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2008年10月31日

夢の電池

米IBMは今春、銅やインジウムをインクのように塗るだけで太陽電池をつくる新手法を国際会議で発表した。シリコンを原料に作る従来の太陽電池のような高額な真空製造装置がいらず、生産コストが下がるという。そのIBMが実用化に向けて協力を求めたのが東京応化工業だ。わずか1.5マイクロメートルの厚さで薄膜を塗る独自の技術に、IBMが注目した。

国内有数の日照量を誇る山梨県北杜市に今春、世界の20社以上から最先端の太陽電池設備が集められた。半分近くが日本メーカーのものなった。新エネルギー・産業技術総合開発機構がNTTファシリティーズや北杜市に委託、発電性能の比較などに取り組む。メーカーを同条件で競わせるのが狙いの一つだ。

三洋電機は独自構造の「HIT太陽電池」で先行する。普通の太陽電池は発行効率が10-20%だが、HITはそれより高く、三洋は昨年、22.3%に高めた。「理論上の最高値である29%の実現へ向け改善策を練っている」

厚さ0.07ミリと従来の三分の一に薄くしたHIT太陽電池も試作した。三洋は薄膜の作製に必要な「プラズマCVD」技術を得意とした。

2008年10月30日

中印でCO2削減支援

太平洋セメントなどセメント大手は中国やインドの環境対策支援に乗り出す。近く現地の工場に要員を派遣、設備・操業状況を調査し、二酸化炭素排出削減に向けた改善策を提案する。各社協力のもと来年初めをメドに、生産時の排熱を回収・利用する省エネ技術なども公開する。中印両国で世界セメント生産の約半分を占めるが、温暖化対策は遅れている。電力・鉄鋼業界と同様、CO2排出の多いセメント分野でも国際協力事業が本格化する。

太平洋セメント子会社の太平洋エンジニアリングが11月上旬、インドのセメント大手、ACCとグラシム両社の工場各1ヶ所に技術者を派遣する。2週間程度かけて省エネ診断し、改善した場合のCO2削減効果も試算する。

セメント各社の技術支援が拡大すれば、新興国でのCO2削減分を排出枠として取得する事業につながる可能性もある。

省エネ技術は経済産業省と協力して他国のノウハウも募り、ネット上で無償公開する方針。電力使用量を大幅に低減できる最新の原料粉砕装置を紹介するほか、焼成炉などから出る排熱を回収し発電・原料過熱に使う仕組みなどを盛り込む。セメント協会がまとめ役になり、住友大阪セメントなどを含め大手が協力する。

2008年10月29日

ポスト京都遅れに懸念

金融危機が地球温暖化対策に影響してきた。各国とも「経済」を優先せざるを得なくなり、つい最近まで緊急テーマとされていた「気候変動」は後退する懸念が広がっている。一方で環境分野の設備投資や技術開発は景気対策の目玉になるという意見もある。ポスト京都議定書の枠組みを決める期限は2009年末。揺らぐシナリオをどう収れんさせていくか、世界は模索する。

ポーランドの環境相が「金融危機が温暖化対策に影響を及ぼしている」と発言。まず金融危機を緊急課題として取り上げるよう提案した。参加国から「経済団体から(温暖化ガスの)排出規制緩和を求める声が強まり、対応に苦慮している」などの報告があいついだ。

2008年10月28日

太陽光発電 砂漠を使え その4

太陽電池も技術進歩が急ピッチだ。例えば三洋電機はアモルファスとシリコン結晶の技術を生かした独自構造の「HIT太陽電池」を改良。変換効率は砂漠プロジェクトで想定する水準を大きく上回る22.3%に達している。通常の多結晶シリコン太陽電池は温度が上がると変換効率が急低下するが、HIT電池は下がり方が緩やかなので高温の砂漠などでも良好な性能が期待できる。

IEAの作業部会ではサハラ砂漠から欧州だけではなく、ゴビ砂漠からアジア一帯、アラビア半島などの砂漠地帯から中東一帯にそれぞれ電力を供給する計画も研究を続ける。中国やサウジアラビアなどの国家プロジェクトとも連動する可能性がある。

実は大規模太陽光発電所の建設は、既に世界各地で相次いでいる。日本でも電力10社が計30ヶ所、発電出力合計140メガワットの太陽光発電所を建設する計画がある。そこで蓄積したシステム設計、送電系統の接続、安定した電力供給などのノウハウは、そのまま砂漠プロジェクトに生かせるはずだ。

太陽電池発電所

太陽電池パネルを多数並べ発電出力合計が1メガワット、つまり1000キロワット級以上に達する発電所。「メガソーラー」とも呼ぶ。従来、太陽電池は住宅の屋根などに載せる出力3キロワット級が主流だったが、高性能品の量産技術中が整い大規模な展開が可能になった。

シャープと関西電力は来年、堺市に合計出力28メガワットの世界最大級の太陽光発電所を着工する計画。大規模太陽光発電所計画は先行する欧州のはか韓国でも増え、出力合計は世界の年間導入量の2割に迫る勢いだ。メーカーや電力事業者のシェアー獲得合戦が各国で激化している。

2008年10月27日

太陽光発電 砂漠を使え その3

欧州連合内では、ある程度電力を融通し合える電力網は既に存在し、加盟国で大規模停電が起きた際などに活用できる。中・東欧や地中海周辺国に電力網を広げる動きもある。このネットワークを使えば効率的だ。

銅線を使った従来の送電線では発電量の5%程度が電気抵抗による発熱などで失われるため、超電導物質の利用も検討している。絶対温度零度近くに冷やすと抵抗がゼロになる物質がしられていたが、1980年代にセ氏零下196度の安価な液体窒素でもゼロにできる「高温」超電導物質が見つかった。

住友電気工業が「ビスマス系」高温超電導物質を使って高品質な線材を開発。一本で銅線の150-200倍の電流を流せ、冷却用エネルギーを考慮しても電力損失が銅の場合の半分で済む実用品の作製に成功した。「セラミックスの一種なのでもろいが、焼き上げ時の温度や圧力を工夫して問題を克服した」と佐藤超電導担当技師長。国内のはか米国でも実験し、送電ケーブルとしての実用性を確認した。送電コストが銅線の3倍程度するという費用面の課題などは残るが、砂漠発電プロジェクトで使える可能性は高い。

2008年10月26日

太陽光発電 砂漠を使え  その2

IEA[砂漠からのエネルギー」に関する作業部会は一通りの技術課題や経済効果などの検討を今秋までに終えた。温暖化問題の深刻化、化石燃料価格の高騰などを受けて関心が高まり現実味が増してきたために、さらに細かく計画を練る。発電、送電設備などの設計や仕様を具体的に検討する。日本、米国、ドイツなど10ヶ国が参加、オーストラリアも加わる意向だ。

有力候補の一つがアフリカ北部のサハラ砂漠一帯からスペインにかけて100メガ以上の大規模太陽光発電所を複数建設し欧州などに電力供給する案。土地代を除く建設コストは出力1キロワットあたり約4000ユーロとの試算もある。100メガワットなろ4億ユーロになる計算だ。

2008年10月25日

太陽光発電 砂漠を使え  その1

砂漠に大規模太陽光発電所を設置し、電力を周辺各国に供給しようという壮大な構想が動き出した。国際エネルギー機関(IEA)の作業部会が面積や日照時間、技術課題などを検討中で、来年にもサハラ砂漠やゴビ砂漠を舞台に実際の建設を想定した詳細計画を作る。構想の実現へ向け、日本が持つ優れた太陽電池、送電線の技術に期待が寄せられている。

ユーラシア大陸に広がるゴビ砂漠の半分に太陽電池パネルを敷き詰めば、地球全体の年間エネルギー需要すべて賄える。作業部会はこんな試算をまとめた。「さらに広いサハラ砂漠にびっしり設置すれば総需要の約10倍を得られる」という見積もりもある。

太陽電池が光を電力に変える変換効率は15%と仮定しているが、これを上回る性能の電池も製品化されている。電力ロスの少ない特殊な送電線も実用化している。コストはかかるが、砂漠から世界の電力供給は「あながち夢物語でない」と作業部会のとりまとめ役を務めるみずほ情報総研の河本研究員は指摘する。

 

2008年10月24日

排出枠取得 鉄鋼業界、5000万トン台に

鉄鋼業界が二酸化炭素を達成するため2912年度までに購入する排出枠の合計が、従来試算より二割程度増えて5000万トン台に乗る見通しとなった。鋼材需要の増加に加え、電力使用時のCO2排出量が増えるため。電力業界も排出枠取得見通しを大幅に増やしており、産業界全体の12年度までの取得量は3億トン規模に膨らむ見込みだ。

日本鉄鋼連盟は今月下旬にも開かれる環境省と経済産業省の合同審議会で、新たな試算を報告する。同連盟はこれまで連盟と新日本製鉄、JFEスチールなど加盟各社の合計で取得分4,400万トン、取得費1,000億円とみていた。買い増しによる追加負担は200億ー300億円規模になる可能性がある。

鉄連08-12年度にエネルギー消費量を業界全体で90年度比10%削減(CO2排出量で9%削減)する目標を定めている。前提となる粗鋼生産量は年1億トンだが、07年度はすでに約1億2千万トンに達し、08年度も前提を超えるのは確実。省エネ努力だけでは「想定を超える生産分をカバーできない」ため、排出量目標達成には排出枠の追加取得を迫られる。

2008年10月23日

バイオ燃料利用促進

政府はバイオ燃料などの利用促進を市町村単位で支援する。「バイオマスタウン構想」の海外展開を始める。この構想に取り組む国内157の市町村のノウハウを生かし、気候や農業の環境が近い東アジアに住民参加型の環境対策を広げる。

数箇所のモデル地域が2010年度までに参加するよう促し、長期的に参加者を増やしていく。

ベトナムのハノイで24日開く日中韓と東南アジア諸国連合の農相会議で、日本政府が「海外版バイオマスタウン構想」として提案する。日本の有識者会議が今年度中に、構想に参加地域を選び、現地の研究者や政府関係者らを研修する。

国内のバイオマスタウンでは木くずを工場の燃料にしたり、家庭のごみや家畜のふん尿からバイオガスを生産したりする市町村は、施設整備などの費用を賄う補助金を受けやすくなる。

今回の海外展開では、地域の住民や企業が参加しながら構想を作成できるように、人材育成やノウハウの伝授を進める方針だ。

2008年10月22日

取引で なぜ排出量減る

2005年に発行した京都議定書は、先進国全体で二酸化炭素など温暖化ガスの排出量を08-12年に、1990年の水準より5%減らすよう求めている。日本は同6%減らす義務を負っている。

この議定書で、ガス排出量を減らす手段として、企業などが排出枠を売り買いする排出量取引も認められた。

企業はそれぞれ温暖化ガスの削減目標を持っているが、自社の努力だけでは目標を達成できないところもある。一方、省エネ投資などが成功し余裕を持って目標を達成する企業もある。

排出量取引は、目標を自助努力で達成できない企業が、余裕のある企業から「排出枠」を購入して埋め合わせる仕組み。排出枠を売る企業にとっては、目標以上に排出量を減らせば排出枠を売ってもうけることができるという利点がある。市場の機能を使って産業界全体の排出量を減らす仕組みとして注目され、欧州連合などでは既に取り組んでいる。

EUの制度は、一定以上のエネルギーを消費している企業には参加を義務付けて、削減目標も強制し罰金もある。一方、日本が試行する制度は自主参加で、目標も自主設定が原則、罰則もない。

株式のように市場で排出枠の価格が一トン当たりいくらと決まるまで、排出枠もマネーゲームの対象になるのではないかとの懸念もある。

2008年10月21日

東電も太陽光発電所

東京電力は20日、川崎市臨海部に合計出力2万キロワットの大規模太陽光発電所を建設すると発表した。土地代を除く投資額は約100億円で、2011年度の運転開始を目指す。東電は川崎市以外でも太陽光発電所の建設を計画しており、低炭素社会に向けたクリーンエネルギー開発を急ぐ。

臨海部の埋め立て地「浮島」と「扇島」の二ヵ所に建設する。浮島では川崎市から用地の供給を受ける。09年に着工し、太陽光発電パネルの設置面積は二ヵ所合計で30ヘクタール。一般家庭5,900件分の電力を賄い、年間の二酸化炭素削減量は約8,900トンに相当。パネルの調達先はコストを比較して決定する。関西電力がシャープと共同で大阪府堺市に出力28,000キロワットの太陽光発電所の建設を進めているが、一般需要家向けの太陽光発電所としては、東電が最大規模となる。

2008年10月20日

夢の電池 世界の先頭を走る

「2050年に温暖化ガスの排出量を半減する」。地球温暖化が突き付ける世界共通の目標、各国に低炭素社会の実現を迫る。環境技術の革新を目指す日本は本当に国際社会をリードできるかどうか。日本の低力を検証する。

リチウム電池よりも容量が飛躍的に大きく安全性も高い究極の蓄電池。出光興産は基礎研究段階だが、この次世代蓄電池の試作に成功した。来春にも展示会で紹介するという。

試作したのは「全固体電池」。従来の蓄電池には「電解液」という液体が入っており、これが容量アップの妨げになる。全固体電池は液体材料は使わないため、原理的に高容量化できる。

出光は、電解液を硫化リチウムを主成分とする粉末にした。電気を担うリチウムイオンが液体並みに動きまわる新材料だ。電気自動車の普及には、一回の充電でガソリン車並みの500キロメートルを走れる電池が不可欠。国の試算では現在のリチウム電池よりも容量性能で7倍、コストを四十分の一に下げる必要があるが、全固体電池なら可能性がある。太陽光発電風力発電といった自然エネルギーの蓄電用途にも期待される。

2008年10月19日

温暖化ガス 8%削減 欧州環境庁 

欧州連合の専門機関である欧州環境庁は京都議定書で定めた温暖化ガスの削減目標について、EU全体(旧15ヶ国ベース)で2010年に達成が可能という報告書をまとめた。京都議定書の約束期間(08-12年)中にEUは1990年比で8%の削減が義務付けられており、12年時点では11%以上を削減できるとした。

EEAは「いくつかの加盟国は削減目標の達成が不透明だが、EU全体でみれば京都議定書の公約は達成する」と見込んでいる。通常の取り組みで10年までに約3.6%分、途上国からの排出枠の取得や森林対策などで約4.4%分の削減が可能と分析した。

EUはポスト京都議定書をにらみ、20年までに20%の削減を定めた独自の数値目標を導入する。EEAは従来のやり方では数値目標の達成は困難と指摘。排出量取引制度の拡充や風力・太陽光などの利用拡大を盛り込んだ温暖化対策の確実な実行を訴えた。

2008年10月18日

ハイブリット車 家庭充電型 世界初の量産

中国の自動車メーカー、は2008年中に家庭用電源で充電できる「プラグインハイブリット車」を発売する計画を明らかにした。自社開発のリチウムイオン電池を採用し、一度の充電で100キロメートル走行できる。実現すれば、プラグインハイブリット車で世界初の量産メーカーになる。

発売する「F3DM]は電気だけでの走行と、ガソリンエンジンを併用する二種類の走行が可能。車両専用の電源を使えば約15分で80%充電でき、家庭用では約9時間で充電が完了。販売価格は約約220万円になるもよう。

マーカーはもともと二次電池の世界で、03年に中国の自動車中堅を買収し自動車事業に参入。米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社が約10%の株式取得を決めるなど技術力には定評がある。

2008年10月17日

草の根から低炭素革命

日本海から吹く海風を受けて田園風景に点在する発電用の風車が回る。その数は20基を越す。京都府最北端、丹後半島に位置する京丹後市に市民がスクラムを組んで再生可能エネルギーの活用に取り組む「風力コミュニティー」がある。

仕掛け人の一人、松見さん(40)が風力発電機を導入したのは5年前。「季節風を利用しないのはもったいない」。近所に促すうちに普及した。松見さんの呼びかけに応じた結果、電気の100%を風力太陽光で賄う世帯もある。

家庭からの二酸化炭素排出量は1億6千万トン強(2006年度)と、京都議定書の基準年である1990年度より3割増加した。産業界が小幅に排出量を減らしたのとは対照的な動きだ。家計には温暖化ガスを削減する余地がある。

コストの問題はつきまとう。風力発電機は一基120万円前後。一歩踏み込んだ省エネに負担が伴うのは現実だが、「環境を軸に個人の家計行動が変化し始めた」

 

 

 

 

2008年10月16日

排出量取引 削減成果、本格導入のカギ

10月に参加企業の募集を始める国内排出量取引制度の施行は、多数の主要企業が参加する見通しになったことで、ひとまずスタートの環境は整ったといえる。ただ、この試行は本格的な導入を前提とはしていない。試行を通じて、実際に排出削減の成果が出せるかどうかが本格導入のカギとなりそうだ。

政府は当初からできるだけ多くの企業の参加を目指していた。特に鉄鋼と電力は温暖化ガスの大排出業界。「両社を参加させないわけにはいかない」と働きかけていた。とはいえ、産業界が参加しやすい制度を設計した半面、鉄鋼業界を例外扱いにするなど、妥協した面も否定できない。

今後は実際にどれだけの取引がされるかが焦点となる。実際に取引が始まるのは年度明けとみられるが、企業に強制参加させ、排出上限を課す欧州連合とは異なり、「自主参加」「自主設定」の日本型で、どの程度削減につながるかは未知数だ。

排出量取引の税務・会計上の扱いが決まっていないなど、企業側からすれば不明な点も少なくない。排出枠を相対取引する際の価格指標の公表や、取引所を通じた売買など、企業が取引しやすい環境の整備が必要になりそうだ。

2008年10月15日

太陽電池 韓台勢が台頭

需要拡大が続く太陽電池市場で台湾、韓国のメーカーが台頭してきた。台湾では新興メーカーによる工場建設が相次ぎ、韓国ではサムスン電子、現代重工業など大手がこぞって本格参入する。韓台メーカーは需要拡大期に思い切った集中投資に踏み切り、半導体や液晶パネルの世界市場で主導権を握った経緯がある。太陽電池でも一台生産拠点になる可能性が高まってきた。

シャープなど日本勢が得意としてきた太陽電池市場に本格参入することで、市場の急拡大に拍車がかかりそうだ。半導体メモリーや液晶パネルは先行する日本を韓国、台湾勢が逆転し、今や市場を席巻する。太陽電池も同じ道をたどる可能性がある。

韓国、台湾勢が本腰を入れ始めたのは原油高で代替エネルギーへの関心が世界的に高まり、市場拡大を確信したため、半導体や液晶パネルで培った量産技術をいかせることも大きい。

サムソン経済研究所の首席研究員は「韓国に源泉技術はないが、国を挙げて取り組めば日本を越えられる」と分析する。

2008年10月14日

排出量取引導入の流れ

旧式のコークス炉から噴き出る黄色い煙、大気中に放出される大量の煤塵。一月半ば、インド東部にある国営インド製鋼公社のルーケラ製鉄所を訪れた新日本製鉄の北口環境マネジャーは目を疑った。「50年前の設備をそのまま使っている。」

北口氏は製鉄所内のどこをどう改良すれば環境汚染を防げるかを調査し、改善につなげるのが使命だ。ルーケラの二酸化炭素排出量の2割にあたる年100万トンの削減が可能とはじき出した。

日本の鉄鋼大手は環境対策に注いだ投資額は業界全体で累計4兆5千億円。エネルギー効率は欧米勢を抜き世界トップになった。

これらの技術を世界中の製鉄所に導入すれば年間3億トンのCO2削減が可能という。日本年間排出量の四分の一にあたる。

産業戦略の基幹となるのが、産業別にCO2削減を進める「セクター別アプローチ」だ。2007年10月には世界の鉄鋼大手が同アプローチの採用で合意した。

だがセクター別は、まだ世界の趨勢ではない。政治の世界では欧州などが掲げる「排出量取引」への支持が根強い。

2008年10月13日

日経地球環境技術大賞

日本経済新聞社は第18回「日経地球環境技術賞」の受賞者を決めた。

大賞には、稲わらなどから効率よくバイオ燃料を製造する技術を開発した地球環境産業技術研究機構・RITE-HONDAバイオグループ、環境技術賞に東京大学生産技術研究所、東レ地球環境研究所の二件を選んだ。

地球環境機構は、食用なならない植物成分からエタノールを生産する効率を飛躍的に高めた。東レは有害なホウ素を取り除く淡水化技術を開発した。

2008年10月12日

北極海の氷 減少一服

夏の北極海の氷の減少傾向が今年は一服した。米雪氷データーセンターによると、今月中旬時点の北極海に浮かぶ氷の面積は452万平方キロメートルで、昨年の最も少なかった時期と比べ9.4%大きかった。

北極海の氷は例年9月に年間で最も少なくなり、その後、冬にかけて拡大する。同センターによると、今年は9月12日が底だった。

海氷の面積は昨年の夏に急速に縮小して、1970年代末に人工衛星による観測が始まって以来、最小となった。専門家の一部には、「今年の夏には北極点付近でも氷が消滅する」との見方もあったが、この予測は外れた。

夏の気温がひくめだったことなどが、氷の減少に歯止めがかかった原因とみられる。ただ、海氷面積は1979-2000年の平均と比べ33.1%小さく、依然として低い水準だ。

今後については、地球温暖化の影響によって北極の氷の減少傾向が長期的に続くとの見方が強い。

2008年10月11日

太陽電池 厚さ半分で効率最高

三菱電機は従来の半分の厚さで光を電機に変える光電変換率が世界最高となる17.4%を実現した多結晶シリコン太陽電池を開発した。配線や塗布剤などを工夫した。2015年以降の実用化を目指す。シリコンは価格が高騰しており、使用量を減らす技術の開発が課題。三菱は薄型タイプで生産コストを圧縮し、競争力を高める。

開発したのは厚さ100マイクロメートルで15センチ角の太陽電池の発電素子。従来より効率を約0.3%向上させた。表面をハニカム構造にし、太陽光が当たったら光が外に逃げ出さないようにした。

電極も太さを半分の60マイクロメートルに細くして発電可能な面積を広げながら、高さは2倍にして抵抗が上がるのを抑えた。裏に塗るアルミニウムのペースト剤も改良して電池が反るのを防いだ。

太陽電池では現在、発電効率のよい多結晶シリコン型が主流だが、原料となるシリコンが不足気味。薄くできれば今後も他方式より優位性を保てるとみており、早期の製品化を目指す。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)も10年に厚さ100マイクロメートルで変換効率18%の薄型発電素子の開発を狙っている。

2008年10月10日

温暖化ガス削減 東芝、総量目標に転換

東芝はグループの温暖化ガス排出量の削減目標を生産額あたりの排出量から総量目標に切り替える。2025年度に京都議定書の基準年の1990年度比37%減の約410万トンにする。電機業界では電機業界ではソニーなどが総量目標を掲げているが、東芝は「主力である半導体事業拡大の制約になりかねない」と慎重だった。

東芝の半導体排出量の6割は半導体・液晶事業が占める。半導体・液晶製造には温暖化効果が二酸化炭素の数千倍も大きいガスを使う。

同事業の拡大により、東芝グループの温暖化ガス排出量は02年度から増加傾向で、07年度は351万トンに達した。原稿レベルの環境対策では18年度に約570万トンまで増える見通しだ。

 

2008年10月 9日

風力発電 欧州を開拓

日本の風力発電会社が欧州での発電所建設を加速する。東京電力系で国内最大手のユーラスエナジーホールディングスは英国ウェールズ地方の風力発電所の発電能力を3倍に増強。国内3位の日本風力開発も来年までにスコットランドで6,000キロワットの発電所建設に着手する。日本国内の適地が乏しくなるなか、風力発電の普及策が手厚い欧州での事業展開を急ぐ。

東電が60%、豊田通商が40%出資するユーラスは、英国の電力会社スコッティッシュパワーと折半出資する発電所の発電能力を増強する。2012をメドに現在の3万9百キロワットから約9万キロワットに拡大する。用地を3割拡張して大型発電機に置き換える。地元政府の許可を得て工事を始める。

総事業費は200億円で、金融機関とプロジェクトファインナンスを組んで調達する計画。ユーラスはウェールズ地方にある別の風力発電所でも発電機を更新、能力を増強する方針。英国中部の洋上には大規模発電所を建設する方針だ。

日本風力開発はスコットランドで風力発電所二ヵ所を新設する。チェコなど東欧での拠点展開も進める。

国内二位のJパワーは9月、三井物産などと共同で、48,000キロワットの発電所をポーランドで稼動させた。

EUは地球温暖化対策として、20年までに再生可能エネルギーの利用割合を現在の8%程度から20%に引き上げる目標を設定している。

2008年10月 8日

次世代太陽電池2010年量産

新日本石油と三洋電機は9月30日、共同で新会社を立ち上げ、次世代型の太陽電池を2010年から量産すると発表した。当初の生産規模は年5万ー10万キロワットの見通し、三洋が開発した「薄膜型」を呼ばれる生産コストが半分ですむ製品を作る。

新日石と三洋は連合して事業に取り組み、シェア拡大を目指す。

薄膜型は現在、主に使われている多結晶シリコン型より発電効率は劣るが、原料のシリコンの使用量が少なくコストは半分程度で済む。

世界の太陽電池の生産量(発電能力ベース)は2007年に373万キロワットと前の年よりも5割も増えている。これまでは欧州や日本を中心に普及していたが、今後は米国や中国の市場拡大が見込まれた折、16年には現在の6倍近くの規模になるとも言われる。

国内のトップのシャープは10月から年16万キロワットの規模で薄膜型の生産を開始。昭和シェル石油は11年から年100万キロワットの別の方式の太陽電池の生産を目指している。

2008年10月 7日

非化石燃料 電力・ガス 利用義務付け

経済産業省は太陽光発電や水力、原子力など温暖化ガスを出さない非化石燃料の利用を電力、ガス、石油の各社に義務付ける。地球温暖化対策を加速させるためで、石油以外のエネルギーの開発や導入を促す石油代替エネルギー法(代エネ法)を抜本改正する。「脱石油」という同法の考え方を「脱・化石燃料」へと転換。2030年度には国内のエネルギー供給のうち非化石燃料の割合を現状の2割弱から3割程度へと高めたい考えだ。

代エネ法の抜本改正は約30年ぶり。来年1月召集の通常国会での実現を目指す。同法は二度の石油危機をきっかけに1980年に、過度な石油依存から脱却するために制定。しかし地球温暖化の進行を背景に、石油以外の天然ガスや石炭など温暖化ガスを出す化石燃料への依存も低くする必要があると判断した。

いまは電力会社を対象に太陽光、風力など新エネルギーを一定以上利用するように義務付ける新エネルギー等電気利用法(RPS法)がある。今回の代エネ法改正では、電力会社に加え、ガス会社、石油会社などへの義務に格上げする方向で、具体的な義務量の設定方法などは今後詰める。

対象企業は新エネのほか、原子力や大規模水力なども含めた非化石燃料を一定割合使用するこを求められる。ただ石油・ガス会社が代替できる燃料は限られ、目標は業種ごとに差をつける方向。

エネルギー供給のうち化石燃料の割合は、2005年度に全体の82%を占め、原子力などの非化石燃料は18%にとどまる。経産省のエネルギー需給見通しでは、30年度には非化石燃料の割合を最大で30%まで高められる。

現状のまま推移すると、30年度の二酸化炭素排出量は90年度比で23%増える想定だが、非化石燃料の割合を3割まで増やすことなどで13%削減できるとの試算もある。

2008年10月 6日

大日本塗料 排出枠付き遮断塗料

大日本塗料は今秋から、太陽光を反射して塗装面の温度上昇を抑える「遮熱塗料」に二酸化炭素排出枠を付けて販売する。三菱商事から排出枠を購入し、塗料の製造過程で出たCO2を相殺する。遮熱塗料は省エネ効果が注目されており、排出枠を促進ツールとして活用することで、環境意識の高い施行会社やユーザーへの普及を狙う。

対象商品は遮熱塗料「エコクール」シリーズ。太陽光の赤外線を特殊な顔料で反射させ、温度上昇を抑える仕組み。室内を涼しく保つため、冷房のためのエネルギー消費などの削減につながるという。

大日本塗料は遮熱塗料の生産工程で使う電力や燃料から排出するCO2量を、遮熱塗料1キログラム当たりで250グラムと算出した。これを三菱商事から購入した排出枠で総裁する。

2008年10月 5日

進まぬ家庭のCO2削減

2006年度の国内の二酸化炭素排出量を部門別にみると、産業界は大手企業の省エネ対策の効果などで1990年度比4.6%減少しているが、家庭部門は30%増加した。

産業界に大幅な削減を望むのは難しく、今度は家庭部門の対策が不可欠だ。

産業界でも大手に比べ、中小の省エネ対策は進んでいるない。政府は10月から施行予定の国内排出量取引制度で、大企業が中小企業に対し、技術や資金で協力する見返りに削減分を排出枠として取得する仕組みも取り入れる方針だ。

北海道で始まる制度は、国内の温暖化対策の課題である「家庭」と「中小」が共同で省エネ活動を進める試み。中小にとっては、地域社会への貢献も両立できる。地方の製造業集積地の企業は、近隣住民と騒音などトラブルを抱えるケースが多い。地域住民と交流を深め、ものづくりに理解を求めたい地域にとって、一つのヒントになりそうだ。

2008年10月 4日

原子力温暖化対策に有効

米国が主導する原子力推進の枠組みである国際原子力エネルギー・パートナーシップ(GNEP)は一日、パリで執行委員会会合を開いた。

44ヶ国が参加し、温暖化対策として原子力の平和利用が有効などとする共同声明をまとめた。

近藤駿介原子力委員会委員長らが出席した。

2008年10月 3日

中小、排出枠として購入

中小企業が地域の省エネ活動を後押しする試みが、2009年から北海道で始まる。家庭の省エネ機器導入などによる二酸化炭素の排出削減効果を特定非営利活動法人(NPO法人)の仲介で中小企業が購入、工場などでのCO2排出を相殺(オフセット)する。地域経済の担い手である中小が地域の温暖化対策を主導する試み。中小にとっては自社の温暖化対策推進だけでなく、地域社会貢献にもつながる。

家庭内でのこまめな消灯などによる消費電力削減効果のほか、灯油の代わりに木質固形燃料を使う「ペレットストーブ」や太陽熱温水器など、家庭用省エネ機器の導入効果も対象とする。

認定機関であるNPO法人、北海道グリーンファンドが温暖化ガス削減効果を金額換算し、地元中小企業に販売する。来年1月から3ヶ月間、北海道内の50家庭、10企業を対象にした試運転用を実施し、実際に160トンのCO2「排出枠」を販売する。

製造業や物流など中小企業が参加する見通し。売買条件などの仕組みを検証したうえで、参加企業・家庭を増やし本格運用する。家庭から企業だけでなく、企業間の排出枠売買も可能だ。

風力や太陽光発電によるCO2削減効果を第三者が証書にして売買する仕組みは大手企業の間で普及している。

しかし個々の家庭での省エネ効果は規模が小さく、排出枠として流通させる仕組みはない。排出量自体が少ない中小は、大口の排出枠を取引する既存制度への参加は難しかった。

札幌市の一般家庭が排出するCO2量は年間約7トン。暖房などの燃料を木質固形燃料などに代替するだけで約2トンの削減効果が見込めるという。今回の制度は割高だが省エネ効果が高い装置の普及にも役立ちそう。

北海道グリーンファンドは1999年に設立。自然エネルギーの普及を目指し、各地で風力発電事業などに取り組んでいる実績がある。

2008年10月 2日

EU温暖化対策金融危機で逆風

国際金融危機や欧州景気の減速で、EUが進める温暖化対策への逆風が強まってきた。年間450億ユーロ(約6兆9千億円9のコスト負担に経済界が一段と反発を強め、ドイツやイタリア、中・東欧などが温暖化対策の緩和を訴え始めた。COP14をにらんで、EU各国と欧州委員会の攻防が激しくなりそうだ。

加盟国や経済界の批判が集まるのは、排出量取引制度の改革案。企業に無償で割り当てる温暖化ガスの排出枠を、2013年からは段階的にオークション方式での有償購入に切り替える。

排出量が多い化学メーカーを抱えるドイツが有償購入に難色を示すほか、イタリアは「景気回復を損なう試みだ」と不満を表明する。

中・東欧も温暖化対策を渋り始めた。温暖化ガスの排出が多い石炭などでエネルギーを賄うケースが多いためで、特にポーランドは「将来的に電力料金の大幅な上昇に直面する」と温暖化対策に反発を強める。

2008年10月 1日

ブラジル政府がアマゾン破壊?

ブラジル環境省は29日、アマゾンの違法伐採に関し、規模が大きい上位100ヶ所の開発者の実名を公表した。一位から六位までが同国農地改革院(INCRA)で、環境省は26億5千万ドル(約1,400億円)の罰金を科す方針。農地改革院はこれに反発。政府内の対立に発展している。

環境省は衛星観測データをもとに過去4年分の違法伐採状況を調査。100ヶ所の合計面積は52万㌶で、農地改革院が手がける案件の面積は全体の44%を占めた。同院には耕作地を持たない農家などに土地を分配する役割がある。

農地改革院は「調査は開発時期や場所で事実誤認がある」と反論。違法伐採がある場合は森林回復作業に取り組んでいるとし「破壊者と呼ばわりされのは悲しむべきこと」としている。

豪政府温暖化ガス9割削減可

オーストラリア政府の気候変動対策に関する諮問委員会は30日、中国やインド、米国などを巻き込んだ排出量取引などの世界的な枠組みができれば「2050年までに00年比で9割の温暖化ガス削減も可能だ」と指摘する最終報告書をまとめた。これまでの政府の削減目標は6割だった。