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2008年11月30日

風力発電 普及へ追い風  その1

東北電力など電力各社が風力発電で造った電力の購入を拡大する。今年に入って、東北、九州など6電力会社は風力発電所の送電受け入れ量を合計で2007年度末比6割多い百万キロワット以上増やした。新エネルギーの利用を促す政府方針を受けた措置で、二酸化炭素排出削減につなげる。ここにきて停滞気味だった風力発電の投資を促す狙いがある。

国内では昨年度末までに大型の原子力発電所1.5個分に相当する約167万キロワット分の風力発電が稼動している。送電引き受け枠の拡大により、約6割増える計算だ。強い風の吹く場所が多い東北、九州など6社のエリアで8割を占め、都市部をカバーする東京電力など3社の引き受ける量は少ない。

2008年11月29日

地球温暖化 対策に科学的根拠を

地球環境問題の解決に貢献した研究成果に贈られる2008年のブループラネット賞を受賞したフランス国立科学研究センターのクロード・ロリウス名誉主任研究員とブラジル・サンパウロ大学のジョゼ・ゴールデンベルク教授が来日、日本経済新聞社のインタビューに応じた。

極地の氷床解析から気候変動を解明し、温暖化問題にいち早く警鐘を鳴らしたロリウス名誉主任研究員は、「温暖化の解決に向けて、社会や政治、生活のあり方すべてを変えていく必要がある」と指摘。研究の積み重ねによって温暖化問題が世界的な関心事となったことを踏まえ、「科学的な根拠に基づいて対策を前進させるべきだ」との考えを示した。

ゴールデンベルク教授は持続可能なエネルギーの開発や導入の必要性を訴えた。ブラジルではサトウキビ由来のガソリン代替燃料バイオエタノールの普及が「二酸化炭素の削減に大きく貢献している」と強調した。米国ではエタノール向けトウモロコシの需要拡大によって大豆の作付け減少を招いたが、ブラジルでは荒れた地を開拓してサトウキビを生産しており、「エタノール原料として使用しても食料価格の高騰には結びつかない」との認識も示した。

2008年11月28日

原子力発電 炉型の二刀流で大きな戦略描く

フィンランドの電力会社が4月に同国議会に出した原子力発電所建設の申請書。そこに記された複数のタイプの選択肢に東芝改良型沸騰水型軽水炉が入った。

フィンランドで6基目の原発。「フィンランド・シックス」と関係者が呼ぶ計画は、東芝が米ウエスチングハウスを傘下に収めたことのシナジー効果を問う案件とみられている。

世界の商用原発のほとんどは水を冷却などに使う軽水炉と呼ばれる原子炉だ。其の軽水炉には沸騰水型と加圧水型がある。日本国内では沸騰水型が多いが、世界はほぼ三対一で加圧水型が優位。大市場に成長が確実な中国も加圧水型を選択した。

2005年まで、加圧水型では米WH・三菱重工業連合、仏アレバの二大グループがあり、沸騰水型では東芝、日立製作所、米ゼネラル・エレクトリックの三社が組む形。

06年に東芝がWHを買収。業界再編の後に生まれた東芝・WHグループは二つの炉型の両方を手にした。巨額を投じて二刀流になったからには、より大きな構図の世界戦力を描くことが求められる。

2008年11月27日

シャープ欧州で太陽電池

シャープは27日、欧州電力2位のイタリアのエネルと合弁で、同国に太陽電池工場を新設すると正式発表した。国内メーカーによる太陽電池の海外生産は初めてで、2010年半ばに稼動させる。投資額は最大1,500億円規模になる見通し。両社は合弁工場の運営に加え、12年までに1,000億円を投じてイタリアで計19万キロワットの太陽光発電所を展開する。

シャープとエネル、欧州の機械メーカーの三社が来年初めにも合弁会社を設立、「薄膜型」と呼ばれる最新型の太陽電池を生産する。年産能力48万キロワットでスタートし、最大で日本の一般家庭25万世帯の電力を賄える百万キロワットに高める。エネルと欧州メーカーが過半を出資し、投資リスクを分散する。太陽光発電事業ではシャープとエネルが09年春に合弁会社を設立。エネルが過半を出資し、南イタリアを中心に複数の発電所を整備する。

シャープは2000年から7年連続で太陽電池出荷量で世界首位だったが、07年は独Qセルズに抜かれ二位に転落。今後も海外の有力電力会社との提携を進めながら需要を開拓する。

2008年11月26日

原子力ルネサンス その2

06年から07年にかけて、後藤氏は本社生産調達部長として、米テキサス州で進行していたABWRの商談を早くから耳にする立場にあった。営業部門で立ち上がった原子力ルネサンスに対応して「製造部門である事業所が対応しなくてはならないことをまとめて経営計画に上げる」のが仕事。それが今年4月の異動で所長になり「計画を実行する側になった」と笑う。

今、後藤は言う。「設備や人員だけで能力を2倍にすrのではない。いかに効率を上げるかが本当に大事なところ」

10月から「KPI(京浜プロセス・イノベーション)活動」と名づけた生産性向上活動を事業所全体でスタートさせた。一言で表現すれば、トヨタ生産方式の考え方を入れる。「自動車の量産で磨かれた手法が一品もの主体の重電で効果があるのか疑問視する意見もあるが、私は効果があると信じる」

4月から製造現場にある不要なものを捨てて整理・整頓を心がける運動をスタート、働く人たちにものづくりに対する意識を深めてもらう機会を設けた。

東芝は原子炉の中核部品の一つ、圧力容器そのものは内製せず、日本製鋼所から供給を受ける。重要部品のサプライチェーンを築いて、必要なタイミングで必要なモノを確保できる仕組みを作るのも後藤の重要な使命だ。

2008年11月25日

原子力ルネサンス

2015年までに33基の原子力発電所を受注済みか、建設中になることを見込んでいる。東芝社長の西田氏は今年5月の経営方針説明会でこんな見通しを示した。

33基は、06年に傘下に収めた米ウエスチングハウス社の受注を含めての数字だが、東芝がこれまで日本国内で建設にかかわってきた原発の数(22基)を上回る。東芝にとって「原子力ルネサンス」は当面、この規模に達する。

そのうち、東芝製の改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)の割合は決して多くはない。多くはウエスチングハウス社製の加圧水型軽水炉(PWR)になる公算だ。しかしどちらにしても前例のない仕事量を抱え込みそうなのが、東芝、電力システム社・京浜事業所だ。

現在すでに水力や火力発電用の蒸気タービンが好調。そこね一回り巨大な原子力用タービンの新規受注を抱え込む。

「タービン部門を含む京浜事業所全体で2倍の清算能力を目指す」と事業所長の後藤氏は言う。投資額は10年までに約500億円を見込む。

出力130キロワット級の原発用蒸気タービンの回転軸は重量600トンにもなる巨大な鉄の塊から削りだす。大型旋盤をはじめとした設備増強に加え、人員も大量採用し、事業所の現有1800人強を2000人を超える水準まで増やす。

2008年11月24日

温暖化ガス削減 オバマ氏の目標評価

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のラジェンドラ・パチェンドラ議長は21日、横浜市内で記者会見し、オバマ次期大統領が掲げた温暖化ガス排出の削減目標について「重要な前進だ」と評価した。米国の政策転換で温暖化抑制の国際交渉に弾みがつくことに期待感を示した。

オバマ氏は18日、2020年までに温暖化ガスの排出量を1990年の水準まで減らす目標を設けると語った。パチェウリ議長は「現政権は何もしなかったが、(オバマ氏は)正しい方向に踏み出した」と指摘。有効な削減策を着実に押し進め目標以上の成果を出すよう促した。

排出量の急増で先進国から対応を求められている自らの出身国インドにも触れ「太陽光発電の普及などを盛り込んだ行動計画に基づいて排出削減に取り組んでいる」と強調し、日本に対して環境分野の技術移転を要請した。

2008年11月23日

稲わらバイオエタノール   

YAHOOニュース 毎日新聞より

「稲わらバイオエタノール」の実用化に向けて、県内で原料収集から製造、車両走行までの一貫した実証実験に取り組むことになった。このほど、技術確立のための国の事業のモデル地区に採択された。広大な田でコメを生産する大潟村で刈り取りと走行実験をし、製造過程では潟上市の日本酒メーカーの知恵も拝借。秋田の財産を生かし、環境にやさしい新燃料の実用化を目指す。「モデル地区目指したい」


バイオエタノールは植物のセルロース(繊維質)などから取り出した糖を発酵させて製造し、化石燃料に代わる新エネルギーとされる。


現在はトウモロコシやサトウキビが主流となっているが、食料価格の高騰を招いた。これに対し稲わらは県内では家畜のえさや畳に1割程度が使われる他は主に田の肥料となっており、食料供給に影響を与えない燃料として注目される。


計画によると、県農業公社が大潟村の田んぼ30ヘクタールで集めた稲わらを潟上市の昭和工業団地に設置するプラントで精製する。糖に分解後、発酵させてアルコールにする際に酵母を使うが、発酵の純度を高めるため日本酒やみそ造りのノウハウがある同市の小玉醸造から助言を受けるという。


稲わら1トン当たりからエタノールを約150リットル、1日最大200リットル製造し、総コストは1リットルあたり90円を目指す。 さらにほぼ平たんでソーラーカーラリーなどに使われる大潟村の「ソーラースポーツライン」で、エタノール100%燃料での車両走行のテストをする予定。

稲わらはセルロースの分解が難しく、従来の硫酸で分解する方式では保管や処理にコストがかかるのが課題になっていた。そこでカワサキプラントシステムズ(神戸市)の熱水分解技術を応用。同社がプラント製造と走行実験を担当する。

これらの実験を通じて効率性やコスト面での課題を探るほか、稲わら持ち出しによる土壌への影響も調べる。今年度から5カ年で総事業費約20億円を見込み、本格的な始動は刈り取りが終わる09年10月となる。


 

2008年11月22日

JFE、CO2排出を削減

自家発電設備を再編

JFEスチールは東日本製鉄所千葉地区の自家発電設備を再編する。2012年夏をメドに老朽化した発電設備2機を停廃止し、熱エネルギーを効率良く電力に転換する高効率設備を新設する。投資額は200億―300億円規模を見込み。JFEは06年度の二酸化炭素排出量が日本企業で最も多く、自家発電設備への積極投資によりCO2排出と電気購入コストの削減を狙う。

千葉地区には発電設備が4機あり、稼動から30年以上たち、熱効率が30%台と低い。代わりに熱効率が50%台となる出力25万キロワット級の発電設備を一機新設する。

設備の高効率化で年間5万トン超のCO2排出削減効果がある。

2008年11月21日

富士ゼロックス 企業のCO2削減支援

富士ゼロックスはオフィースの二酸化炭素削減などを支援する企業向けサービスを強化する。全国の販売会社を通じて複写機などの消費電力や紙の使用量削減を指導する。自社の環境への取り組みを通じ蓄積したノウハウを無償で提供することで、事務機事業の顧客を開拓する。

複写プリンターを販売する企業や自治体に社員が出向き、オフィースでの月間の電力消費量やCO2排出量を専用のソフトウエアで算出する。

パソコンやサーバーなどの機器の最適な配置を提案したり、紙の消費量を減らす印刷テクニックを教えたりする。指導は無料で行う。

これまで首都圏中心だったが、大阪や名古屋でもサービス体制を整備。自社オフィースに顧客を招き具体的な省エネのノウハウも提供する。今年度末までに34ある販社を通じ全国展開する。

2008年11月20日

オバマ氏が環境政策

オバマ次期米大統領は18日、ロサンゼルスで開いた気候変動問題に関する国際会議でビデオ演説し、次期政権としての環境政策構想を明らかにした。2020年までに温暖化ガスの排出量を1990年の水準まで削減する中期目標を設定。これに向け、年ごとの厳格な削減目標を設ける。20年以降は、50年までに温暖化ガスをさらに80%削減する長期目標も示した。ガス排出削減に消極的なブッシュ政権から大きな政策転換となる。
オバマ米次期大統領 2020年までに温暖化ガス排出量を90年水準まで削減、2050年までにさらに80%削減
ブッシュ政権 2025年までに温暖化ガス排出の伸びをゼロに
EU 2020年までに温暖化ガス排出量を90年比で20%削減
日本 2050年までに温暖化ガス排出量を現状比60-80%削減

 

国連気候変動枠組み条約事務局によると米国の06年時点の温暖化ガス排出量は90年比で14.4%増加している。

2008年11月19日

CO2抑制目標 10年ぶり未達

日本経団連は18日、2007年度の二酸化炭素排出量の実績を発表した。排出量が多いエネルギーや主な製造業の34業種で五億二千百九十万トンにのぼり、産業界が抑制目標としている1990年度の実績を10年ぶりの上回った。

温暖化ガスを排出しない原子力発電所の停止が響いたようだ。

経団連は97年に環境自主行動計画を策定。08-12年度平均の排出量を90年度(五億千五百三十七万トン)以下に抑える目標を決め、毎年の実績を公表している。

07年度は90年度に比べ1.3%増、前の年度との比較では3.1%増えた。07年7月の新潟県中越沖地震の影響で、東京電力の柏崎刈羽原発が長く停止していることが主因だ。

生産活動もまだ堅調だったため、排出量が増えたという。

2008年11月18日

競い合う石炭、風力、原子力

10月から東京工業大学岡山キャンパスの周辺をカラフルな電気自動車が走り始めた。

同大総合研究院の特任教授黒川が率いる次世代交通システムの実験プロジェクトだ。

風力太陽光発電など自然エネルギーでつくった電気自動車を動かす。「電気自動車のクリーンさを生かすには、自然エネルギー原子力で生み出した電気でなければ」と黒川。

国際エネルギー機関の委託でまとめた大規模太陽光発電についての調査報告書。太陽光の潜在力のおおきさを 指摘した。

例えば5,000キロワット規模の発電所を北アフリカ・サハラ砂漠沿いに300ヶ所建設し欧州の大消費地に送る。太陽電池工場をアフリカに造れば雇用創出にもなる。

北海油田の枯渇を目の前に英国は風力を電力供給の柱に位置づける。悩みは風力の不安定さだが、北海の風が弱まったら、ノルウエーのダムの水門を開き、水力発電で起こした電気を英国に送り込むことにする。ダムが風力を補完するバッテリーの役割を果たす。

既存の交流網とは別に「日本列島を貫く直流送電の大動脈をつくってはどうか」と提案する。

直流網に全国各地の風力太陽光など自然エネルギーをつなげていけば、変動を相互に緩和し合う。

2008年11月17日

CO2ゼロ電力 きょう売買開始

日本卸電力取引所は17日に「二酸化炭素ゼロ電力」の売買を始める。発電時にCO2を発生しない水力風力原子力などで作った電力だけを取扱う新市場で取引を開始する。CO2削減に取り組む企業の需要を想定している。

御電力取引所は電力会社や自家発電機の保有企業など40社が会員になっている。通常の取引は会員限定だが、CO2ゼロ電力を売る場合は会員以外も参加できる。売り手と買い手が取引量や額をインターネットで入力、条件が合えば取引が成立する。

原子力発電所の長期運転停止により、企業が電力会社から購入する電力はCO2排出が多い計算になっている。企業がCO2ゼロ電力を購入すれば、自社の排出量を大幅に減らせる。

風力や水力など新エネルギーを使う発電所の保有事業者は、CO2ゼロの電力のほぼ全量を電力会社に販売してきた。取引所での売買が始まれば、事業者も新たな販売先を確保しやすくなる。

2008年11月16日

製紙・セメント業界、CO2減

日本製紙連合会とセメント協会は14日、各業界の2007年度のエネルギー消費による二酸化炭素排出量が減少したと政府の会議に報告した。

製紙は前年度比0.2%減の2,322万トンとなった。高効率設備や再生可能エネルギーの導入が寄与した。使用エネルギーに占める購入電力の割合が一割強と少ないため、原子力発電所停止の影響は限定的だった。

セメントは3.5%減の2、700万トンだった。住宅着工や公共工事の減少により需要が減り、排出量も大幅に減少した。

2008年11月15日

工場のCO2海草で吸収

竹中工務店と東京電力、東京工業大学などの産学が、工場や発電所で発生する二酸化炭素を海水に吹き込み、繁殖した海藻をバイオ燃料などに利用する温暖化対策技術の開発に着手した。CO2で育てた海藻を石油代替燃料に活用することで温暖化ガスの排出抑制を狙う。2012年以降に沖縄などで実証試験を実施する構想で、18年にも全国で事業を始めたいという。

共同開発には九州大学や高知大学、中部大学なども参加。10月に「海洋バイオマス研究コンソーシアム」を発足させた。

計画では臨海コンビナートの周辺などに専用施設を設ける。水槽に海水を入れて工場や火力発電所の排ガスを吹き込み、CO2を海藻に取り込ませる。繁殖した海藻でバイオ燃料や固形燃料を生産する。こうした燃料を消費したときに発生するCO2は海藻が吸収するCO2の分と相殺され、温暖化ガスを増やさない効果が期待できる。

工場などの排ガスには高濃度のCO2が含まれ、これを利用すれば海藻を大量に増やせるという。海藻は成長が早く、食料と競合しないバイオ燃料原料として有望視されている。

コンソーシアムは短期間で育つ海藻の選別や排ガス輸送の基本技術を3年以内に開発する。海水温が高く太陽光が豊富な沖縄などに大規模な実証試験施設を建設することを検討しており、有効性を確かめる。

2008年11月14日

京都議定書 達成遠のく  その2

日本の経済成長率と温暖化ガスの排出量の動きはほぼ連動している。実質国内総生産(GDP)成長率がマイナスだった98年度はCO2排出量も前年度比約3%減少した。その後の景気拡大局面では排出量は増加基調に転じたが、08年に入り日本経済は急減速しており、排出量の伸びも鈍る公算が出てきた。

急速な原油高や自動車の省エネなどを背景にした石油消費の減少もCO2削減には追い風。07年度のガソリン国内販売量は前年度比で2.5%減り、これに伴い運輸部門のCO2排出量も1.6%減った。販売は08年度上期も前年同期比4.7%減少。価格はここへきて下落に転じたものの、ガソリンの需要はまだ低迷が続くとの見方が多い。

もっとも景気など外部要因を当てにするだけでは景気が回復したときに排出量が大幅に増える恐れもある。

2008年11月13日

京都議定書達成遠く

環境省が12日に発表した2007年度の国内の温暖化ガス排出量は、二酸化炭素換算で13億7千百万トンと過去最高を記録した。温暖化ガスを出さない原子力発電所が停止した影響が大きかった。京都議定書の実行期間がスタートした08年度は景気減速によって排出量が抑制されるとみられるが、原発の運転再開など不透明な要素も多く、議定書の目標達成へのハードルは高い。

07年度は7月の新潟県中越沖地震で東電柏崎刈羽原発が停止。この分をCO2排出量の多い火力発電で代替したことで温暖化ガス排出量京都議定書の基準となる1990年度比で8.7%増となった。

日本は京都議定書で08-12年度平均の温暖化ガス排出量を90年度比で6%減らす目標を課されており、07年度比では13.5%の削減必要になる。政府は必要削減量の一定部分を海外からの温暖化ガス排出枠の購入や森林吸収などで満たす計画。これにより07年度比で5%分減らす計算になるので、実質的には残る8.5%分の削減が課題になる。

今後の排出量を左右する第一の要素は原発の稼働率向上だ。国内原発の07年度の稼働率は60.7%と前年度比で9.2ポイント下がった。環境省によると、原発稼働率が過去最高だった98年度の84.2%を維持していたと仮定すれば、07年度の排出量は実績値より5%程度押し下げられるはずだという。東電の原発が今後、再開すれば大きな削減効果をもたらす可能性が強い。

2008年11月12日

新エネルギー 電気料金にコスト明示

経済産業省は地球温暖化対策を加速するため、2009年度内にも電気料金制度を改定する方針を固めた。温暖化ガスの排出は少ないものの割高な太陽光など新エネルギーの発電・調達コストの明示を電力会社に義務づけるのが柱。電力会社が利用者に費用負担を求めやすくすることで、普及を後押しする。中長期でみると料金の上昇要因となるが、低酸素社会づくりには家計や企業の負担増は避けられないと判断した。

燃料価格高騰を受けた激変緩和とは別の措置。電力会社は現在、新エネルギー導入にかかった費用を明らかにしていないが、経産省は電力会社の会計規則を定めた省令を09年度中にも改正、費用の開示を義務付ける。

新制度は新エネ導入費を目に見える形で分かりやすく示す。まず電力会社に新エネルギー導入費用の個別計上を義務付ける。そのうえで、利用者が毎月支払う電気料金の明細書に、例えば「今月のお客様の新エネルギー負担は200円」などと内訳を明示する案も検討す。

利用者は料金に占める温暖化対策費用が分かるので、電力会社にとっては新エネルギー量が増えるごとに料金を上げやすくなる。具体的な価格転嫁の方法は今後詰める。

太陽光の発電費用は火力や原子力などの平均より約7倍高い。今は割合が低いため、家庭などの負担も月数十円程度にすぎないとみられるが、現在の発電コストのまま電力会社が新エネ発電量を増やして費用を転嫁すると、将来は料金が急上昇しかねない。

2008年11月11日

風力発電 思い切れぬ日本

国内最大の風力発電会社であるユーラスエナジーホールディングス社長の永田は米テキサス州の荒野を眺めて「今の米国を象徴していると思った」と言う。

「テキサスの地主たちはかつて広大な土地を牧畜業者に貸して金儲け、油田が見つかると石油会社に貸し、今度は風力発電事業者に貸し始めた」。ユーラスは同州で出力18万キロワット、風車の数にして180本の発電所建設を進める。

風力発電はこれまでデンマークやドイツなど欧州諸国が普及を牽引してきたが、重心は米国に移りつつある。

米エネルギー省は2030年までに電力の20%を風力で賄う目標を掲げ、風力事業者への税制優遇措置を打ち出す。07年の新規導入は前年比45%増、ドイツなどを上回り世界トップ。特に、安定した風が吹くロッキー山脈東側の州で建設が加速する。

ユーラスは国内14ヶ所に約32万キロワットの発電能力を抱える風力最大手だが、海外にその3倍以上の設備を持つ。ほとんどが欧米だ。9月には英国で50万キロワットの大規模な洋上発電所の事業許可を得た。総事業費は約12億ポンドに達する。

「軸足は海外にある」と永田は言う。大型のプロジェクトが相次ぐ欧米に比べて国内は色あせて見える。国内の風力発電導入も10%超の伸びを示している。しかし世界の足はもっと速い。欧米に続いて中国やインドの拡大も急だ。

伸びないのには理由がある。発電量が変動する風力を送配電網に受け入れることに電力会社は上限を設けている。風力に適した場所の多くは風光明媚で、発電所建設は国立公園法などの厳しい規制を受ける。

2008年11月10日

フィルム太陽電池商品化

大日本印刷とグンゼは色素を使う低コストの新型太陽電池を2010年にも商品化する。光に反応する色素の薄膜をフィルムに塗布した簡素な構造で、大日本印刷は携帯電話やノートパソコンなど電子機器の補助電源向けに出荷する。グンゼは帽子などにつけて発電機能を待たせる用途を想定している。アイシン精機なども同様の技術にようる電池を開発中で、異業種が低価格タイプで太陽電池市場に参入することで用途開発が進みそうだ。

太陽電池の特徴

種類 発電効率 原材料 商業生産する主な国内企業 特徴
色素増刊型 3-5 色素

製造工程が簡素。生産コストが割安
結晶シリコン型 10-22 シリコン シャープ、京セラ、三洋電機、三菱電機 シリコン使用量が多い
薄膜シリコン型 4-10 シリコン シャープ、カネカ、三菱重工業 シリコン使用量が少ない
化合物型 10-12 銅、セレン、インジウム 昭和シェル石油、ホンダ 製造工程が簡素。シリコンを使わない


2008年11月 9日

環境対策 米中印の参画求める

世界の科学者や経営者らが集まり人類共通の課題を討議する「科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム」が京都で開かれた。地球温暖化や新興感染症など世界の協力が必要な問題を論議。温暖化防止のため「米中印が参加する国際枠組みが必要」などとする声明を発表した。金融危機による経済混乱のなかでも環境対策など研究開発投資を続けるとの意見も出た。

フォーラムは5回目。91ヶ国・地域などから約750人が参加した。ネット経由で優れた教材が入手でき途上国の教育向上につながるなどと評価する意見が表明された半面、ネットにアクセスできない人々がまだ多くいる格差の存在が繰り返し指摘された。

 

2008年11月 8日

東京都CO2排出量削減を義務化

京都議定書で定められたCO2排出削減目標である6%を達成するため、夏場の冷房温度セ氏28度、冬場の暖房温度セ氏20度が推奨されている。実施するためにはライフスタイルの転換も必要だ。その一つが夏場のクールビズと冬場のウオームビズ。夏場は軽装で済まし、冬場はもう一枚重ね着するなどの工夫だ。

都心部ではヒートアイランド現象が深刻化している。ヒートアイランド現象対策として注目されているのが、オフィスビルやマンション、工場、倉庫などの屋上緑化だ。

東京都では01年度から自然保護条例により、敷地面積1000平方メートル以上の新築もしくは改築された建物について屋上面積の20%以上の緑化を義務づけた。屋上緑化により建物内部の温度を下げ、空調使用の効率化を図り、併せて、空調システムのリニューアルにより、省エネ効果は大きく現れてくる。

こうした大規模施設の省エネを推進するため、国は「改正省エネ法」により中規模の事業所からオフィスビル、ホテルや病院など一定の規模を持つ施設に対して省エネ義務を課してきた。06年にはさらに規制が強化され、2000平方メートル以上の住宅や大規模な増改築、修繕、リフォームも対象に加えられた。

また、東京都議会は「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」の改正案を6月に可決した。改正案は、全国で初めて大規模事業所などにCO2排出削減を課すもので、東京都では10年にCO2排出量の削減義務化を図ることになる。

排出量削減が義務づけられるのは、原油換算で年間1500キロリットル以上のエネルギーを使用する約1300ヶ所の事業所。20年度までに05年度から07年度の平均排出量に対し15-20%を削減しなければならない。

2008年11月 7日

太陽電池・地熱 宝の持ち腐れ その2

日本の優れた特長が生かせていないのは地熱発電も同じ。火山国の日本は地価に豊富な温泉があり、潜在的には原子力発電所70基分に相当するエネルギーがあるという。しかし支援策は乏しく、「民間などの優秀な技術者はフィリピンやインドネシアなどへ流出した」(環境省)。再生可能エネルギーは発電コストが高いという批判は多いが、国内でも導入余地はまだあるとの分析もある。

千葉大学の倉坂教授らの調査によると、しでに全国62の市町村が再生可能エネルギーだけで地域の一般家庭などの熱・電力需要を満たす。簡単な試算では「国内需要の半分は再生可能エネルギーで賄える」という。

優れた技術の導入が伸び悩むのは再生可能エネルギーだけに限らない。日本のガラスメーカーが商品化する断熱ガラス。二重ガラスの内側に金属の薄膜を貼りつけて断熱性を高めた優れた製品があるが、国内の普及率は新築マンションでも5%に届かない。「窓ガラスを断熱性の高い製品に替えれば、家庭から出る二酸化炭素の削減だけでなく、長く使えば電気代の節約できるのに」とガラスメーカーの関係者は嘆く。日本の断熱基準は欧州に比べて緩く、義務もない。目先の高い価格が消費者に購入の二の足を踏ませている。

2008年11月 6日

太陽電池・地熱 宝の持ち腐れ

「問い合わせは増えているが、すぐに購入には結びつかない」

長野県を中心に太陽電池を販売する民間業者のある担当者はこうこぼす。政府は太陽電池の普及を後押しするため住宅向けに設置費用を補助する制度を年度内にも始める。業者はこの補助金をうたい文句に国内有数の日照時間を誇る同県で営業を開始するが、思うように契約が伸びないという。「やはり簡単に手が届く価格でない」

補助金は太陽電池の導入量で首位を走るドイツを逆転するのが狙い。ただ財源の問題もあり、一戸建ての標準的な設置費用(200万円強)の一割程度にとどまる見通し。環境エネルギー政策研究所の飯田所長は「補助金だけでは限界がある」と冷ややかだ。

ドイツは太陽光など再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が一定価格で買い取るよう義務付け、太陽電池の導入を加速させた。買い取り制度は補助金に比べて企業にとって長期的な需要が見通しやすい。また価格は高いものの発電効率が優れた新型電池の導入を後押ししたり、民間企業の研究開発を促す効果も期待できる。

国内では買取制度を求める意見もあるが、政府内に「電気料金の高騰につながる」と反対の声があり、導入に踏み切れないのが実情だ。日本は太陽電池の開発で先頭を走るが、性能の高い太陽電池を開発しても、宝の持ち腐れになる恐れがある。

2008年11月 5日

温暖化ガス宇宙から監視

宇宙航空研究開発機構などは4日、来年1-2月に打ち上げ予定の温暖化ガス観測技術衛星「いぶき」を筑波宇宙センターで公開した。

衛星本体は高さ3.7メートル、幅1.8メートル、奥行き2メートルで、左右の太陽電池パネルを広げると、全長13.7メートル。鹿児島県南種子島町の種子島宇宙センターからH2Aロケットで打ち上げ、温暖化ガスの二酸化炭素とメタンの濃度を測定する。

現在、陸上と海上の観測点は計約280地点だが、いぶきの利用で地球のほぼ全域の観測が可能になるという。同機構と国立環境研究所がデータを処理し、環境省が温暖化対策に役立てる。

2008年11月 4日

国内排出量取引 その2

Q:排出目標は総量で約束するのか

A:生産額あたりのCO2排出量など「原単位」と呼ぶエネルギー使用効率指標を目標にしてもよい。原単位の目標値と実績値の差に、実際の年間生産額を掛けた値が過不足量になる。生産額一億ト円あたりCO2排出100トンを目標にした企業が、省エネ努力で実際の排出を同80トンに抑えたとする。総生産額が100億円なら2000トンの排出枠が得られる。

Q:排出枠はいつ交付されるのか。

A:「事後清算」と「事前交付」の二通りある。事前清算で排出実績の確定後に目標を上回って達成した分を、政府が排出枠として企業に無償で交付する。

事前交付は取引の流動性を高めるための措置。08年度の排出実績は09年10月に確定するが、希望する企業は確定前に目標排出量に相当する排出枠をもらえ、売り始められる。事前交付の対象はよりハードルが高い総量目標を選択する企業に限られる。ただ政府が目標達成を確認する前に売れれる量は交付された枠の一割に限られる。安易な売りすぎやマネーゲーム化を防ぐためだ。

Q:海外で得た排出枠を目標達成に使えるか。

A:京都議定書クリーン開発メカニズムに基づいて途上国の排出削減事業から得られる排出枠も併用できる。大企業が中小企業などに資金・技術支援をし排出削減できた分を大企業が排出枠として得る仕組みも活用できる。

2008年11月 3日

国内排出量取引 その1

二酸化炭素排出削減の有効な手段とされる「国内排出量取引制度」の試行内容が決まり、政府が10月21日から参加企業の募集を始めました。温暖化防止に市場メカニズムを活用する新たな枠組みに、企業はどう対応すればいいのか。参加方法や取引の仕組み、企業の参加メリットなどを解説する。

Q:企業は個別に参加するのか。

A:参加するか、しないかは企業が自主的に判断する。企業単位の参加のほか、工場単位や親会社と子会社が一体になったグループ単位でも構わない。

参加形態は二つある。削減目標を設けて排出実績との過不足分を企業間で取引するケースと、目標は設定するが排出枠の売買はしないケースだ。この場合は目標を達成したかどうか政府の確認を受けて過不足が記録に残るだけになる。

Q:応募手続きは

A:京都議定書の削減実行期間の2008-12年度から任意の年度を選んで参加できる。複数年にわたって参加する場合も単年度ごとに削減目標を設定する。

参加申請書に目標年度の排出量や直近の排出実績、その算定方法などを書いて政府に提出する。所管部局(例えば鉄鋼会社なら経済産業省鉄鋼課)が妥当性を審査し、されに経済省、環境省などからなる排出量取引の運営事務局が再確認して正式に参加が決まる。08年度を目標年度にする場合は12月12日が応募の締め切りだ。

2008年11月 2日

環境対策一段と拡充

横浜市が環境対策を一段と拡充させる。環境施設のあり方を検討する横浜市環境創造審議会がまとめた中間報告書では中心部への自動車流入規制のほか、コンビニエンスストアなどのチェーン店にも温暖化対策計画の報告書の提出対象を広げるなどの対策を盛り込んだ。審議会は今後、議論を重ね最終報告書を策定する。

市は報告書を基に条例改正や新たな施策の策定に役立てる。

横浜市の温暖化ガスの排出量は2005年度時点で1977万トン京都議定書基準年の1990年度に比べ16%増え、この間の人口増加率を上回って推移している。このうち、家庭部門と運輸部門で全体の4割強を占めており、両部門における対策が急務となっている。

2008年11月 1日

CO2地下貯留の命運

火力発電所から出る二酸化炭素を地中に埋める炭素回収・貯留が欧米では温暖化対策の強力な手法として浮上してきたが、「日本には回収・輸送・貯留を一貫して請け負う会社がない」。

勿来とは、電力会社が共同出資するクリーンコールパワー研究所の石炭ガス化複合発電プラントの所在地。磐城は国際石油開発帝石が鉱区権を持つ福島県いわき沖の海底ガス田。勿来で回収したCO2を約70キロ離れた磐城で埋める。

実現すれば、高効率でCO2排出が少ない石炭ガス化複合発電プラントをCCSと組み合わせてもう一段、ゼロエミッション(排出ゼロ)に近づける。