイオ燃料の設備を拡充する。バイオ燃料の重要は世界で急速に拡大していく見込みだ。当社の年間輸出量も現在の約4.3倍の43億リットルに増やす考えだ。

2009年11月24日

温暖化ガス濃度 最高更新

世界気象機関(WMO)は23日、地球温暖化の原因となる温暖化ガスの二酸化炭素やメタンなどの2008年の世界平均濃度が、過去最高値を更新したと発表した。

WMOの調査報告書によると、CO2濃度は385.2PPMで前年より2.0PPM増加。メタンは1797.0PPMで前年より7.0PPM、一酸化窒素は321.8PPMで同0.9PPM、それぞれ増加した。

産業革命前と比べCO2濃度は38%、メタンは157%、一酸化窒素は19%それぞれ増加。

近年増加傾向が頭打ちになっていたメタンが07年に続き高い増加量になったが、WMOは再び増加傾向に転じたかは、はっきりしないとしている。濃度は過去10年平均増加量が1.93PPMと、高い増加傾向が続いている。

2009年11月23日

温暖化ガス 世界の排出量取引 倍増

温暖化ガス排出量取引市場が拡大を続けている。欧米の主要6取引所の今年1~10月の取引高は約47億トンと、前年同期の2.2倍に増え、通年でも倍増が確実な情勢だ。

欧米の取引所取引の主流を占めるのが、05年に始まった欧州の排出量取引制度(ETS)に基づく先物などの取引。欧州連合(EU)域内の事業所ごとに排出量上限枠を割り当て、電力会社や金融機関などが取引に参加している。

日本では排出量上限枠を企業ごとに割り当てる仕組みがまだ導入されていないため、取引所が運営する本格的な市場導入の機運が高まっていない。

ただ政府は温暖化ガス排出量を20年までに1990年比25%減らす目標を掲げており、取引所で排出量を購入し、自らの削減目標を達成しようとする需要が将来高まる可能性が高い。政府が日本企業に厳しい上限枠を課せば、日本でも排出量取引が活発になりそうだ。

2009年11月22日

パーム油かすから燃料

伊藤忠商事はマレーシアで新しいバイオ燃料の生産に乗り出す。パーム油世界最大手の同国企業と11月中に合弁会社を設立し、パーム油を搾ったあとに残るヤシの実殻を使った燃料の生産を2010年秋に開始。東京電力などに納入する。パーム油の製造過程で大量発生するヤシの実殻は有効利用が課題となっており、燃料としての商業利用は世界初。固形バイオマス燃料として工業用に拡販し、3~4年後には年12万トンの生産を目指す。

温暖化ガスの削減に貢献するバイオ燃料は世界各国で需要が増大している。日本では03年から一定量以上の再生可能エネルギーの利用が義務付けられ、電力各社でバイオ燃料の導入が進んでいる。

2009年11月21日

環境配慮型の石炭火力発電所

住友商事はベトナムで東南アジア最大規模となる新型の発電プロジェクトに乗り出す。総事業費は約2000億円。熱効率が高い「超臨界型」の石炭火力発電所を建設し、地球温暖化の原因である二酸化炭素排出量を従来システムより最大7%削減する。

住商は建設会社ハノインコと共同で合弁会社を設立し、独立系発電事業者(IPP)として電力をベトナム電力公社(EVN)に販売する。出資比率は調整中だが住商が72%以上となる。建設地はベトナム南部のカインホア省。経済特区に港湾設備などを含む複合施設を整備する。2011年の着工、15年操業開始を目指す。住商とベトナム商工省は20日、ハノイで同事業の推進で合意。住商は24日に内容を発表する。

発電能力は132万キロワット。従来システムよりプラントの熱効率が高く、原料炭の使用量を減らすことが可能だ。

2009年11月20日

温暖化対策、全体像示せず 

政府の地球温暖化問題に関するタスクフォースは19日、中間とりまとめ案を公表した。2020年までに温暖化ガスの国内排出量を1990年比で25%減らす目標について、家計や経済全体への影響を試算した。ただ家計の負担をどう定義するかで議論が紛糾。地球温暖化対策の全体像も示せず、政府の迷走ぶりを露呈した。

同日の会合では国立環境研究所と日本経済研究センター、慶応大が試算を提示した。国内の取り組みだけで25%削減する場合、家計の可処分所得を年13万~76万5千円押し下げると計算した。

前政権は36万円押し下げるとの試算をまとめた。これに対して民主党は「負担を強調しすぎている」と指摘。

国内努力で削減する分と、海外からの排出枠で削減する分の試算も公表した。国内削減分(10%、15%、20%、25%)がすくないほど家計の負担が減ることが分かった。政府は「相当程度は真水で実現できる」(菅副総理)との立場だが、難しい判断を迫られそうだ。

2009年11月19日

温暖化ガス削減 主要国以外も数値目標

2020年の温暖化ガス削減目標

韓国 05年比4%。対策をとらない場合と比べ30%
インドネシア 05年比7.25%。対策をとらない場合と比べ26%
ブラジル 対策をとらない場合と比べ36.1~38.9%


 

暖化ガスの削減で数値目標を導入する国のすそ野が広がってきた。韓国が17日、2020年に05年比4%削減する目標を発表。インドネシアやブラジルも表明した。京都議定書で削減義務を負わなかったが、地球温暖化対策で外交戦が活発化する中、主要国の対抗軸として存在感を示す狙いと見られる。

韓国の大統領は「温暖化ガスの削減は短期的な負担を伴うが、長期的には国家の利益になる」と指摘。

インドネシアとブラジルも、20年の目標をそれぞれ設定した。両国は広大な熱帯林を抱えており、森林伐採の抑制や森林の活性化などを通じて排出量を大幅に削減する。

京都議定書以降の枠組み(ポスト京都)については、年末の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)で採択する見通しだが、利害調整が難航して政治合意にとどまる見通しになっている。

 

2009年11月18日

米中 環境、広範囲に協力

米中首脳は17日開いた首脳会談後、共同声明とは別に、環境やエネルギー面での協力を深めるための具体策を発表した。地球温暖化対策の連携強化が狙いで、クリーンエネルギー開発の研究や電気自動車開発の標準化などを手掛ける。温暖化ガスの排出で世界1、2位の中国と米国が広範囲な協力関係を築く。

米中は「クリーンエネルギー研究センター」を設立する。エネルギー効率の向上や環境対応車の開発に向けた研究などを手掛ける。二酸化炭素などの回収や貯蔵に関する技術も研究する。センターは今後5年間で少なくとも両国折半で1億5千万ドルの公的・民間資金の提供を受ける。

電気自動車の普及に向けた対策も共同で手掛ける。検査や規格の標準化を進める。電気自動車に使う充電用プラグのデザインの標準化も対象にする。将来大きな市場として見込まれる電気自動車の分野で米中は協力し、世界をリードしていく考えだ。

再生可能エネルギーでも協力関係を深める。風力、太陽光、バイオなど広範囲で協力。

2009年11月17日

温暖化ガス EU、13.1%削減見込み

欧州連合の欧州委員会は、EU加盟15ヶ国による京都議定書期間(2008~12年)の温暖化ガス削減量が、議定書で定めた目標を大幅に上回るとの見通しをまとめた。議定書では同期間の平均的な排出量を1990年比で8%削減する目標を定めたが、現時点では13.1%の削減を見込んでいる。

EU加盟国27カ国のうち、京都議定書でEUとして温暖化ガス排出量を約束したのは15カ国で、04年以降にEUに新加盟した12カ国は対象外。欧州委によると、08~12年の15カ国ベースの排出量は90年比6.9%減る。

途上国などの省エネ事業への協力の見返りとして得られる排出枠(90年比2.2%減)、EU域内の排出量取引(3%減)、森林吸収(1%減)を合計すると、削減量は議定書の目標を大きく上回るという。新加盟国12カ国のうち、キプロスとマルタを除く10カ国も議定書期間中の排出量を90年比6~8%削減する目標を設定している。このためEU27カ国ベースの削減実績も、8%減という目標を上回るとみられる。

EUはエネルギー効率が低く、省エネによる削減の余地は大きかった。

2009年11月16日

温暖化ガス ブラジル「38%削減」

ブラジルのルセフ官房長官は13日、2020年の温暖化ガスの排出量を全く対策をとらなかった場合と比べ、最大38.9%削減する目標を発表した。来月、コペンハーゲンで開催される気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)で提示する。基準年には言及していない。経済成長を重視する新興国として具体的な目標を掲げることで、議論の主導権を確保する狙い。

ルセフ長官によるとブラジルの削減目標は自主的な目標で、義務ではない。ブラジル政府は、20年まで年平均5~6%の経済成長を確保した上で36.1~38.9%の削減が可能と判断した。

目標の中にはアマゾンの1年当たりの森林伐採面積を、1996年から05年までの平均値と比べ80%削減することや、同じく同国中部のサバンナ地帯でも40%削減することも盛り込む。削減の大半を森林管理の強化で確保する。

ブラジルにはアマゾン地域の森林伐採に厳しい目がむけられる一方、政府は、世界的に温暖化ガス削減の機運が高まればバイオ燃料生産などで、ブラジルが得る恩恵も大きいと判断。中国やインドなどの新興国に先んじて目標を打ち出した。

2009年11月15日

植物由来の樹脂 安く強く  その2

販売価格は従来品の半分程度の1キログラムあたり千円を見込む。透明で衝撃に強く耐熱性も高いなど、性能は石油系プラスチックの液晶用偏向フィルと同じという。黒崎事業所に20億円かけて試験プラントを建設中で、来春から年300トンを生産する計画だ。

温暖化ガス削減や脱石油に向けて、素材各社は植物プラスチックの開発に力を入れる。課題だった生産コストや耐久性などの解決にメドがつきつつある。

コピー機の外装部など実用化が進むトウモロコシ由来のポリ乳酸というプラスチックも高機能化が進む。帝人は従来はセ氏170度程度が限界だった耐熱性を同210度まで高めたプラスチックを開発した。原料のポリ乳酸の結晶構造に着目。結晶の形が人間の左手と右手のように左右対称な工学異性体を組み合わせ、熱に対して強くした。

帝人の栗原新事業開発グループHBM推進班長は「熱したアイロンに触れても溶けません」と強調する。衣服の素材やイスの繊維部分への応用を狙う。9月には松山市の同社事業所で実証プラントを稼動。年600トンを生産して各メーカーにサンプル出荷を始めた。耐熱性を高めたことで価格は高くなるが、用途の拡大で生産量も増え、さらなる低コスト化を狙う。

温暖化ガス削減に対する意識の高まりを受け、当からず本格的な普及期を向かえそうだ。

2009年11月14日

植物由来の樹脂

植物由来の原料を使ったプラスチックの普及に向け、機能とコストの両面を改善する研究が進んでいる。三菱化学は従来品より安く液晶テレビにも使えるプラスチックを糖由来の原料からつくることに成功、試験プラントを来春稼動する。帝人は植物プラスチックの代表格であるポリ乳酸の耐熱性を大幅に高め、衣料や家具など身の回り製品への用途を拡大を狙う。

「同等の性能を持つ従来品に比べて価格は半分以下」。三菱化学は開発したプラスチックの特徴をこう説明する。石油原料に比べて環境負荷が少ないが、高価格だった植物プラスチックの常識を覆した。

原料は植物に含まれる糖の一種「グルコース」からできた「イソソルバイド」という物質。耐熱性などを高めるため石油由来の原料も加えるが、70~80%は植物由来だ。製造工程は従来のプラスチックとほぼ同じで、原料も安いことから低コスト化を実現した。

 

2009年11月13日

環境省の試算前提に疑問

環境省が公表した地球温暖化対策税(環境税)の具体案に異論が出ている。日本経団連は12日、小沢環境相との懇談会で「慎重に対処してほしい」などと要望。環境相は「地球のために必要な経済構造をつくる第一歩」と強調するが、環境省が年1100円超とした家計の負担増にも、試算の前提に疑問を投げかける見方がある。

環境省が11日に示した環境税に伴う家計負担の試算は、現行の揮発油税などの暫定税率による税収(約2兆5千億円)のうち、ガソリンによる約1兆3千億円について、新たに1兆円相当を環境税として徴収。ほかに、すべの化石燃料に対する課税で約1兆円を見込んで、全体として2兆円規模となる税収によって生じる負担をはじいた。この前提で世帯ベースに換算した負担増を1127円とした。

ただ鳩山首相は暫定税率を廃止する意向を表明。その一方で環境税の導入には慎重な姿勢を示しており、家計の負担増は暫定税率がなくなったという前提ではじくべきだとの指摘がある。

この場合、一般家庭では前提是率の廃止で年約1万6千円の負担税が見込まれるので、環境税の家計負担は約1万7000円と1ケタ違う計算になる。

また環境省の試算は自動車を所有する家庭を対象にした。自動車を持たない家庭は前提税率廃止の恩恵はなく、現状比で4千円強の負担増になる。

2009年11月12日

温暖化対策で日米連携

環境・エネルギー分野での日米の協力内容
スマートグリッド

○ 沖縄県と米ハワイ州での実証実験の成果を共有する作業部会を設置

○ 米ニューメキシコ州での共同実験

二酸化炭素の地中貯留

○ CO2の回収技術の高度化

○ CO2を地中に埋めた場合の環境への影響評価

原子力発電

○ 耐震性の強い発電所などの研究開発

○ 米国での新規建設や第三国への導入を支援

先進的技術分野の研究開発

○ 燃料電池車用の水素をよく吸収する材料の開発

○ 新たな水素製造技術の確立

再生可能エネルギー、省エネルギー ○ 省エネルギービルや次世代自動車の分野で協力

2009年11月11日

CO2回収・貯留システム

温暖化ガス排出削減対策として、二酸化炭素を大気中に放出しない技術のCO2回収・貯留システムが注目を集めている。発電所や工場で排出するCO2を回収して地中深くに埋める。英語では「Carbon dioxide Capture and Storage」(CCS)という。米国や欧州、産油国などでプロジェクトが進み、普及が近付く。

まず大量にCO2を発生する火力発電所や製鉄所、セメント工場などに回収装置を設置する。CO2だけ溶かす液体や特定の気体だけ通す膜などを使ってCO2を分離する。空気中からのCO2回収も可能だが、効率が悪く高コストになる。

回収後はパイプラインなどを通じ、圧力をかけて地中や海底に封じ込める。すでにノルウェーやカナダ、アルジェリアでは古い天然ガス田や油田に埋める事業が始まっている。液体と気体の性質を併せ持つ「超臨界状態」で埋めるのが一般的で、常温で1立方メートルの気体が2リットル入りペットボトル2本分に収まる大きさになる。

国際エネルギー機関(IEA)は2050年に現在の排出量の約3分の一に相当する年間約100億トンのCO2を地下に封じ込めると試算。日本企業も日揮や東芝が回収プラントを稼動させたほか、福島県沖の廃ガス田に貯留する構想も進んでいる。

2009年11月10日

東電がバイオマス発電 

東京電力は9日、石炭火力発電所で間伐材など木材を石炭と交ぜて燃焼するバイオマス発電に乗り出すと発表した。2012年に常陸那珂火力発電所1号機で実施し、年間11万トンの二酸化炭素を削減する。中国電力やJパワーなども同様の取り組みを計画しており石炭火力でのバイオマス発電が定着しそうだ。

間伐材や製材所の廃材などを成型加工したペレットを粉砕し、石炭に交ぜて燃やす。使用する木材は年間7万トンで、CO2を吸収する木材を使うことで、削減効果は1号機の年間排出量の2~3%に相当する11万トンとなる。13年に稼動予定の2号機(100万キロワット)でも実施する。

中国電力やJパワー、九州電力なども計6つの石炭火力発電所で政府から補助金を得て、国内で発生する間伐材などを使ったバイオマス発電を実施する。木質バイオマス発電は石炭火力のCO2排出量削減につながるほか、間伐材の有効利用を通じて森林整備の効果も見込める。

石炭火力の温暖化ガス削減策としては石炭ガス化複合発電やCO2地下貯留が期待されるが、実用化は2020年前後の見通し。

2009年11月 9日

余剰電力、2倍で買取

家庭などで太陽光でつくった電力を、電力会社が高値で買い取る制度は、自然エネルギーの導入を推進し、温暖化ガスの排出削減につなげる狙い。一方、高値で買取る分は電気料金に転嫁される。国内の排出量を2020年に1990年比25%削減する目標の実現に向け、国民生活に負担が生じるのは確実で、その反応をみる最初の機会となりそうだ。

買取対象は、自宅などで太陽光でつくった電力のうち使わずに余った分。11月1日からの買取価格は1キロワット時48円で、これまで電力会社が自主的に買い取ってきた料金の2倍。これを10年間買取続ける。普及が進み設置費が安くなれば、導入時期に応じて買い取り価格が下がる。

電力会社は1~12月の買取費用を翌年度の電力料金に転嫁する。10年度の電力料金への上乗せは一般家庭の月額で1円程度なりそうで大きな影響はないが、11年度には約30円の上乗せになる。最大100円になる見通しだ。

直嶋経産相は27日、同制度について、太陽光や風力などすべての再生可能エネルギーを対象にした上で、全量を買い取る仕組みを検討するためのプロジェクトチームを設置すると表明。

2009年11月 8日

成長と排出削減 バランス難しく

政府は「2020年までに温暖化ガスを1990年比25%削減する」目標の実現に向け、エコカーや省エネ家電などの普及を加速させる方針だ。こうした製品の増産に加え、省エネ性能を支える高機能材料の製造には多くのエネルギーが必要になる。企業は「低酸素化」を軸にした成長戦略と二酸化炭素排出削減のバランスに苦労しそうだ。

パナソニック、ソニーなど電機大手7社の08年度の国内排出量は90年度比では4%増えた。生産品目がデジタル機器にシフトし、空調に大量の電気を消費するクリーンルームを使う半導体や液晶などの生産が増えたのが原因。競争力の強化を狙った専業構造の変革が排出量を押し上げる面がある。

トヨタ自動車の新型プリウスは素材製造、車両製造、走行から廃棄・リサイクルに至る製品ライフサイクル全体でCO2排出量が同クラスのガソリン車より43%も少ない。だが、同社によれば素材製造段階に絞った排出量はガソリン車より多い。

電気モーターなど基幹部品は生産に手間がかかり、その分電気や熱を食う構図。自動車組み立てメーカーに比べ排出を減らしにくい。

4~8月の国内乗用車生産台数が前年同期比35%減であるなど、大手製造業の生産減少傾向は今年度に入っても続いている。09年度の排出量は08年度を下回る可能性が高いが、生産が徐々に回復した場合、継続してCO2をどう削減するかが重い課題になる。

2009年11月 7日

世界初 充電型フェリー

IHIの造船子会社、アイ・エイチ・アイマリンヤナイテッドは電池を搭載しモーターで推進する充電型のフェリーを世界で初めて開発した。陸上設備で船内の2次電池を充電し運行する。運行中に二酸化炭素や窒素酸化物を排出せず、現在の原油価格の水準が続けば燃料コストをほぼ半分に抑えられるという。2015年にも実用化する。自動車に続き、船舶でも充電型の時代が到来する可能性がある。

リチウムイオン電池など高性能2次電池を電源とし、出力が400キロワットのモーター2基で駆動させ推進する。15年までに電気自動車やハイブリット車向けにリチウムイオン電池が普及し、価格が低下するとみている。

電池の容量は最大で現在の小型電気自動車の300倍以上となる5000キロワット時を想定。船体の価格は大容量電池を搭載した場合でも、1隻4億~5億とされるフェリーの6割高までに抑える考えだ。その一方でフェリーであれば運航していない夜間の割安な電力が使えるため、1キロメートル航行するのに必要な電気代は400円弱で済む見通し。現在の価格水準のA重油を使うのに比べほぼ半減できるという。

6~8時間の充電で120キロ程度運航ができるとう。本州と四国を数回往復できる。

2009年11月 6日

温暖化ガス削減 家庭の負担

環境省の小林事務次官が約10年がかりで950万円をかけ、自宅を改修した。温暖化ガスの排出量は半分になった。光熱費の削減効果で回収するには最長35年かかる。

暮らしの構えを変える初期投資は、今後10年に1世帯当たりでどの程度必要か。日本エネルギー経済研究所は約410万円と試算。国立環境研究所は180万円と見る。

今月からは太陽光による電気を電力会社が従来の約2倍の値段で買い取る制度も始まった。だが、年平均で18万円の出費は、家計調査でみた2人以上の勤労者世帯の消費支出にかかる消費税とほぼ同額だ。

政府の1990年比25%という温暖化ガスの削減目標を達成するには、国内の多くの世帯でこうした出費がもとめられる可能性がある。産業部門の排出量が90年比で減少する一方、家庭部門では07年までに4割強増えた。家庭部門の排出量削減は緊急の課題だからだ。

一方で内閣官房が今春実施したアンケートでは8割の家庭が「温暖化ガス削減策のために支出できるのは月額2000円未満」と答えた。国際公約となった削減目標と、国民の負担意識にギャップは多いい。

2009年11月 5日

電気自動車 欧州 インフラ着々

欧州で電気自動車のインフラ整備が加速し始めた。フランスやドイツの主要都市を中心に充電スタンドの設置が進むほか、電気自動車のレンタル制度を導入する動きもある。温暖化ガスの排出が少ないことから、欧州各国は次世代の都市交通システムの柱と位置付けている。

仏政府は2020年に200万台の電気自動車を普及させる計画。まず約40億ユーロ(5400億円)を投じて、公共駐車場などの7万5000ヶ所に充電スタンドを設置する。さらに住居や事務所の90%に充電設備を備える計画だ。スペイン政府は14年までに100万台に増やす目標を掲げ、都市部での充電スタンドの設置を急ぐ。

ドイツでは電力大手RWEが主要都市で充電のためのインフラ網を整える。首都ベルリンには約500基の充電スタンドを置く計画だ。オランダでも設立し、電気自動車の普及に向けたインフラを整備している。

市民らに電気自動車の利用を促すため、パリ市は周辺自治体と協力して10年末をメドに公共レンタル制度を導入する。パリ市内の約1000ヶ所に4000台程度の電気自動車を配備し、市民や旅行者が利用できるようにする。

欧州の都市部では人口が密集しているうえ、道幅も狭く、移動には電気自動車が適しているとされる。政府などのインフラも電気自動車の開発を積極化。仏ルノーが11年から4タイプの普及型を投入するほか、独ダイムラーが年内に小型電気自動車の生産を開始する。BMWも15年までの参入を計画している。

2009年11月 4日

バイオ樹脂、燃えにくく

NECは石油の代わりに植物原料を主成分にしたバイオ樹脂の新素材を開発した。植物原料の配合比率を大幅に高めた上で、難点とされていた燃えにくさと加工性を確保、電子機器の部材に使えるようにした。製造過程で排出する二酸化炭素は石油系樹脂に比べ半減する。まず自社の企業向けデスクトップ型パソコンに採用し、適用製品を順次拡大する。

肥料用トウモロコシ由来の植物原料であるポリ乳酸の割り合いを75~80%程度と従来のバイオ樹脂に比べ2倍以上にした。ポリ乳酸は石油原料より燃えやすいため電子機器向けのバイオ樹脂は石油原料を7割程度使っている。ポリ乳酸を主成分とする樹脂は照明の傘などに用途が限られていた。

NECは独自開発した難燃剤などを使い、植物原料の比率を高くしても燃えにくい素材を実用化。加工のしやすさについては花王の技術を使い石油系樹脂と同等にした。新素材は「ニューサイクル」と名づけてブランド化し、まず来年初めにも発売するデスクトップ型パソコンの新製品で前面パネルに使う。新素材は花王が製造し、NECに供給、外販も検討する。

2009年11月 3日

温暖化ガス 森林吸収分

政府は温暖化ガスの削減手法として国連が認めている森林吸収分について、日本の2020年時点での削減値は1990年に比べて最も多くても2.9%減で、場合によっては1.5%増えるとの試算をまとめた。京都議定書が日本に認める削減幅は3.8%減。森林吸収による削減幅が小さくなることで、20年までに90年比25%削減する目標達成に影響が出そうだ。

京都議定書は、各国の排出削減目標に森林が温暖化ガスを吸収する分を組み入れることを認めている。13年以降の地球温暖化対策の国際枠組み(ポスト京都議定書)交渉でも焦点となっており、政府は今回の試算をもとに交渉に臨むが、3.8%以下しか認められない可能性が高い。

20年の森林吸収分を複数の手法で試算したところ、温暖化ガスは90年比で2.9%減、0.7%減、1.5%増という3通りの結果が出た。京都議定書よろも低い数値になったのは、森林の老齢化による吸収力低下などが影響したとみられる。

2009年11月 2日

バイオ燃料 製造費ガソリン並み

トヨタ自動車や神戸大学は稲わらなど非食料系の植物からバイオ燃料を効率よく生産する技術を開発した。これまで2段階に分かれていた生産工程を1つに削減。生産コストは従来の3分の一となり、製造費ではガソリン並みの1リットル当たり40円が実現できるという。5年後をめどに実用化する考えだ。

バイオ燃料は植物を「セルラーゼ」という酵素で分解した後、酵母菌で発酵して作る。トヨタなどは遺伝子組み換え技術を使って、分解と発酵を同時にこなす酵母菌を新たに開発。稲わらなどが分解しやすいよう「イオン液体」という特殊な液体に浸して酵母菌を入れれば、酵素を加える必要がなくなり生産コストが大幅に下がる。

2009年11月 1日

太陽光発電 全量買取

菅副総理・国家戦略担当相は31日、民主党本部で講演し、家庭などが発電した太陽光発電の全量を電力会社が購入する「固定買取制度」来年度にも導入する考えを表明した。菅氏は同制度について「国が1円も使わないで太陽光パネルがわtt増える」と指摘。環境対策としてだけでなく、財政支出を伴わない景気対策としての効果も期待できると強調した。

政府が1日から始める太陽光発電の買取制度は発電分のうち使われなかった「余剰分」まで。「全量」の買取については、民主党の衆院選マニフェストに「早期導入」と明記していたが、具体的な時期は示していなかった。

制度導入には電力業界が慎重姿勢を崩していない。電力会社の買取コストは電気料金に転嫁されるため、太陽光パネルを設置できない家庭や企業の負担増を指摘する声も強い。制度導入には曲折も予想される。