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排出枠取引が変える景色

金融不安で停滞ムードの欧米銀行のディーリングルームで活況の続く一角がる。欧州連合(EU)排出枠取引モデル。昨年の取引額は約500億ドルと前年比で倍増し、世界全体の排出枠取引の7割弱を占めた。もともと京都議定書温暖化ガス削減目標を達成するためにEUが2005年に設立した地域限定市場だが、この取引価格は世界中の排出枠価格を左右する。

EUは域内の1万1千の事業所に温暖化ガスの排出枠を定めている。排出削減責任を負う企業は、排出枠より実際の排出量が超えたら枠を買い、排出量が少なければ余った枠を売ることができる。最終的に排出枠を超えた場合は1トンあたり100ユーロの罰金が課される。

欧州市場の取引参加者の中心は電力・ガス会社。

英電力会社ドラックスは8月上旬、石炭火力発電所の燃料の1割強を2年以内に、藁玉に切り替える計画を打ち出した。上期に大幅減益となったことがきっかけだ。

最終的な排出削減コストは消費者に価格転嫁される。英国では過去1年に年間の世帯平均のガス・電力料金が286ポンド(約57,000円)上昇したが、その28%が温暖化対策コスト。省エネ型電球に取り替えたり不要な明かりを消すなど節約のため省エネに取り組む人が増えている。

排出枠設定を前提とする欧州型市場に、日本の産業界では「自助努力を放棄するごまかし」「マネーゲームになる」と警戒する声が多い。確かにすげての企業が自主的に削減し、日本全体の削減目標を達成できれば排出枠取引は必要ない。

しかし強制的な排出枠もなく、枠を超えた場合の罰金もなければ、企業努力をアピールする以外に排出量を削減する経済的動機はない。枠を買ってくれる企業がなければ、費用をかけてまで自主目標以上に削減しようという意欲も出てこない。日本でも秋から試行的に排出枠取引が始まるが、中途半端な制度では排出量削減が進む保障はない。

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