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2008年12月31日

地球温暖化 ポスト京都議定書 交渉正念場

2009年は地球温暖化問題をめぐる国際交渉が大詰めを迎える。13年以降の温暖化対策の国際枠組み(ポスト京都議定書)の交渉期限は09年末。温暖化ガス排出削減の中長期目標などで対立が続いており、時間との競争の様相を呈する。日本は踏み込んだ中期目標や途上国支援策を示し、曲面打開に貢献できるのか。国内調整と国際交渉の両面をにらんだ対応を迫られる。

中期目標へ議論

「来年は各国ともフル交渉体制に入る」。第14回国連気候変動枠組み条約締約会議(COP14)が閉幕した12月13日未明、デブア同条約事務局長は記者会見でこう強調した。

発言は成果の乏しさの裏返しだ。開幕前から「重要なことは決まらない」(議長を務めたノウィツキ・ポーランド環境相)との声が多かったが、予想通りの結果だった。

交渉の進まなかった最大の要因は米政権交代を目の前に控え、様子見ムードが強まったため。欧州連合の交渉筋は「温暖化対策に消極的で任期切れ間近のブッシュ政権と交渉しても意味はない」と言い切った。

2008年12月30日

温暖化ガス 日米、25%削減を

斉藤環境相が12月中旬に米民主党のケリー上院議員と会談した際、ケリー氏が日本に温暖化ガス削減の中期目標について「2020年に1990年比25%減」とするよう求めていたことがわかった。ケリー氏はオバマ次期大統領の環境政策に強い影響力を持つとされ、中期目標を09年中に公表する予定の日本の議論にも影響しそうだ。環境省は会談の詳細を公表していない。

ケリー氏は、排出が世界最大級の中国を13年以降の温暖化対策の国際枠組み(ポスト京都議定書)に参加させるには「日米が具体的な数値目標を設定しないといけない」と主張。「最低でも(20年に)90年比25%削減が必要だ」と語った。経済に悪影響を及ぼすのであれば「20%でもいい」とも述べた。

新興・途上国の排出抑制のあり方では、先進国と中国・インドや最貧国た同じ水準の削減義務を負う必要はないものの「すべての国が参加する仕組みでなければ上院の合意を得られない」と、中印の参加は不可欠との考えを示した。

2008年12月29日

CO2の排出量は一人当たり年間10トン

環境省などが中心となって進めている「チーム・マイナス6%」は、CO2排出量の6%削減を目指すプロジェクト。日本は京都議定書で、2008年から12年までにCO2をはじめとする温暖化ガス排出量を、基準年(1990)度比で6%削減することが定められています。しかし、07年度の日本の温暖化ガス排出量(速報値)は13億7千百万トン(CO2換算)と、基準年度比で8.7%も増えていることが現状です。

08年版環境白書を基に計算すると、国民一人当たりのCO2排出量は年間約10トン。「CO2削減」と聞いて、自分には関係ないとだと感じる人も多いかもしれませんが、国民一人ひとりが、今すぐ取り組まなければ目標達成は難しいといえるでしょう。

そこで「チーム・マイナス6%」では、具体的なアクションプランを提示しています。「冷房時の室温は28度、暖房時の室温は20度に」「蛇口をこまめに閉めて水道水を節約」「過剰包装を断ろう」「電気製品はコンセントからこまめに抜こう」など、日々の行動にCO2削減への気遣いを加えることを勧めています。

日本郵便でも、より多くの人にCO2削減に積極的に参加してもらえるよう、昨年から「寄付金付きお年玉年賀はがきーカーボンオフセット年賀」を販売し、CO2削減の活動に協力しています。地球温暖化防止に協力できる身近な活動として多くの人に賛同いただき昨年度は約1千5百万枚を販売しました。

2008年12月28日

燃料電池 効率的な熱供給を実現

水素と酸素の化学反応で発電する燃料電池には、固体高分子型(PEFC)、りん酸型(PAFC)、溶融炭酸塩型(MCFC)、固体酸化物型(SOFC)などの種類がある。このうち家庭など小規模発電に適しているのはPEFCとSOFC。PEFCは電解質に高分子膜を使い作動温度が70-100度で発電効率が40%。SPFCは電解質にセラミックを使い作動温度は700-1000度と高いが発電効率も60%程度と高い。

家庭でのエネルギー消費はなかなか減少しないのが実情だ。特に給湯やエアコンなどの熱源にかかるエネルギーの割合は高い。家庭用燃料電池の場合、家庭で発電することで送電ロスを考えずに済むとともに、発電時に発生する熱を利用するコージェネレーション(熱電併給)システムで効率的に熱の供給も行える。一次エネルギーを、高位発熱基準(HHV)で約78%の高効率で利用できる。

価格設定に課題

国に「定置用燃料電池大規模実証事業」に参加した15社は、家庭用燃料電池コジェネシステムを「エネファーム」という統一商品名で呼び、09年度から始まる

一般販売に向けて普及促進を図っている。日本ガス協会によれば、天然ガスを水素に改質して使うエネファームの場合、導入によって一次エネルギーの消費量を約3割削減、CO2排出量を約45%削減。光熱費も4人家族で年間約5万円程度削減できるという。既にPEFCでは今年度までに3,300件以上の設置があり、SPFCでも導入プロジェクトが進められている。

課題は機器本体の価格。現在は200万ー250万円程度で、経済産業省が検討中の補助金で消費者の購入価格は100万円程度になる見通しだ。メーカー各社は15年頃をメドに50万円程度で購入できるよう、技術革新に注力している。

2008年12月27日

原子力発電 安全の確保を大前提に

政府はエネルギー基本計画の中で、自立した環境適合的エネルギー構造を実現するために、適切な安全確保を大前提とした原子力発電の推進や新エネルギーの導入拡大などの施策を掲げている。電力消費量が増大する中でCO2排出量を削減するには、燃焼で直接CO2を排出しない原子力発電のメリットを生かし技術革新が必要だ。

課題である使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクルの確立では、青森県六ヶ所村で建設が進められてきた核燃料再処理施設が近く稼動する。使用済み燃料からプルトニウムを取り出し、ウランと混合したMOX燃料を軽水炉で使用するプルサーマルを実現することで、限りある資源であるウランの使用量の節約にもつながる。

安定稼動実現へ注力

また、ウラン・プルトニウムの再利用では、高速増殖炉により、ウラン238をプルトニウム239に連続的に変化させる研究が進む。安定稼動が実現すると、消費した以上の核燃料を生成することができる。

国内で使用済み核燃料の再処理施設が稼動することにより、各電力会社のプルサーマル計画が本格化すれば、ウランの使用量削減とCO2排出量の継続的な削減につながる。

2008年12月26日

太陽光発電 世界をリードする供給量 一般家庭の導入拡大へ

自然エネルギーの利用では最もポピュラーなのが太陽光発電だろう。一般家庭での導入事例も増えてきた。ソーラーパネルの供給量では日本が世界をリードしており、特に多結晶シリコンベースのソーラパネルでは日本メーカーが強みを発揮している。

曲面への設置可能に

其の一方で、研究開発が活発になってきたのが、「フレキシブルソーラー」。つまり曲げられる太陽電池だ。フレキシブルな素材を基板とすることで曲面への設置も可能になり、多結晶シリコンベースでは設置できない場所でも発電できる可能性が広がる。産業技術総合研究所の太陽光発電センターは、銅、インジウム、ガリウム、セレンの4種を使った半導体材料のCIGS膜を基板にしたフレキシブル太陽電池でエネルギー変換効率17.7%を達成した。今後、軽さを生かしたモバイル機器電源や曲面を使った太陽光発電の普及にも期待がかかる。

 

2008年12月25日

風力発電 東北・北海道で設置定着 

風力発電風力エネルギーの40%程度を電力に変換できる効率の高さやCO2を排出しないという特徴がある。総発電量はまだ少ないが、ドイツやデンマークをはじめとして欧州では風力発電の導入が活発だ。日本でも1997年の温暖化防止京都会議以降、風力発電設備の設置基数は急拡大し特に東北や北海道などで導入が進んでいる。これは広い土地を生かしてウインドファームでの複数機設置が定着しているためだ。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によれば、2007年度末の段階で総設備容量は167万キロワットに達している。

蓄電池設備を併設

風力発電は風の向きや強さに影響されるため発電容量が一定しないのが欠点。また設置するためには巨大な発電機を運ぶための道路の確保や送電設備も必要になる。発電量が安定しないことは系統電力として活用しにくい。そのために蓄電池設備を併設する方法などがある。風力発電はコスト面から大型化の方向にあるが、まずは発電量の安定化が課題だ。

2008年12月24日

太陽光発電 拡大へ  その5   

環境省が11月発表した07年度の国内温暖化ガス排出量(速報値)は、CO2換算で13億7100万トンと2年ぶりに増加に転じた。この数値は過去最大で、京都議定書の基準年である1990年度に比べると8.7%増。昨年7月の新潟県中越沖地震の影響で柏崎刈羽原発が停止したことと、企業の生産活動が活発だったことが響いた。

世界に目を向けると、京都議定書で削減目標を設定した先進国など約40ヶ国の06年の温暖化ガス排出量は、90年に比べ4.7%減(国連気候変動枠組み条約事務局発表)。環境政策が進むEUが全体で2.2%減少しているのに対し、最大の排出国米国と日本は増加。ただし米国は、京都議定書から離脱しこれまで温暖化対策に後ろ向きだったが、来年誕生するオバマ政権は既に方針転換を表明している。米国の環境政策は来年以降、一気に加速しそうだ。

日本は、京都議定書での削減目標を達成するためにも、ポスト京都議定書の枠組みづくりで主導的な役割を果たすためにも、官民一体となった一層の努力が求められる。再生可能エネルギーの拡大とライフスタイルの転換、それらを実現するための技術革新と社会全体のシステムづくりが急務だ。

2008年12月23日

太陽光発電 拡大へ  その4

日本が始める今回の試行制度の特徴は、政府が”キャップ”を設けていない点だ。企業が自主的に設定した削減目標を所轄官庁が確認する仕組み。ほかにも、CO2の総排出量だけではなく原単位で目標設定できるなど、さまざまなオプションを設けている。「多くの企業に参加してもらうことが大事だ」という麻生首相の言葉通り、企業がより参加しやすい内容に工夫されている。

12月中旬には第一弾の参加企業が出揃い、来年8月ごろには排出枠の取引が活発化しそうだ。国内排出量取引がCO2排出削減にどのように結びつくか今後の検証が必要だが、市場メカニズム導入に向け大きな一歩を踏み出す。

2008年12月22日

太陽光発電 拡大へ その3

国内排出量取引制度導入に向けても動き出した。政府の地球温暖化対策推進本部は10月、施行内容を決定した。同日、参加企業の募集を開始。既に、電力、鉄鋼、化学、自動車、流通など幅広い業種の大手企業が参加の意向を表明している。

先行する欧州連合は、05年に排出量取引をスタートした。政府が排出上限を決めるキャップ・アンド・トレード型を採用。さまざまな課題が明らかになり、ルール改定を含め施行錯誤を重ねている。

 

2008年12月21日

太陽光発電 拡大へ  その2

太陽光発電は、家庭部門のCO2削減がなかなか進まない中、現状を打破するための切り札の一つと目されている。07年末現在、太陽光発電を導入している住宅は全国で約44万個。導入拡大に向け政府は、05年度に打ち切った補助金を復活させた。

経済産業省が発表したアクションプランには、住宅以外に公共施設や教育機関への太陽光発電導入を促す計画が盛り込まれている。政府は「低炭素社会作り行動計画」で、太陽光発電の導入量を20年には現在の10倍、30年には40倍にする目標を掲げており、目標達成に向けてさまざまな具体策を打ち出した。

2008年12月20日

太陽光発電 拡大へ

国連気候変動枠組み条約第14回締約国会議(COP14)が、ポーランドで開催された。来年のCOP15では2013年以降の枠組み「ポスト京都議定書」の最終合意・採択が目標になっているだけに、活発な議論が展開されている。7月の主要国首脳会議では、50年に世界の温暖化ガス排出量を半減させることが合意された。これを受け日本は、太陽光発電燃料電池など新エネルギーの導入推進、国内排出量取引制度の施行など、技術とシステムの両面で低炭素社会実現に向けて着実に歩みを進めている。

群馬県太田市には、洞爺湖サミット前後から国内外の多数の視察団が訪れるようになった。其の目的は「Pal Town 城西の杜」。世界最大規模の太陽光発電住宅団地だ。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「集中連係型太陽光発電システム」実証研究の場で、全住戸の約7割に当たる553戸の屋根に太陽電池パネルが載る。

同市は01年から太陽光発電システム導入促進事業を積極的に推進しており、奨励金を支給してきた。支給件数は毎年増加し、08年9月待つまでで823件にのぼる。同市環境政策課の岡田課長は「太陽光発電システムの導入拡大は、市全体の二酸化炭素排出量削減につながる。今後も重点施策として推進したい」と話す。

02年から5年間の実証研究は今年度で終了したが、あと2年追加されるこたが決まった。NEDOは、落雷頻度の高い太田市での実証研究を受け、今後の開発、普及に結びつけていく考えだ。

2008年12月19日

国内排出量取引 アサヒ・日航も参加

アサヒビールは温暖化ガスの排出削減に向け政府が施行する国内排出量取引に参加する。12日に監督官庁の国税庁に申請する。食品大手では初の参加表明。同社は二酸化炭素排出量を2012年度までに1990年度比で10%減らす計画を立てており、参加を機に目標達成を急ぐ。

排出枠の売買はせず、記録だけを残す参加形態で申請する。削減目標の対象にするのは国内でのビール生産に伴うCO2の排出量。10年度にはグループ企業も含めた削減目標と施策を打ち出す予定で、まず主力の国内ビール事業の目標を明確にする必要があると判断した。

日本航空も11日、国内排出量取引への参加を決めたと発表した。12日に国土交通省に申請する。国内線の一座席当たりの二酸化炭素を2012年度までに90年度比で16%削減する計画。

2008年12月18日

電気自動車 どこまでエコ その3

ライフサイクルでエコだったとしても、資源面で持続可能な技術だろうか。実は電気自動車には制約がある。モーターに入っている高性能な永久磁石(ネオジム磁石)は希土類(レアアース)と呼ぶ物質群を含む。ネオジムも希少資源だが「とくに問題はディスプロシウムだ」と豊田通商・金属資源部の山岸直人部長は話す。磁石の耐熱性を上げるため加える物質でレアアースの約93%は中国産。現状の産出のままで電気自動車の本格普及は難しいとの見方すらある。

道は二つ。ほとつはレアアースの新鉱山開発。トヨタは鉱山探しを始めている。もう一つは希少資源を含まない磁石の実現。日立製作所が11月にレアアースを使わない磁石技術の開発を発表したら「問い合わせが殺到した」という。

ネオジム磁石の発明者、佐川氏が創業したインターメタリックスもレアアースの少ない磁石を開発中と伝えられ、三菱商事が資本参加した。

電気自動車が本当にエコと呼ばれるにはまだ、ハードルがある。

電気自動車元年

2009年は量産化された電気自動車が町中を走る「元年」になる。経済産業省は電気自動車のプラグイン・ハイブリット車の普及を先導する。「EV・pHVタウン構想」を発表。モデル自治体を選定中だ。

自治体の中でも特に熱心な神奈川県は県内に一千箇所の充電スタンドを設置、公用車に百台を導入する目標を掲げた。日本郵船は集配車などすべて電気自動車に切り替える。

三菱自動車の「アイ・ミーブ」は生産能力は当面年間二千台。価格は「補助金込みで300万円以下」で、初年度の生産分を上回る購入希望がすでに集まっているという。生産のネックは搭載する電池の供給が限られることだ。

自社の営業用に300台の導入を決めた東京電力は「当社で充電スタンドを整備することは考えていない」という。現代段階では、電気自動車の普及で電力の需要がすぐに増えるとはみていない。

2008年12月17日

電気自動車 どこまでエコ その2

先陣を切って電気自動車発売を決めた三菱自動車の試算では効率はほぼ二倍となった。こちらは日本の平均的な電力構成で計算した結果。電気の約6割を石油、石炭、天然ガスの化石燃料からつくる前提だ。

その結果「ガソリン車i(アイ)に比べて電気自動車 i MiEV(アイ・ミーブ)のCO2排出は約7割り少ないと同社MiEV事業統括室の堤氏はいう。

数値には幅があるが、走行中は確かにエコ。太陽電池など自然エネルギーの割合を増やせばCO2はもっと減らせるはずだ。

では製造から廃棄まで自動車の全生涯でのCO2排出はどうか。「計算中で公表できる数値はない」とはっきりしない。清水教授も「計算は難しい」と言う。理由は「量産前段階で少量に大きなエネルギーを費やしてつくるため量産品と比較できないから」

大ざっぱに言って、製造段階では電気自動車の方が排出が多いが、使用中の削減を考えれば全体では少なくなるとみられる。

1997年に通商産業省が出した古いデーターがある。10万キロ走行した場合(廃車含まず)、ガソリン車が26.6トン、電気自動車が12.3トン。ほぼ2倍の差がある。前提となる技術の違う恐れがあり、あくまでも参考値。

国立環境研究所と産業技術総合研究所の共同チームが今年発表した試算では「電気自動車の方がライフサイクルの排出は少ないが、使い方で優位度は変わる」。発信・停止を繰る返す市街地走行ばかりで10年間10キロ走った場合、ガソリン車は電気自動車の5倍(70トン以上)になる。

交通渋滞がなく高速で走る使い方が増やせば、差は縮まる。普及を前にきちんとした評価が必要だ。

2008年12月16日

電気自動車 どこまでエコ  その1

地球温暖化への懸念を追い風に電気自動車が普及段階に向かいつつある。来夏に三菱自動車が家庭で充電可能な車を発売、富士重工業や日産自動車が続く。走行中は二酸化炭素を出さない。しかし電気をつくる発電所ではCO2が出る。電気自動車はどこまで環境に優しいのだろうか。三つの角度から検証した。

「ガソリン車より三倍効率が高い」。電気自動車の有利さを力説するのは慶応大学の清水教授。加速力や乗り心地の良さも追求した八輪電気自動車「エリーカ」の開発で知られる

ガソリン車はエンジンから出る熱や動力を伝える歯車の摩擦などでエネルギーがムダに消費され、ガソリンの持つエネルギーのほんの一部しか動力として利用しない。これに対して電気自動車はインバーター(電気回路)でモーターの回転を制御、熱や機械的なエネルギー損失が少ない。

清水教授の試算では、充電する電気の100%を石油火力で生み出す条件下でも、効率が高い電気自動車はより少ない石油しか必要としない。CO2排出量はガソリン車の三分の一程度となる。

2008年12月15日

温暖化ガス急増 牛のげっぷ

牛のげっぷや水田などから出るメタン、窒素肥料の大量使用によって発生する一酸化二窒素など、農畜産業から出る温暖化ガスの量は世界全体の10-12%を占め、対策をとらなければ今後も急増が予測されるなどとした、気候変動枠組み条約事務局の報告書が10日、明らかになった。

農畜産業関連分野は、工業や運輸部門に比べ削減対策が遅れており、対策の強化が急務。京都議定書にさだめのない2013年以降の国際枠組み構築に向けた議論の中でも、促進策の策定が課題の一つになりそうだ。

水田や畑などからは、微生物の働きで二酸化炭素の20倍超と強い温室効果を持つメタンが発生。家畜の消化菅で発生するガスにもメタンが含まれる。また窒素肥料の利用では、CO2の約300倍の温室効果がある一酸化二窒素が発生する。

報告書によると、現在の農畜産分野からの排出量は、温暖化ガス全体の10-12%に相当する68億トン(CO2換算)に達し、1990年比で17%の増加。74%が発展途上国での排出だという。

肉食の増加や人口増で今後も排出は増える見通しで、2020年にはメタン、一酸化二窒素ともに90年比で最大60%も増えるとの予測もある。

一方で、肥料の適正使用や、農地や飼料の改良などによって30年には55億ー60億トンの削減ができることも判明。報告書は、途上国への技術支援や排出量取引の利用といった政策措置の導入の重要性を指摘した。

条約のデブア事務局長は「農畜産物に排出量を表示し、消費税が排出の少ないものを選べるようにすることも有望な対策の一つだ」としている。

2008年12月14日

地球温暖化 CO2吸収 農地を生かせ その4

農林水産省は来年からより広く農家の協力を得て、田畑を従来通りの栽培、不耕起栽培、施肥など条件別に区分。炭素貯留、収量、コストなどを分析して収益性への影響も調べる。日本は京都議定書で義務付けられた温暖化ガス削減のうち、3.8%分を森林吸収で賄うことになっている。政府はポスト京都議定書の枠組みで、これに農地吸収も加えたい意向で、十分なデーターが必要だ。

国際食糧政策研究所(IFPRI)のマーク・ローズグラント環境・生産技術部門ディレクターは、京都議定書で認められたCDMと呼ばれる手法の応用などを提案する。先進国が途上国に農地管理技術を提供し、そこでの炭素貯留の増加分を自国の削減分に算入できるようにする。「途上国の持続可能な農業と温暖化対策を同時に進められる可能性がある」(学習院大学・荘林教授)

最も、理想を掲げても個々の農家にとって動機づけにはなりにくい。炭素貯留を国内排出量取引制度に組み込む案もあるが、小規模農家では売買額も小さく魅力は薄いとられ、農水省は補助策などを検討している。

2008年12月13日

地球温暖化 CO2吸収 農地を生かせ  その3

農水省の検討会が今春にまとめた報告書によると、堆肥の種類や土の質によるちがいはあるものの、施肥を開始してから50-60年間は土壌中の炭素貯留量は増え続けるという。

報告書の試算では千㎡あたり1-1.5トンを施肥した場合、全国の炭素貯留の増加量は年間約220万トン。これはCO2約807万トンに対応する。京都議定書で定める2008-2012年の日本の削減量(1990年比で6%減)の10.7%にあたる。水田から発生するメタンの効果を除いても日本の削減義務の9.3-9.8%となる。

九州沖縄農業研究センターは牛糞とおがくずを使った堆肥を軽量のペレットに加工。牛糞から出るアンモニアを有効活用し、窒素成分を補給したタイプも開発した。普通の耕運機で楽にすき込める。空気や水分が入り込みにくく、メタンなどの発生を抑える効果も期待できる。ペレット化に一キログラムあたり約10円のコストがかかるが、軽量化による輸送費削減なども考慮すれば「元は取れる」とみている。

 

2008年12月12日

地球温暖化 CO2吸収 農地を生かせ  その2

農地土壌にはもともとかなりの炭素が貯留している。農作物を収穫した残りかすや土壌中の有機物は微生物などによって分解されCO2を発生するが、分解がゆっくりなら炭素貯留は増えていく。世界の土壌の表層一メートルには、計2兆トンの炭素が蓄えられているとの報告もある。大気中の2倍以上に相当する。農地管理の方法や肥料の選べ方を工夫すれば、炭素貯留はさらに増やせる。炭化資材の使用はそうした方法の一つだ。

水田や畑を耕さない「不耕起」栽培も知られている。土壌中は酸欠に近い状態になるため有機物の分解が妨げられ、CO2の発生が抑制される。岡山県農業総合センターの実験でも炭素貯留量は増え、温室効果の高いメタンなどの発生は減ることがわかってきた。ただ、不耕起栽培では雑草が増え害虫がすみつきやすくなる場合もあるという。

牛糞やイナワラなどを原料にした堆肥の使用も炭素貯留には有効だ。分解は土壌中でゆっくり進むので「結果として長期間にわたり炭素が土壌中に蓄えられる」

(農業環境技術研究所の谷山・農業環境インベントリーセンター長)

2008年12月11日

地球温暖化 CO2吸収 農地を生かせ  その1

地球温暖化で農業が受ける影響に比べ、農地が温暖化を和らげる効果はあまり知られていない。作物が光合成で吸収した二酸化炭素の一部が、土壌中の炭素分として貯留される。その量はさらに増やせることが、最近の研究でわかってきた。ポスト京都議定書の交渉で、日本は農地による吸収を温暖化ガス削減として認めるよう、求めていく方針だ。

埼玉県熊谷市にある同県農林総合研究センター水田農業研究所の長ネギ畑。地面に黒っぽい破片が多数、見える。「炭化資材を10キログラムほどまいた」と生産環境担当の丸岡氏。軽い粉状の炭で、秩父市のバイオマス発電施設で蒸し焼きし炭化した木材チップを使っている。

炭化資材をまく目的は土壌中への炭素貯留。炭として燃やすとCO2が発生するが、すき込めば炭素のままためられる。炭素は水分や養分を保持しやすい土壌構造を作り出す働きなども知られる。作物のできが良くなるなど付加価値もあるかもしれない。5年かけて分析する。

2008年12月10日

ポスト京都議定書 交渉激化

ポスト京都議定書を巡る各国・地域の提案
日本

世界の排出量を2050年までに半減する目標を国連で採択

先進国は産業・分野別の削減手法を利用して目標を検討

新興国は省エネ目標設定

EU

50年に世界の排出量を半減以下に

先進国は20年までに1990年比30%減、50年までに80-90%減を念頭に取り組む

中国・インド 先進国は20年に90年比25-40%削減
米国

現政権

先進国と途上国の区分の再定義が必要

オバマ次期大統領の構想

米国の排出量を20年に90年の水準に抑制し、50年に90年比80%削減

2008年12月 9日

宇宙太陽光発電

政府は宇宙空間に巨大な太陽電池を浮かべて得られた電力を地上に供給する「宇宙太陽光発電」の実用化に向けた研究開発を来年度から本格化する。

宇宙利用の拡大を図るほか、地球温暖化やエネルギー問題を解決する切り札にするのが狙い。

宇宙太陽光発電太陽電池パネルを宇宙に打ち上げ発電したエネルギーを電磁波で地上に送る。天候に左右されず電力を安定して供給でき、米航空宇宙局(NASA)などが研究する。

国内では宇宙航空研究開発機構などが基礎研究を進めるが、温暖化対策が急務となり研究を加速する必要があると判断。政府の宇宙開発戦略本部が2日にまとめる「宇宙基本計画」の骨子に盛り込む。

来年度からは電力を送電するレーザーの開発や宇宙空間に太陽電池を設定する方法などを研究する。技術的に実用化できる見通しが立った段階で、民間企業などの協力も得る考え。2050年ごろの実用化を目指す。

宇宙基本計画は今後5年間の国の宇宙開発の方向を定めるもので、来年夏ごろに正式に決める。

2008年12月 8日

太陽光発電「産業戦略」策定

経済産業省は太陽電池やパネルなど太陽光発電の関連産業の国際競争力を強化するため「太陽光発電産業戦略」をつくる。超低価格の太陽電池をつくるための基礎研究の進め方や、屋根と一体型のパネルのような魅力的な製品作りの方法などをまとめる見通し。

政府は地球温暖化対策として太陽光発電の大量導入をめざしており、発電システムの普及にもつなげたい考えだ。

9日に発電システムメーカーや住宅メーカー、有識者などでつくる「ソーラー・システム産業戦略研究会」の初会合を開く。来年2月にも戦略をとりまとめる方針だ。

2008年12月 7日

地球温暖化 氷河の融解に備える  その4  

より効果的な支援法を探る研究も進む。国立環境研究所・温暖化リスク評価研究室のチームが気候変動によるアジア地域のコメ生産の変動を分析したところ、大規模な資金を投じなくても作付け時期や品種の変更など比較的安価な手段で減産リスクの9割りを回避できることが分かった。

被害抑制には知識や技術の面で先進国の協力が欠かせない。海水を生活用水に変える淡水化技術の導入や農産物の新品種開発、防災施設や医療体制の整備などが想定される。いずれも膨大な資金が必要で途上国は支援を求める。

12月にポーランド西部のポズナニで開く国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP14)では、先進国が資金を拠出する多国間基金の設立などが検討される。

2008年12月 6日

地球温暖化 氷河の融解に備え その3  

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)はヒマラヤの氷河は35年までに五分の一になると予測する。

根本的な対策をとらなければ、いずれ大きな被害が出るのは避けられない。氷河がなくなれば水不足も起きる。下流のガンジス川やインダス川、長江などに供給される水資源が大幅に減る恐れがあり、アジアだけで10億人以上が水不足に直面するとみられる。

顕在化しつつある地球温暖化の影響をどう抑えるか。斉藤環境相はポスト京都の対策について「(二酸化炭素などを削減して)地球温暖化を防ぐと同時に、それにどう対処していくかという適応の問題が大きな柱になる」と話す。

特に求められるのが自力での対応が難しい途上国の支援だ。IPCCによると、アジアでの食料不足も深刻になる。今世紀半ばまでに中央アジアや南アジアでは穀物の生産量が最大30%減少。アフリカでは20年までに農産物の収穫が半減する国が現れるほか、マラリアなど感染症の被害も広がる。中南米でも同様にコーヒーなどの生産に悪影響が及ぶ見通し。

2008年12月 5日

地球温暖化 氷河の融解に備える その2

瞬く間に解ける氷河。本来なら雪が降るはずの夏場に観測される雪―。地球温暖化が国際的な関心事として浮上した1980年ごろから、世界の屋根と称されるヒマラヤ山脈で異変が観測されている。

「地球温暖化の影響が最も早く表れているのがヒマラヤだ」現地の調査を続ける慶応大学グローバルセキュリティー研究所の福井教授は指摘する。一帯の気温は10年ごとにセ氏0.15-0.6度ずつ上昇し、氷河の融解が加速する。解けた水が流れ込み、いたるところで氷河湖と呼ばれる湖の拡大が進む。

こうした現象はネパールやブータンなど周辺国では深刻な問題。水量の増加で湖が決壊し、ふもとの住民が洪水に襲われるリスクが高まっているためだ。危険性のある湖はヒマラヤ全域で200箇所を超える。なかでも最も洪水の恐れが高いのがエベレスト山南部、標高5,000メートル地点のイムジャ湖(ネパール)だ。

福井教授によると、イムジャ湖の大きさは山頂からふもとに向け約2キロメートル、幅500-600メートルほど。2000年以降、湖の長さは毎年70メートルずつ拡大。地球温暖化は湖水をせき止める土手の氷も解かす恐れがある。決壊すれば、大量の水がわずか14分後に700メートルほど低い地点にある最初の村に達する。流域全体の被害は数千人規模にのぼるとみられる。

福井教授はネパール政府などの求めに応じ、同国に本拠を置く国際山岳総合開発センターなどと協力して一年前にイムジャ湖を観察する二台のカメラを設置。インターネットでいつでも水位や日射量の変化などを計測できるようにした。携帯電話などで警報を発するシステムの構築にも着手。情報収集のインフラや医療施設を備えた防災基地建設なども検討中だ。

2008年12月 4日

地球温暖化 氷河の融解に備える  その1

球温暖化の影響で高地の氷が解けて洪水が起きたり、南方の島国が海面上昇で国土が失われたりする被害が現実になりつつなる。気温上昇に伴う地球規模の変化は森林火災や健康被害にもつながる。

特に深刻なのは対策を講じる技術や資金に乏しい発展途上国。ポスト京都議定書では途上国の被害対策を支援する仕組みづくりが焦点の一つだ。

2008年12月 3日

企業のCO2排出量0.2%増

国内主要企業591社が国内で排出する二酸化炭素量が2008年度、07年度比で0.2%増える見込みとなることが日本経済新聞社の「環境経営度調査」でわかった。非製造業で同4.5%増えるためだ。温暖化ガスの排出削減を義務付ける京都議定書の目標期間(08-12年度)の初年度が微増となることで、今後の排出削減の取り組みは厳しいさを増しそうだ。

調査は年一回実施し、今回が12回目。8月下旬から11月上旬までに行い、867社が回答した。京都議定書では日本は08-12年度の平均排出量を1990年度比6%減らすよう求められている。

非製造業では小売業などの排出が増える。製造業の排出量は07年度比0.6%減。一方、90年度比では3.4%増えるため、排出量取引を実施・検討する企業は前年の3倍強に増えた。ただ製造業の間で減産の動きが相次いでおり、下期の排出量は当初見込みより減りそうだ。

2008年12月 2日

風力発電 普及へ追い風 その3

電力各社は新エネルギー等電気利用法(RPS法)によって、新エネルギーの一定以上の利用が義務づけられている。2010年の義務量は、07年度の倍以上になる。太陽光バイオマス(生物資源)を使った発電は規模が小さく、義務量の達成には風力の利用拡大が必要になる。

しかし、電力会社の引き受け制限で建設地の確保が難しいほか、風力発電機の値上がりによる採算悪化などで導入スピードは鈍っている。政府は10年度までに300万キロワットの風力発電所稼動を目指すが、07年度末時点では計画の半分程度強にとどまっていた。

風力の送電引き受け

風力発電所を運営する事業者は電気を売るため、地元の電力会社の電線と接続し、送電してもらっている。ほとんどは電力会社がそのまんま購入するが、今月から自然エネルギーの市場取引が始まり、買い手は一般企業などに広がりそうだ。

2008年12月 1日

風力発電 普及へ追い風 その2

風力発電は風の吹き方で発電量が変わるため、需要にあわせた計画的な発電ができないのが欠点、風力発電が増えると電力供給が不安定になとして、7つの電力会社は引き受け上限を設定している。風力発電所を新設しても、電力会社が引き受けなければ電気は販売できず、事実上の立地制限にもなっている。

東北地方は全国の風力発電能力の三割が集まっている。東北電力はこれまで、送電量を調整できない風力発電の受け入れ上限を52万キロワットとしていた。稼働中の発電所が47万キロワットまで増えたため、上限を見直し、今月に85万キロワットまで引き上げた。九州電力も従来の70万キロワットから30万キロワット増やし、100万キロワットにした。

今月は中国電力と北陸電力もそれぞれ20万キロワット、10万キロワット引き上げた。年初に上限を見直した北海道電力と四国電力を含めると、全国で104万キロワット拡大した。東京電力など大都市圏をエリアに持つ三電力は、風力発電所が少なく、導入上限を設けていない。